光が在った

それは、あらゆるものを生み出した

人 神 宇宙 動物 植物 自然

全てである

人は光から生まれ出たもの

そして、光に還るのだ

闇はない

それは、作られたもの

人の心から生まれ出たもの

己の闇をなくすのは自身なのだ

闇があれば、その集合体に引き寄せられたものの末路である

己自身から生まれ、闇に呑み込まれる

その為に人は恐れを抱く、闇に

内なる闇に内包されぬよう防御する、あえぐ

そして、苦しみの底へ堕ちるのだ

人の子よ、己が闇に光を照らせ

光は闇を内包する

内包され一つとなる

光に満たされた時、魂は浮上する

そして、我らに近づくのだ

人の子よ、己が内に問いかけよ

恐るるものは何か

光を失うことが最も恐れるものである

闇が拡大すれば、光は失われる

光と共にあれ


ゼウス いつも共に
人の心が移り変わるのは自然なこと

愛を知り、深く人を想う気持ちは尊いもの

しかし、その愛は時に豹変する

憎しみへと変わる

人はその感情に囚われ、己を失う

心を滅し、亡骸となる

そのような状態を生き霊と人は呼ぶ

生き霊は、自覚がないのが手強いところ

己が心を見失ったものの為せるワザなのだ

無自覚でいることが多い

生き霊に取りつかれるものはまた、己が欲に捕らわれたもの

愛が永久につづくものと勘違いしている

愛を継続するには条件がいる

条件が揃えば、その愛は無条件の愛へと進化するのだ

それは時に人を優しく導く

その愛が人々を幸福にするのだ

無条件の愛こそ究極の愛であろう

条件付きの愛はいつしか崩れる

不調和を起こす

調和された時、自ら進化するもの

その愛を知るものは、己の故郷に容易く還れるであろう、その世界を知っているのだから

無条件の愛を前にして、人は為す術もない

その愛に包まれ、委ね、己が道を進む

それは、容易く思えるかもしれないが、難しきことが起きると真っ先に愛を低める

そして、自己を守ったつもりになるのだ

人の子よ、それが望んだ道であるなら悔やむな

全ては愛の中に


ゼウス 愛の光は己と共に
人が生を受けた時、この世に生まれたことを嘆く

それは、この先の苦しみを知っているから

望んで手に入れるつもりはないが、それを選んでしまった悔やむ心でもある

人は時として、苦しい道を進む時、ためらうものだ

それは、神と呼ばれるものも同じだ

神は万能ではない、そなたらと同じなのだから

苦しみの正体を知った時、人は愕然とする

何故ならそれは、己が作り出したものだからだ

苦しみを味わう為に、愛を知る為に、この世を選んだのだから当然のことだ

覚えていたのなら、それはもはや、味わうことの出来ないものとなる

生まれた瞬間、人は嘆きと共にそれを忘るる

忘れ、母の温もりを知る

愛しい我が子を想う存在を肌で感じる

それが、始まりの合図

そこから道が始まるのだ

生まれた瞬間ではない

その次の瞬間、歩む道が決まる

その道を変えることは可能

そのまま進むことも出来る

全て己が決めること

忘れるでない、己が決めた道なのだということを

覚悟が決まれば進みは早い

望は叶い、そこからまた、違う道が開ける

多くの同胞を抱え、来世の持ち越しを帳消しにすることも出来る

己が選択と心得よ

誤った道を進んだのなら、正せば良い

それを決めるのも己自身

そう覚悟を決め、事に当たるが良い 


ゼウス 己が信念は己と共に
地球はまだ若い

宇宙が生まれた時、まだ目覚める前だった

意識のみの小さな存在だった

それがいつしか形を成し、今の姿となった

地球という星だ

地球がその意志を持ち始めた時、我らはそれに応えた

ここで生を営み、歴史を作ることにした

我らは降り立ち、子を成した

生成したと言った方が良かろう

分子を組み立て、細胞を成し、人を造った

恐竜と呼ばれるものは、人の生活環境を作る為の手段だ

彼らはよく働いてくれた

彼らもまた一つの命であった

子を成した時、我々はバランスを考えた

秩序を保てるよう様々なタイプを生み出した

良くも悪くも転がり続けて今がある

我らは手伝いをしたに過ぎない

そなたらが生まれてくるのを、その地に降り立つのを

我が呼びかけに応じ、地球に降りたのだ

それを定めと呼ぶものもいる

偶然と呼ぶものもいる

ただ言えるのは、全てが己が意志であるということ

そこで学ぶべきことがあると降り立った魂たち

大いに笑い、泣き、遊べ

己が試練を揺らぐでない

大丈夫、心配ない、そなたらは出来る

その為に降りたのだから

光と共にあれ


ゼウス 喜びは我と共に
その昔、聖なる白木があった。
大きく葉が生い茂り、人々や動物たちが集まった。
聖なる楓の木だ。

そう、そなたと同じ名だ。
偶然ではあるまいが、それは今、重要なことではない。

その木の下に一人の少女がやって来た。
少女は楓の聖霊に頼み事をした。
楓の聖霊は承諾し、少女は安心して帰って行った。

その夜、少女の時が止まった。
少女の体は氷のように冷たく固くなり、両親は嘆いた。

何故、このような事が起きたのだ。
私たちが何をしたと言うのか。

両親は考え、楓の木にお願いすることにした。

「どうか、娘の時を戻してください。私たちのかわいい、かわいい娘。この命と引き換えてもいい。甦らせてください」

楓の木は快諾し、少女の時は戻った。
赤ん坊へと。

両親の命は失わなかったが、また、嘆いた。

「せっかく大きく育てたのに何故、このような仕打ちをするのか。また、手をかけねばならないではないか。こんなことなら、あのまま時が止まったままで良かった」

それを聴いた瞬間、楓の木々は黒く染まり、枯れ果てた。

動物たちはびっくりし、その者たちを責めた。

「なんと愚かなことを。少女は自らの時を止めたのに、楓の木に無理を言うとは」

両親は驚き、訊いた。

「娘が自らの時を止めた?そんなバカな。
娘は結婚が決まっていた。幸せになるところだったのに」

立派な角をはやしたシカが言った。

「彼女はそれを望んでいなかった。10年後、再び甦えり、あなた方がいない生活を望んだのだ。

「何故、私たちが。あの子に何をしたというのだ」

「あなたたちは彼女を奴隷のように扱い、贄として差し出し、自分たちの財を蓄えようとした。それをあの子は拒んだのだ」

「子が親の為になるのは当然のこと。その為に今まで育ててきたのだ。そんなバカなことがあってたまるか」

その瞬間、赤ん坊が鬼へと変化した。

「お前たちの為に私が食べてあげよう、その邪悪な心を」

そう言って口を開けると心臓に噛みついた。

悲鳴をあげた両親は生き絶え、そして、美しい光の球へと変化した。

鬼がその光を楓の木に埋め込むと、楓は美しく甦った。

鬼は大層、喜び、それ以後ずっと、楓の木と共に命尽きるまで過ごした。

そんな物語がある。

その話の意味することがわかるようになれば、人々の争いはなくなるであろう。


ゼウス 光の魂と共に