税理士の先生は、どなたも、相続については専門家であります。

特に「相続税の試算」は、得意とする分野と言えます。


 また、相続に係る「養子縁組」に関しても、とき応じて、お勧めになることも出てまいりましょう。


 まさしく税理士は、相続に関してのオールランドプレーヤーといってもよい業種の先生です。


 ただ、問題は、それまで面識のなかった人を養子と迎えるとどうなるかであります。


 法律、税の専門家としてのプロであれば、先を十分見極め進めなければならないことでもあります。

先への十分な認識と、具体的な方策を必要とします。


 すなわち、前述しました「遺留分の放棄」まで必要とするケースも多々あり、敢えて提案させていただきたいところです。


 たとえば、「今のままでは、相続税はいくらかかりますよ」とか、「養子を1人加えると、相続税がいくら下がりますよ」というところまで、税理士の先生からは、説明していただけることと思います。


 ただ、これらの計算だけして、「仕事をした」つもりになっている税理士の先生も少なくないのも事実かも知れませんね。


 被相続人の奥さんや長男にとっては、たとえ税金が多少下がったとしても、相続財産が「養子との共有」となってしまっては、問題は残りましょう。


 専門家の先生の指示いかんによっては、メリットどころか、大きなデメリットを被ることも覚悟しなければなりません。


 あなたもお分かりのように、それでは、先生にご依頼した意味がありませんね。


 被相続人が亡くなって相続が開始し、相続後の「相続人の生活」まで考慮したコンサルティングが、大切になってまいります。


 相続税の試算を専門とし、かつ、相続後の相続人の生活まで考慮いただく税理士先生のご指導を、あなたは待ちたいところでしょう。


 「相続」や「養子縁組」は、税理士の先生だけでなく、もちろん、行政書士も専門の得意の分野としております。


 どなたにとっても、相続は、いずれやってまいります。

種々のご相談をお待ちしております。



      行政書士  平 野 達 夫


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 養子にする方の「権利意識のない」タイミングで、遺留分の放棄は進めるべきです。

このタイミングは、早ければ早いほどいいでしょう。


 養子になる方からすれば、時にはそれまで面識のなかった人の養子になるだけで、土地・建物の不動産をはじめ、預貯金・債権など、数百万、数千万円のお金がもらえることになるかも知れません。


 苗字を変える必要もあるとしても、決して悪い話ではありません。

美味しい話でしょう。


 今ここに、「数百万円、あなたに渡しますから、私の養子になって下さい。同時に、遺留分の放棄もお願いしたい」と言われれば、拒否することはないでしょう。


 ただ、あらかじめ何も言わずに、条件を付けることもせずに養子にして、長い年月が経ったとします。


 その養子の方には、段々時につれて、「権利の意識」が、芽生えてきます。

それも、一つの自然な成り行きでありましょう。


 親族とのお付き合いケアがどうであれ、「養子」と言っても、戸籍上立派な子供として扱います。

「実子」と、全く変わりありません。


 被相続人が亡くなり相続が開始すれば、法定相続人として相続財産につき法定相続分取得の権利を持ちます。


 相続人として、配偶者の妻、長男及び養子の3人がいたとします。

養子が、「財産の4分の1をもらえるはず」と考えることも、しごく当然のことと受け止めなければなりません。


 そうなってからでは、「遺留分を放棄してください」では、遅いのです。

お分かりいただけますね。


 前述しましたように、「権利意識のない」タイミングで、遺留分放棄まで進めてしまうことです。


 もちろん、それも早ければ早いほどいいのです。



      行政書士  平 野 達 夫

      

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 養子ご自身としては、「養子にするけど、相続権を与えません」というのでは、もちろん、納得できませんね。


 遺留分の放棄など、とてもじゃないけれど、簡単には応じないでしょう。


 そこで、なんらかの「見返り」が必要になってきます。

被相続人方としては、きちんとした具体的な「見返り」策を講じなければなりません。


 実際のところ、家庭裁判所が「遺留分の放棄を許可する」ポイントとして、以下の3つが挙げられます。


  ① 遺留分の放棄が、養子本人の自由意思に基づくものであるこ

    と


  ② 遺留分の放棄の理由に、合理性と必要性があること


  ③ 相当なる代償性があること


 ①は、遺留分の放棄について、「養子の方が無理矢理にさせられていないか」ということ考えなければなりません。


 ②の「合理性」「必要性」というのは、抽象的な言葉と受け止められましょう。


 それは、たとえば、「相続財産のほとんどが不動産で、相続人たちで分けるとすれば、細分化しなければならなくなってしまう」というケースで、この場合に、「合理性」「必要性」を満たすと考えられています。


 ③の「代償性」は、まさしく「見返り」です。

これは、遺留分の放棄の前に、「すでに、養子の方に贈与が行われた」か、若しくは遺留分の放棄と同時に、何がしかの「贈与」をするかが必要となってきましょう。


 また一方、たとえば、「養子の方を受取人とする生命保険に入った」とか、「10年後、定期預金が満期となるので、そのときに養子の方に贈与する」といった形では、それがきちんと履行されないこともあるかも知れませんね。

