ドリアンの生る果樹園

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《タイ・チャンタブリ県の果樹園の続きです》

ドラゴン・フルーツ(タイ語:ゲーオ・マンコン)とランブータン(タイ語:ンゴッ)の畑を見せてもらい、そろそろ、お別れをと思ったのですが・・・“ ドリアンの畑に案内するよ ”と慰留されてしまいました。

以前に掲載したドリアンの記事(注)でも触れたように、如何せん、ドリアンの臭いにからっきし弱い僕です。正直に言って、御断りしたい心境でしたが、よくよく考えてみると、今まで、ドリアンが樹上に生る姿を見たことがないことに気付き、彼の説明を聞きながら、少しばかり離れた場所にある畑まで足を運びました。

 果物の王様 http://ameblo.jp/hiro-1/entry-0091761442.html 
 同上・追補 http://ameblo.jp/hiro-1/entry-10092463834.html

ドリアンの木の高さは10m~30mあるよ
一本の木から収穫できるのは、100個~200個くらいかな

彼の説明通り、低木の多いドラゴン・フルーツやランブータンの向こうに、それらしい高木(下写真)が見えて来ました。目を細めて見遣ると、枝の彼方此方に、見覚えのあるドリアンの果実が幾つもぶら下がっているのが見えます。


ドリアンの高木に生るドリアンの果実


ドリアンの木は葉っぱの多い常緑樹なんだ
だから、昼間でも鬱蒼としていて・・・写真は撮りづらいかもね


僕のカメラの腕前を心配してくれた彼は、果樹園内の中でも比較的薄日の差し込む場所(下写真)に案内してくれました。なんとも心優しい若者です。


木洩れ日の差し込むドリアンの生る果樹園

綺麗に刈られた下草を踏みしめて樹木の真下に進み、樹上を見上げると、(写真ではチョットわかり辛いですが)ドリアンの果実が幾つもぶら下がる枝が、それぞれロープで結わえられて吊るされています。

ドリアンの重さは小さいもので1kg、大きいものだと4kgもあるのさ
どでかい果実が一本の枝に幾つもぶら下がっているだろう
ロープで吊っておかないと折れてしまうのさ

さすが“ 果物の王様 ”と呼ばれるドリアンは、その生い立ちからして“ 過保護 ”とまでは言わないまでも、人間様の手によって丁重に持て成されていることが見てとれます。


幹から繰り出されたロープで、果実の重さで折れないように吊るされた枝

ドリアンの出荷と販売は一年中続きますが、やはり、なんと言っても、五月から七月が最盛期なのだそうです。しかし、今年は、大事な旬の時期だというのに、予想外に季節外れの雨が多く、ドリアンの果肉の固さの按配に影響するかも知れない・・・説明する彼の表情が少しばかり曇りました。

収穫したドリアンが置かれた台船から、皮手袋をした左手でドリアンの果実を抱え上げた彼は、最初は果実の御尻辺りの具合をチェクしていたのですが、やがて、右手に持った竹棒で外殻を叩き始めました。棒先を見ると、果実が傷つかないようにプラスチック製のカバーが取り付けてあります。

音を聞くと中味の按配が分かるのさ
これは、マーマーだけどネ、これ以上雨が続いたら心配だね


(左)台船上に並べられたドリアンの果実  (右)打音で中味の按配を確認する彼

タイでは、一年間に100万トン以上のドリアンが栽培され、約90%は生食、5%が果実として台湾や香港に輸出、残りの5%が、ドリアン・キャンディードリアン・チップドリアン・ビスケットドリアン・ケーキ(羊羹)などに加工されて国内消費に回されるようです。

聞くところによると、チップビスケットの類は臭いも殆どなく、ドリアンの初心者でも“ OK ”だそうです。しかし、キャンディは、鼻腔に臭いが残るとかで、初心者には不向きだとか。

ドリアン・ケーキ(羊羹)ともなると、その強烈な臭いは比類がない程らしく、“ ドリアンの超上級者でもない限り、口に含むことも出来ない ”と耳に蛸ができるくらい聞かされていました。当然ながら、僕には全く関わりの無い食品でござんす。見たくもない食品です。

ところが、何としたことか! チャンタブリ県のフルーツ祭りで、その悪名高いドリアン・ケーキ(羊羹)の製造現場に遭遇してしまったのです(下写真)。その臭いの何とも強烈なこと。玉葱の腐った臭いと表現する人が多いようですが、玉葱の腐った臭いを嗅いだ経験の無い僕には、何と表現すればよいのか分かりません。


(左)ドリアンに外殻を切り裂き、果肉を取り出します。
(右)果肉を潰して煮詰めペースト状にします。

捏ねて練り回していた人の話によると、煮詰めたペーストは、ソーセージ袋のようなチューブ状の袋に詰めて密封するので、臭いはしないと言うのですが・・・食べる時にはチューブを切り開くのでは? 若しこの食品を、普通の羊羹だと思って飛行機内で開封したら! どんな事になるのでしょうか?

ドリアン・ケーキ(羊羹)のタイ語は、トゥリアン・クアン ทุเรียนกวน です。例えば、モントーン(黄金の枕)品種で造るドリアン・ケーキ(羊羹)ならば、トゥリアン・クアン・モントーン ทุเรียนกวนหมอนทอง と呼ばれます。

タイ語のクアンは、“ 練りあわす ”という意味ですので、“ トゥリアン・クアン ”の正確な日本語訳は、“ 練りあわしたトゥリアン ”となります。羊羹の意味ならば、別のタイ語の表現があると思うのですが、何故か、商品名に“ 羊羹 ”の漢語訳がついています。

これを商売にしている人の営業妨害をするつもりは全く無いのですが・・・僕には、如何しても食べられない羊羹です。

念のために申し添えて置きますが、マムアン・クワン(マンゴー羊羹)มะเม่วงกวน 、サパロット・クアン(パイナップル羊羹) สับปะรดกวน も、同じ“ クワン ” ですが、誰が食しても美味しくて無難な羊羹(?)だと思います。