◇ 考察11-6 灰原さんの誤算2(共にある覚悟6)「黒鉄の魚影」 ◇ | ひまわりの散歩道

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劇場版名探偵コナン「業火の向日葵」の感想をメインに
コナンについて好き勝手、書き散らしています。
 
 
 

◇ 考察11-6 灰原さんの誤算2(共にある覚悟6)

「黒鉄の魚影」 ◇


続きです。


「命がけの復活」シリーズで、
おそらく灰原さんは

「自分自身の、コナンへの想いを自覚」

したでしょうね。

手術室へ運ばれるコナンに付き添う蘭ちゃんと
廊下の端でそれを見ている灰原さん。

コナンの事情を知り、コナンと同じ立場にあり、
コナンの傍にいるのは自分だけれど
コナンは毛利蘭のものであって、自分のものではない。
彼の隣にいるべきは、彼女であって自分ではない。

そのことを、寂しい、あるいは悲しいと思い、
でも、そう思うことすら、自分にはおこがましい。

多分、この時の灰原さんは、
自分の感情と、コナンへの思いに気付き、
それを殺したんだと思います。


***************

ところが、その後です。

コナンに解毒剤を渡し、身代わりになった灰原さんに、

「なんでお前、ここまでしてくれるんだ?」

ってコナンが言った時、
びっくりしてるんですよね、灰原さん。

あー、そう言うことか、て。

灰原さんからしたら、

自分は解毒剤開発の為だけにここにいるんだし、
コナンの幼児化元凶である自分が、
彼をフォローするのが贖罪であり義務。

って思ってた。けどコナンは、

「オレが新一に戻りたいと思っているように、
 灰原哀も宮野志保に戻りたいと思っていて、
 そのために解毒剤を開発していた。

 なのに、完成した解毒剤をオレに譲り、
 更にフォロー(身代わり)までしてくれる」

て思っていた。それに、灰原さんは気付いて


びっくりしたでしょうね。


コナンは自分を、
コナンと同じ立場の人間として見ていて、
しかも、薬を譲った自分を気遣っている。


で、多分、この時に気付いたんじゃないかな。
コナンは、自分が幼児化したことに対して、

「お前のせいでオレはこんな姿になった」

と責めたことは一度もないんですね。


コナンは、灰原さんを恨んでいない。

解毒剤の開発は、灰原さんを庇護する見返りじゃなく
彼女自身が元の姿に戻る為だと認識している。

そして、組織や薬のこと以外では
同い年の女友達のように接してくる。

個人としての灰原さん、
灰原哀自身を、半ば無条件に受け入れている訳で

何て言うんですかね、

「あ、彼にとって私は人間だったんだ」

そういう驚き。

利害関係で繋がった他人ではなく
身内である明美さんや、
数少なかったであろうプライベートな友人とのような、

「無条件に相手を受け入れる親しい関係」

を、彼は自分との間に見ていたのか。
研究者でない灰原哀も、彼の傍にいていいのか、て。


***************

これはねー、本当に、灰原さん、
ころっと世界が変わったとんじゃないかな。

モノクロだった心象世界に、
一ヶ所、ポンっと色がついたような。

それまで、無表情と言う仮面をかぶっていた
灰原さんですけど、このエピソードから、
コナンへの気持ちを隠さなくなるんですよね。

(蘭ちゃんに告白できなかったって
 聞いて嬉しそうな顔してますし)

これ、多分、今まで

「彼に憎まれているであろう自分が、
 彼に惹かれるなんてありえない、許されない」

って思ってたのが

「思いを伝えることは出来なくても、
 想うことくらいは許される」

に変わったんだろうなー、て、思います。




考察11 共にある覚悟
1
2 灰原さんの選択
3 灰原さんの来し方
4 灰原さんの免罪符
5 灰原さんの誤算1
6 灰原さんの誤算2 ←このページ
7 灰原さんの試練

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