#13ー4☆
アメリカ
ニューヨークシティ
ハーレム
セントラルパークの目抜き通りを越えると、廃墟が点在する貧民街が広がっている。
この地域では、昼夜問わず、争い事が日常であった。
今日も、昼間からー
「Shit!また、お前か!」
数人のアフリカ系アメリカ人に囲まれているショートカットの明るい髪色の日本人女性。
「いい加減に、この件から手を引きな!セリナ」
「お前らこそ!もう、彼女には手を出すな!それを言いに来ただけだ!」
「それは、できないな。アレをいただくまでは」
にべもない。
「話し合いは平行線か…。じゃ、やるしかないな!」
セリナと呼ばれる日本人女性が、二十人を相手に立ち回る。次々と相手をなぎ倒していくセリナ。かなりの手練れだ。
争いの匂いに誘われたのか、誰かが呼んだのかー。十人ほどの新手があらわれた。
「Damn it!」
セリナにも、焦りと疲労の色が見え始めた。
そのときー
「大丈夫ですか!?先輩!」
セリナの背後から
長い黒髪に、編み込みがアクセントの日本人の少女が駆けつけた。日本人離れした彫りの深い顔。まるでー
「間に合ったか…後輩」
「後輩は、やめてくださいよ…」
まるで、ギリシャ彫刻のような少女が言った。
「…Please call me.(こう呼んでください。)
チョウコク…と」
ニューヨークシティ
ハーレム
セントラルパークの目抜き通りを越えると、廃墟が点在する貧民街が広がっている。
この地域では、昼夜問わず、争い事が日常であった。
今日も、昼間からー
「Shit!また、お前か!」
数人のアフリカ系アメリカ人に囲まれているショートカットの明るい髪色の日本人女性。
「いい加減に、この件から手を引きな!セリナ」
「お前らこそ!もう、彼女には手を出すな!それを言いに来ただけだ!」
「それは、できないな。アレをいただくまでは」
にべもない。
「話し合いは平行線か…。じゃ、やるしかないな!」
セリナと呼ばれる日本人女性が、二十人を相手に立ち回る。次々と相手をなぎ倒していくセリナ。かなりの手練れだ。
争いの匂いに誘われたのか、誰かが呼んだのかー。十人ほどの新手があらわれた。
「Damn it!」
セリナにも、焦りと疲労の色が見え始めた。
そのときー
「大丈夫ですか!?先輩!」
セリナの背後から
長い黒髪に、編み込みがアクセントの日本人の少女が駆けつけた。日本人離れした彫りの深い顔。まるでー
「間に合ったか…後輩」
「後輩は、やめてくださいよ…」
まるで、ギリシャ彫刻のような少女が言った。
「…Please call me.(こう呼んでください。)
チョウコク…と」
#13ー3☆
八階ー
扉の向こうから、怒声や悲鳴の入り混じったような音が聞こえる。
思わず顔を見合わせる、扉の前の峯岸と前田。
ガーン、という激しい音とともに、鉄の扉が震えた。何かが、ぶつかったようだ。
「とにかく、行くぞ!前田」
うなずく前田を見て、扉に手をかける峯岸。
ガチャリ
「ガハハハハ!」
大きな笑い声ー
と
死屍累々ー
黒い特攻服の少女が、アンダーガールズの紫の特攻服を着た意識のない人間を、笑いながら殴り続けていた。
周りには、血反吐を吐き、血まみれで、寝転がっているアンダーガールズ隊員の姿がいくつもあった。扉のそばにもー。
先ほどの音の正体を理解し、
凄惨な場面に、息をのむ前田。
「無抵抗の人間を痛めつけるのは、いくない!」
木刀で、黒の特攻服の少女を指す峯岸。ありあまる正義感。
遊びを邪魔された子供のように、不機嫌な顔つきで、こちらに視線をうつす少女。
「お前も、カツオのたたきにしてやろうか?」
狂気の瞳。
「一応、訊いておくが、お前が、親衛隊十人衆か?」
「そうぜよ!十人衆のクワバラぜよ!命令違反したやつらと、じゃれあっとっただけやき」
