小さなアップダウンを越えて
新見沼大橋の料金所を目指す。
1km毎に振動するGAMINの時計に目をやると
【5:53】
「そんなにまでペースダウンしていたのか!
ここから先は暫く平坦コースだからこのペースを保とう。」
そう考えながら呼吸を意識する…2回吸って1回吐く
呼吸を意識していたのに、唄を口ずさんだり…
「あっ!保険証忘れた!」なんて思い出したり…
頭の中がグルグル回りだしていた、集中力が切れてる?!
そんな折、両足のふくらはぎを鷲掴みされるような痛みが!
「ヤバい!つるのか?!まだ大丈夫!」
30kmの給水を終え、463号線を左折
東浦和駅入口…最後の折り返しに向かう途中
4時間のペースメーカーの集団に抜かれた!
「…着いていかなければ」
「呼吸は大丈夫苦しくない、気持ちも折れていない行ける!」
けど…ふくらはぎに纏わりつく痛みが徐々に大きくなっていた!
34kmを過ぎて細かなアップダウンが続く
1kmのタイムが【6:15】
脚が上がらない!
「脚を上げるんじゃなく骨盤を動かす!
まだ腕も振れている、今回は上半身に痛みは無い!
4時間切れないのか?まだ諦めない!!」
自分自身とそんな遣り取りが続いていた。
36km
さいたま国際マラソン最大の難所と言われている新浦和橋
全長300m 最大高低差およそ10m ビル3階分を上って下る…
このダメージの中での、このコース…イジメか!
ふくらはぎは痛いまま…
「まてよ?痛みがあるのは"ふくらはぎ"だけじゃん!
絶対にココだけは止まらない!上ってやる!!」
も~気持ちだけ!前なんか見れなかった。
「歩幅は狭く、スタンプ!歩幅は狭く、スタンプ!」
小声で呟きながら走る。
「乗り越えた!」
止まらなかった自分に感謝。ふくらはぎに感謝。
下りきったところが37km。残り5kmちょい。
463号線に別れを告げて北浦和の駅前を通過
埼大通りの入口の給水&給食で鰻のかば焼きと
舟和の芋ようかんでカラダを満たす…
というよりココロを満たしていた。
ただ、この後の記憶が無い…
前回の東京マラソンではミスターチルドレン「GIFT」や
ゆず「栄光の架橋」が頭の中で流れていたのに…。
40kmの看板、そして40kmで最後の給水を摂り
「よし!ペース上げるぞっ!」と踏み出した瞬間…
右脚の太もも内転筋、内側広筋が痙攣!想定外!
「嘘だろっ!完全につったら動けなくなる!?」
少しパニックになっていた自分がいた。
残り1km
「ラスト~」「頑張れ~」「この先を右折すればゴールだ!」
意識はあるけど、沿道の声援が遠くから聞こえる感じ…
この時、笑う余裕は無く「右脚よもってくれ~~」しかなかった。

ゴール!!タイムは…?