どれも、不確かと解されてしまいます。


 これらは、贈与が履行されないおそれがあるため、家庭裁判所での不許可になる可能性があります。


 以上のように前述の3点が、遺留分の放棄するにあたって、養子を「説得」するためのポイントとして挙げらます。


      行政書士  平 野 達 夫


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 遺留分は、「生前に放棄」できます。


 被相続人の元気な健在のうちに、できれば、当該方を養子として迎える時点で、「遺留分の放棄」までしてもらっておきます。


 一方、「相続の放棄」は、被相続人が亡くなった後でないとできません。


 ところが、この「遺留分の放棄」は、被相続人が生きているうちからできるのです。


 このことを活用してみるのもいかがでしょうか。

すなわち、「相続時に、遺留分以下の財産しか相続できなくても、私は納得します」という意味の約束を取ってしまうのです。


 もちろん、法的に済ませておくことです。

家庭裁判所のきちんとした許可を、得ておきます。


 その上で、被相続人としては、「財産のほとんどすべてを、妻と長男に相続する」という内容の遺言書を書いておけば、万全と言えます。


 相続に向けて、あらかじめ、養子の方に十分説明して、「遺留分の放棄」までもらっておくことによって、より遺産分割を円滑にすることもできます。


 あなたも一つ、お考えになってみては如何ですか。



      行政書士  平 野 達 夫


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 被相続人作成の遺言書さえあれば、相続は全く心配はないと思っている方も多くいらっしゃいましょう。


 ところが実際のところ、遺言書だけでは、解決不十分な可能性も出てまいります。 


 たとえば、遺言書に、「養子には、預金のうち300万円だけ相続させ、他の財産は妻と長男で半分ずつ」と書いてあれば、問題は多少は緩和されるかも知れません。


 しかし、養子といえども相続では、あくまでも実子と同じく、「子供」の立場・地位でもって、こと進められます。


 被相続人が遺した相続財産のうち、「遺留分」は、当該相続人に渡さなければなりません。


 遺留分とは、「遺産の一定割合の取得を相続人に保証する」民法の規定です。


 もしも遺留分を侵害するような遺言がなされたケースでは、当該相続人は、「遺留分を取り消す権利」を行使することができます。


 これを、「遺留分減殺請求権」といいます。

遺留分とは、当該相続人が最低限主張できる「取り分」のことです。

この「取り分」は、ご承知のように、法定相続分の半分です。


 法定相続人が妻と長男、それに養子の3人の場合では、財産の8分の1が養子の取り分、すなわち「遺留分」であります。


 被相続人作成の遺言書の中で、「相続させる」と記載された金額が、遺留分に全く足りないケースでは、当該養子には、あとの不足分を請求できる権利があります。


 もしもこれを主張されますと、結局は「土地を共有する」、「現金を作るために、土地を売却する」といった措置も、必要となりかねなくなりましょう。


 このように、たとえ遺言書があっても、「完全な解決策」とは言えなくなります。


 したがって、「養子に相続財産を持たせない」方法が、ここに必要となってまいります。



      行政書士  平 野 達 夫


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 養子を取った相続対策での問題点として、血縁関係の薄い人に財産が渡ってしまうということがあげられます。


 「養子」は、節税効果が大きいともいわれます。

しかし、問題は、「新しい課題」を生み出すもとにもなりかねません。


 養子というのは、「本来、相続人ではない人」、すなわち、「血縁関係が薄い人や全くの他人」がなります。


 その人が相続人になるということは、他人や被相続人とより血縁関係が薄い人に、財産が渡る可能性が出てくるということでもあります。


 血縁関係の薄い人は、畢竟、「財産の思い」も薄くなりがちです。

たとえば、養子が亡くなった後に、「養子の配偶者や子供、兄弟姉妹」に財産が相続されるというケースが出てまいります。

本来あるべき血縁関係や思いは、ますます薄まっていきます。


 すなわち、養子は永く大切にしてきた財産への思いが往々にして薄弱ですので、娘婿のようなケースでは、「実家の兄弟のために処分してしまう」ことも、あるかも知れませんね。


 財産を渡す以上、「処分されるリスクの発生」も、考えなければならないでしょう。


 一方、財産を「共有」とすることで、「勝手に処分される」ことも防げるかも知れません。


 だからといって、「共有」とすることで、「今度は自分たちが、財産の処分やその利用形態を変更したい」ときには、逐一、同意を得なければなりません。


 ますます複雑にもなってまいりましょう。

財産を渡す以上、「処分されてしまうリスク」も、当然ながら考えておかなければなりません。


 会社経営の後継者とするだけならまだしも、被相続人の財産までもすべて相続させたのでは、課題は残りましょう。



      行政書士  平 野 達 夫


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 今度は、養子を一人取った場合での相続税を計算して、各々額を出して表にしてみます。


 相続財産総額は、同じ2億5000万円とします。



  ( 法定相続人が妻と長男、加えて養子の3人のケースです )