ガハハハハと、桑原ミズキが、笑いながら答えた。
「粛清か…」
命令違反の多い隊員に対する綱紀粛正という名目の処刑だった。クワバラにとっては、暇つぶしにすぎなかったがー。
「まとめて、かかってこいち!二人でも、三人でも!四人でも!ガハハハハ!」
「前田、私にまかせろ」
心配そうな前田を気にもせず、
峯岸は、摺り足で素早く、接近し、クワバラの頭に、思い切り、黒く光る木刀を叩き込んだ。
「よし!」
十分な手応えはあった。
しかしー
クワバラは、微動だにせず、両手をだらりと下げ、平然と立ちつくしている。痛みも感じていないようだ。
「な…」
信じられない峯岸は、さらに、木刀を振りかぶり、頭や肩、腕などを打ち続けた。
ひとしきり、打ち続けた後ー
「もういいちや?」
ダメージを感じさせないクワバラの手が、打ち疲れの見える峯岸の木刀に、伸びた。
奪われまいとする峯岸だったが、あっさりと、木刀は、クワバラの手中に収まった。
それを、ポキッと軽々、真っ二つにし、折れた木刀を無造作に、峯岸の腕に突き刺した。尖った部分でー。躊躇なく。
「ぐああああああ!」
「生徒会長ー!」
司令室ー
「かわいそうに…。クワバラは、野獣シノブより、打たれ強く、パワーもある特異な体質…」
だから、七階で終わっておけば…と言いたげなマサナ。
「あぁ、そして、シノブより……残酷だ」
アカネが目を細めて言った。
扉の向こうから、怒声や悲鳴の入り混じったような音が聞こえる。
思わず顔を見合わせる、扉の前の峯岸と前田。
ガーン、という激しい音とともに、鉄の扉が震えた。何かが、ぶつかったようだ。
「とにかく、行くぞ!前田」
うなずく前田を見て、扉に手をかける峯岸。
ガチャリ
「ガハハハハ!」
大きな笑い声ー
と
死屍累々ー
黒い特攻服の少女が、アンダーガールズの紫の特攻服を着た意識のない人間を、笑いながら殴り続けていた。
周りには、血反吐を吐き、血まみれで、寝転がっているアンダーガールズ隊員の姿がいくつもあった。扉のそばにもー。
先ほどの音の正体を理解し、
凄惨な場面に、息をのむ前田。
「無抵抗の人間を痛めつけるのは、いくない!」
木刀で、黒の特攻服の少女を指す峯岸。ありあまる正義感。
遊びを邪魔された子供のように、不機嫌な顔つきで、こちらに視線をうつす少女。
「お前も、カツオのたたきにしてやろうか?」
狂気の瞳。
「一応、訊いておくが、お前が、親衛隊十人衆か?」
「そうぜよ!十人衆のクワバラぜよ!命令違反したやつらと、じゃれあっとっただけやき」
ガハハハハと、桑原ミズキが、笑いながら答えた。
「粛清か…」
命令違反の多い隊員に対する綱紀粛正という名目の処刑だった。クワバラにとっては、暇つぶしにすぎなかったがー。
「まとめて、かかってこいち!二人でも、三人でも!四人でも!ガハハハハ!」
「前田、私にまかせろ」
心配そうな前田を気にもせず、
峯岸は、摺り足で素早く、接近し、クワバラの頭に、思い切り、黒く光る木刀を叩き込んだ。
「よし!」
十分な手応えはあった。
しかしー
クワバラは、微動だにせず、両手をだらりと下げ、平然と立ちつくしている。痛みも感じていないようだ。
「な…」
信じられない峯岸は、さらに、木刀を振りかぶり、頭や肩、腕などを打ち続けた。
ひとしきり、打ち続けた後ー
「もういいちや?」
ダメージを感じさせないクワバラの手が、打ち疲れの見える峯岸の木刀に、伸びた。
奪われまいとする峯岸だったが、あっさりと、木刀は、クワバラの手中に収まった。
それを、ポキッと軽々、真っ二つにし、折れた木刀を無造作に、峯岸の腕に突き刺した。尖った部分でー。躊躇なく。
「ぐああああああ!」
「生徒会長ー!」
司令室ー
「かわいそうに…。クワバラは、野獣シノブより、打たれ強く、パワーもある特異な体質…」
