療育現場で働いてた時のお話です。

 
 
私は2歳児のクラスに入っていました。
 
そして1人の女の子を膝に乗せて朝の会をしていました。
 
 
そこは母子通園が出来る施設なので周りには母子で参加してる親子が何組か居ました。
 
 
しばらくして膝に乗せてる女の子のお母さんらしき人がドアの窓から、こちらを覗き手を振ります。
 
 
しかし女の子は真顔です。
 
 
お母さんは「チッ」という顔をして入ってきました。
 
そして女の子を膝に乗せるわけでもなく
ただ横に座り込み、私の顔をじーと睨みつける様に見渡していました。
 
 
私はざわざわとした恐怖が湧きましたが
笑顔で小さく会釈をしました。
 
 
そのお母さんは度々、小さな事で激怒して
周りのお母さんや先生を驚かせて、宥められる事がありました。
 
 
私も何度か声をかけられる事がありました。
 
「おい、お前これアイツに渡しといて」
 
ちぎったメモ紙を渡されました。
 
 
「私パートなので職員の先生にお願いしてもいいですか?」とビクビクしながら言いました。
 
 
「お前、渡さねえな。他のやつに頼むからいいわ」
とそのお母さんは言いました。
 
 
 
私は、これまで色々な人を見る機会が沢山ありましたが、このお母さんの場合は
 
 
なんて人なの?!
 
とは思いませんでした。
 
 
それよりも恐怖でした。
 
とにかく今までで味わった事が無い程の恐怖を感じて足が震える程でした。
 
 
 
それは障害児を育てる親の気持ちだったり
 
子育てを一人でする事
 
周りに頼れる身内も居ない
 
そんな親達を日々目の当たりにする職場でもあり
 
 
何より私自身も、いつ自分がそうなってもおかしくないと思っていたからです。
 
 
 
そのお母さんはまだ、若くて20代前半
シングルマザー
 
そして、気分が良い時は明るくて笑顔のあるお母さんです。
 
 
そして、自ら
子どもに虐待をしそうだという事で役所に相談し、この施設を探してやってきた親子だったのです。
 
 
私は、そのお母さんを軽蔑する事は出来ません。
 
 
先生達もそれを理解していたので
 
女の子は短期ショートステイなど
沢山の支援を受けていました。
 
 
お母さんは、子どもと離れたく無いけど
子どもに虐待をしてしまうかもしれない。
 
 
一緒に居たくても居られない。
 
 
そういう思いで、児相や他の施設には行かなかったそうです。
 
そして、二年位経った頃
 
お母さんは、この施設の先生達とも信頼関係が出来て
 
お子さんを里子に出す決断をしました。
 
 
お母さんは、ここなら…
と安心して我が子と離れる覚悟を決めた様です。
 
 
行事や、お休みの日はお子さんと会い、買い物をしたり映画のDVDを観たりしてるそうです。
 
 
久しぶりに会うママは優しくて明るくて女の子は嬉しそうに、その時のお話を聞かせてくれました。
「ママとトトロ観たの」
 
私は涙を堪えて「あら良かったね!」と言いました。
 
 
女の子は、今小学生です。
 
 
里親さんの所で元気に明るく生活して学校も毎日行っています。
 
 
子どもだけでは無く家族のケアがあったからこそ
こういった明るい未来があったのだと思いました。
 
 
決して他人事ではないと思いました。
 
育ちの連鎖の事にも触れています。
沢山の中の一つとして観て頂けると幸いです。

 

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