  財産総額               2億5000万円


  基礎控除額                8000万円


  課税遺産総額            1億7000万円


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


  課税遺産総額に対する

  妻の法定相続分             8500万円


  課税遺産総額に対する

  長男の法定相続分            4250万円


  課税遺産総額に対する

  養子の法定相続分            4250万円


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


  妻の仮相続税額              1850万円


  長男の仮相続税額              650万円


  養子の仮相続税額              650万円


   相続税額の合計             3150万円


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


  妻が実際に相続する

  財産の割合                   50.0%


  長男が実際に相続する

  財産の割合                   25.0%


  養子の実際に相続する

  財産の割合                   25.0%


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


  妻にかかる相続税額            1575万円

    配偶者の税額軽減           1575万円

    最終的な税額                 0万円


  長男にかかる相続税額           787・5万円


  養子にかかる相続税額           787・5万円


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


  相続税額の 合 計            1575万円 



 以上のように、養子を一人とることで、基礎控除が1000万円大きくなります。


 更に加えて、「仮相続額」の算出において、「税率が下がる」ことも、影響してまいります。


 養子をとることの節税効果は、以外に大きいものがあります。




      行政書士  平 野 達 夫

 

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 養子を取る前と養子を取ることでの税額の違いについては、前2回にわたり述べてまいりましたが、それぞれ表にし比較します。

 

 遺産財産総額を、ここで2億5000万円として算出します。



    相 続 税 額 の 比 較

   

 ( 法定相続人が妻と長男の2人のケースです )



 財産総額           25、000万円

 基礎控除額           7、000万円

 課税遺産総額        18,000万円


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 課税遺産総額に対する

 妻の法定相続分        9,000万円


 課税遺産総額に対する

 長男の法定相続分       9,000万円



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 妻の仮相続税額        2,000万円

 

 長男の仮相続税額       2,000万円


 上記相続税額の合計     4,000万円


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 妻が実際に相続する

 財産の割合              50.0%


 長男が実際に相続する

 財産の割合              50.0%



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 妻にかかる相続税額      2,000万円

   配偶者の税額軽減     -2,000万円

  最終的な税額               0万円


 長男にかかる相続税額     2,000万円


_________________________________________


 相続税額 の 合 計      2,000万円


 

  以上のように、法定相続人が妻と長男の2人の場合では、相続税額は2,000万円となります。



      行政書士  平 野 達 夫

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 ここで、養子を取ることで、どのくらい税金が下がって来るかを試算してみましょう。


 養子が1人加わって、法定相続人が配偶者の妻、実子の長男、及び養子の3人になりました。


 当該基礎控除は、あなたもお分かりのように、計算により8000万円になります。

課税総額は、1億7000万円です。


 これを3人で、「法定相続分どおりに分けた」と仮定して計算してみます。


  妻   : 1億7000万円×2分の1=8500万円

 長男  : 1億7000万円×2分の1=4250万円

 養子  : 1億7000万円×2分の1=4250万円


                           となります。


 これらに対する各税額は、前述の 「法定相続分に応じた取得額」×税率-速算控除額の図式計算により


  妻   : 8500万円×税率30%ー700万円=1850万円

 長男  : 4250万円×税率20%ー200万円=650万円

 養子  : 4250万円×税率20%ー200万円=650万円

                           となります。


 すなわち、妻、長男、養子の3人合計で、相続税は3150万円となります。


 養子を1人迎える前より、850万円ほど下がっていることがお分かりいただけましょう。


 妻の「配偶者税額軽減」を考慮しますと、長男と養子の合計で1575万円となり、425万円の節税ともなっています。


 養子をとることで、基礎控除が1000万円大きくなることに加えて、「仮相続税額」の計算において、「税率が下がる」ことも影響してきます。


 このように、養子をとることの節税効果は、意外に大きいことがお分かりいただけましたでしょうか。


      行政書士  平 野 達 夫

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 養子縁組は、世間では、しばしば相続税対策に用いられることがあります。 


 この「養子の相続税効果」の前に、一般的なごく普通の法定相続人の場合で考えてみます。


 ここでは、「法定相続人が妻と長男」というケースで、相続税を計算してみましょう。


 被相続人の所有する財産総額が、2億5000万円とします。

法定相続人が妻と長男の2人ですので、その基礎控除は、5000万円+法定相続人2×1000万円=7000万円となります。


 したがって、課税遺産総額は、財産総額2億5000万円-基礎控除額7000万円=1億8000万円となります。


 課税総額1億8000万円を妻と長男の2人で分けますと、おのおのの取得額は9000万円となります。


 法定相続人2人の各取得額9000万円に対する税率は30%で、速算控除額は700万円です。


 したがって、各人の税額は、取得額9000万円×税率30%-700万円=2000万円となります。


 妻と長男2人合わせて、税額は、4000万円です。

もし、「実際の分割でも、妻と長男が法定相続分どおり半分ずつ相続する」ことになった場合、それぞれ相続税を2000万円ずつ納めることになります。


 ただし、妻には、「配偶者の税額軽減」の制度があります。

これを利用しますと、実際の妻の税額は、ゼロです。


 長男の税額、2000万円のみとなります。

もっとも簡単な例で、税額を計算してみました。

いかがですか、お分かりになりましたか。



      行政書士  平 野 達 夫

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