◇ 考察11-1 共にいる覚悟 1「黒鉄の魚影」 ◇ | ひまわりの散歩道

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劇場版名探偵コナン「業火の向日葵」の感想をメインに
コナンについて好き勝手、書き散らしています。
 
 
 

◇ 考察11-1 共にいる覚悟 1「黒鉄の魚影」 ◇


考察と言うか、今作の最大のテーマ、灰原さんについて。

あー、ついに来たかぁ、て思いました。

脚本の櫻井さん、
これまで主人公であるコナンのことは
結構叩いてきてたと思います。んで、

「業火の向日葵」
「ゼロの執行人」
「緋色の弾丸」

この三作で、コナンに対しては
ひとまず決着したな、と。

****************

一方、灰原さんについては、
問いかけつつも厳しくはなかった、と思います。
コナン叩くのが優先だったから。

それが今回、灰原さんが矢面に・・・と言うか、
灰原さんが真剣に向き合わされた。自分自身に。

ただ、コナンが主人公の覚悟を問われたのとは異なり
灰原さんはヒロインの覚悟を問われたわけではない。

と言うのは、彼女は

立場がもともとヒロインなんですよね。


APTX4869の開発者の娘であり、


両親の研究を受け継いた優秀な科学者であり
 

組織では幹部としてコードネームを持ち
 

自分を逃がそうとした姉を組織に殺され
 

組織を逃れたものの命を狙われていて
 

APTX4869の服用して幼児化しており、
 

解毒剤を開発できる唯一の人間。


「名探偵コナン」の第一ヒロイン
(敢えてこう言いますが)は、毛利蘭、
灰原哀は第二ヒロインと言う位置づけですが
蘭ちゃんがヒロインなのは、
コナンが主人公だからです。

でも、灰原さんは違う。

主人公が誰であっても、
灰原さんはヒロインです。
むしろ、灰原さんが誰を選ぶかによって、
主人公が決まります。

灰原さんがKIDを選んだら
KIDは対組織戦に参戦して、
コナンとダブル主人公として活躍するでしょう。
KIDサイドの関係者、千影さんや寺井ちゃんも
深く関わってくるでしょうね。うーん見たい。

服部くんを選んでも同様です。
服部くん自身も活躍の場が増えるし
服部本部長を通じて大阪府警が動く。

FBIに保護を求めていたら、赤井さん含むFBIが。
公安に保護を求めていれば、降谷さんが。

灰原さんが選んだ相手(個人や組織)が
一気に存在感を増します。
灰原哀と言う存在には、それだけの重みがある。


そして、灰原さんはコナンを選んだ。


****************

灰原さんがコナンを選んだのは、
単純にコナンの傍にいたかったからでしょう。

でも、灰原さんにとって、コナンの隣は
2つの苦しみを伴う、と、
あずま思ってるんですよ。


一つ目は、灰原さんのコナンへの想いです。

灰原さんがどんなにコナンを想っても
蘭ちゃんを一途に想うコナンが、
灰原さんの気持ちに答えることはありません。

命がけで蘭ちゃんを助けようとするコナンを見る度、
胸の奥が痛むことでしょう。
でもそんなのないフリをして、
コナンに軽口を叩いて。
そんな風に、何度も。

加えて、コナンへの負い目と罪悪感。
自分が開発した薬が工藤新一の人生を狂わせ、
蘭ちゃんから工藤新一を奪った。

しかも、シェリーは組織から追われている。
自分が傍にいれば、コナンや周囲を
危険に巻き込むかもしれない。

思いが叶わない悲しみ、罪悪感、恐怖。

コナンの傍にいることは、灰原さんにとって、
自らの心を日々苛むに等しいんじゃないのかな。

********

そして二つ目は、
コナンと共にあること自体に求められるものがあること。

コナンは前に進むことしか考えていない人です。
それも、常に走っている。
行き詰まったら動く。動きながら考える。考えたら走る。
走りながら自分に必要なものを見つけ、

足りないものを補い、常に自分を磨いていく人です。

そのコナンと共にあるということは
灰原さんも同じ速度で前に走らないといけない。
過去に捕らわれていては、
とても追いつくことはできません。

でも、灰原さんの過去の苦しみは、
そう簡単に乗り越えられるものではない。

灰原さんが前に進むために越えるハードルは、
とてつもなく高い。
コナンへの想いや、組織の恐怖を引きずりながら
簡単に越えられるような壁ではないでしょう。

この状態でコナンの傍にいるというのは、
かなり、と言うか、

目茶苦茶しんどいんじゃないだろうか。

って言うのが、あずまの灰原さんの印象でした。
「黒鉄の魚影」を観るまではね。




共にいる覚悟

2 灰原さんの選択
3 灰原さんの来し方

4 灰原さんの免罪符

5 灰原さんの誤算1

6 灰原さんの誤算2

「黒鉄の魚影」感想目次

劇場版名探偵コナン 感想
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