◇ 考察11-3 灰原さんの来し方（共にある覚悟3）
「黒鉄の魚影」 ◇
「黒鉄」の前に、今までの灰原さんの在り方
（あずまの考える灰原さん像）を整理しておきますと
・ 死んだ両親の後を継いで、APTXの研究をしていた。
・研究では、人体実験もしていて、
そのことに罪悪感などは感じていなかった。
・組織の末端構成員だった姉が、組織に殺され、
組織に訣別。自殺を図るも失敗し、身一つで逃げた。
コナンに出会うまでの状況ですね。
この時点で疑問が2つ。
・なぜ自殺を図ったのか
・なぜ逃げたのか
この理由が、ぼかされているので
以下、あくまで、あずまの想像です。
まずは「なぜ自殺を図ったのか」
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明美さんが殺されたことは
志保ちゃんにとって、3つの意味があった、と思います。
1つは、家族を失ったこと。
志保ちゃんにとって、明美さんを喪ったことは
大切なお姉さんを喪ったと同時に
天涯孤独になったということでもあります。
自分を唯一繋いでいた糸が切れてしまった。
世界に居場所を見いだせなくなって
しまったのではないかな。
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2つ目は、人を死なせる意味を知ったこと。
今まで研究に使う人間は、
志保ちゃんにとっては単なる実験材料だった。
でも、明美さんを失って、気付いたんでしょう。
人の命を奪うと言うことは、その人の人生を奪うこと。
同時に、その人の家族、友人、恋人、
その人の関係者すべてが苦しむということ。
その行為を、自分は繰り返していた。
自分が気付かなかっただけで、
自分の手は血まみれだったんだって。
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そして3つ目、
もうこれがとどめでしょうね、組織への不信感。
志保ちゃんにとって、組織は
「物心ついてからずっと、自分を守ってくれていた場所」。
優秀な研究者だった志保ちゃん。
組織では大切に扱われていたはずです。
裏切者が制裁される等の厳しい面を知ってはいても、
組織が自分達に害を及ぼす、
という発想はなかったでしょう。
その「自分達を守ってくれる」はずの
組織のメンバーが明美さんを殺害した。
同時に、組織が自分にさせていた人体実験が、
許されない殺人行為だったことにも気づいた。
おそらく、ここで初めて
「この組織はまともじゃない」
と気付いたんでしょうね。
そして、ようやく、明美さんの気持ちを知った。
いつも自分を心配していた明美さん。
彼女が何を心配しているのか、
志保ちゃんは判ってなかったと思うんです。
実験中の事故で怪我をするとか、
研究に没頭するあまり結婚できなくなるとか、
そういう心配をしていると、
思っていたんじゃないのかな。
でも、組織の本性を知って、気付いた。
明美さんは、志保ちゃんが組織で働かされている、
そのこと自体が心配で、内心反対だったんだろう、て。
だから・・・殺されたのではないか。
そう、察してしまった、んじゃないのかな。
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これ、もうね、
なんで私が生きてるの？状態だと思うんですよ。
組織の幹部であること、人を殺めることが罪なら、
そんな罪とは無縁の明美さんが死んで、
その罪に手を染めた自分が生きている。
そして、
決して自分を守ってくれない血塗られた組織のために
自分はこれからも罪を重ね続けなければならない。
おそらく自分のために殺された明美さんの命を、
踏み台にして。
生きる意味がない、と言うより、
生きることは許されない、
て、思うんじゃないかなあ。
志保ちゃんが自ら毒薬を飲んだのは
家族を失った孤独と、自らの行為に対する自責の念、
信頼していた組織への不信はもちろんですが、
知ってしまった以上、もう罪を重ねたくない、と言う
強い意志があったんじゃないかな、と思います。
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ついでに、なんですが
組織はシェリーを殺す気はなかったんじゃないかな。
明美さんを殺害したのは「逆らったらお前もこうなる」
と言う見せしめでもあったと思うんですよね。
要は、
今までアメだけ与えていたシェリーに、ムチも使った。
なので、シェリーが組織に恭順を示せば、
研究に復帰させるつもり
・・・だったんじゃないのかなあ。
そしてその可能性は十分あると思っていたんでしょう。
じゃなかったらとっとと殺してると思うんですよね。
ところが彼女の選択は「自死」。
しかもそれが結果的に逃亡の成功に繋がった訳ですが
・・・・・。
宮野志保と言う人は、何があっても、何をされても、
最後の最後に自分の道は
自分で選ぶ人なんだな、て思います。
「もうあいつらに利用されたくない」
って言った、明美さんと同じように、ね。
考察11 共にある覚悟
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