だから、七階で終わっておけば…と言いたげなマサナ。
「あぁ、そして、シノブより……残酷だ」
アカネが目を細めて言った。
#13ー2☆
「勝手なことしてるやつらがいるな…」
親衛隊長、高柳アカネは、七階から八階に続く階段を映し出しているモニターをおもしろそうに見ていた。
「三番隊は、命令違反が多いですからね。隊長が隊長なだけに…」
躾がなってませんねーおあずけも出来ないとはー
嘆息するマサナだった。
アンダーガールズ
総勢千名強。日に日に勢力は拡大している。本隊は、一番隊から九番隊まであり、それぞれ、隊長以下、百名余りの隊員が所属。他に、遊撃部隊としての特攻隊百名。頭(トップ)を守護する親衛隊十一名。以上が実戦部隊である。
本隊の隊長のなかには、親衛隊十人衆を上回る実力の者もいた。
現在、本部ビル内に待機している隊員は二番隊、三番隊混合の百名強のメンバーだった。
八階を目指す前田と峯岸ー。その前に
紫の特攻服を着たアンダーガールズ隊員、三人が、行く手を阻むように、階段に腰を落としていた。
「どっちが、前田ってやつだ?」
一人が立ち上がり、言った。
「どっちでもいいんじゃね?やっちゃえば」
「そうだな。とっとと終わらせようぜ」
残りの二人も、立ち上がった。
好戦的な三人の少女たちを見てー
「前田、下がっていろ」
峯岸が、前田に目配せし、黒檀の木刀を中段に構えた。
「やる気かよ!こいつ!」
「おもしれー!」
「おれが、いただく!」
三人は、ほぼ同時に、峯岸に襲いかかってきた。
直後ー
信じられない光景が、前田の目の前で、繰り広げられた。
瞬きをするくらいのー
わずかな時間ー
峯岸の打ち込みが、アンダーガールズのそれぞれの頭に炸裂した。面!面!面!
三人は、ごろごろと
階段を転がり落ちていった。打たれた時点で、既に、意識はなかったのか、落ちきった後、ぴくりとも動きは、なかった。
「ふん!準備運動にもならなかったな」
片手で、木刀を軽く振る峯岸。
「生徒会長…」
前田の驚いた顔を見てー
「この程度のことは、マジ女の生徒会長としての たしなみだ」
そう言って
峯岸は、微笑んだ。
「そろそろ、いい頃合いっスかね…」
アンダーガールズ本部ビル前のネズミ。
いつの間にか、隣にもうひとり、いる。チャコールグレーのフード付きのブルゾンを身につけ、身長は、ネズミより少し高かった。フードで色白な顔は隠れている。
「じゃあ、行きますか…。魑魅魍魎の跳梁跋扈する巣窟へ…」
グレーのフードの少女は、口元に笑みをたたえ、それに応えた。
「…うちのエースの御披露目だ!」
親衛隊長、高柳アカネは、七階から八階に続く階段を映し出しているモニターをおもしろそうに見ていた。
「三番隊は、命令違反が多いですからね。隊長が隊長なだけに…」
躾がなってませんねーおあずけも出来ないとはー
嘆息するマサナだった。
アンダーガールズ
総勢千名強。日に日に勢力は拡大している。本隊は、一番隊から九番隊まであり、それぞれ、隊長以下、百名余りの隊員が所属。他に、遊撃部隊としての特攻隊百名。頭(トップ)を守護する親衛隊十一名。以上が実戦部隊である。
本隊の隊長のなかには、親衛隊十人衆を上回る実力の者もいた。
現在、本部ビル内に待機している隊員は二番隊、三番隊混合の百名強のメンバーだった。
八階を目指す前田と峯岸ー。その前に
紫の特攻服を着たアンダーガールズ隊員、三人が、行く手を阻むように、階段に腰を落としていた。
「どっちが、前田ってやつだ?」
一人が立ち上がり、言った。
「どっちでもいいんじゃね?やっちゃえば」
「そうだな。とっとと終わらせようぜ」
残りの二人も、立ち上がった。
好戦的な三人の少女たちを見てー
「前田、下がっていろ」
峯岸が、前田に目配せし、黒檀の木刀を中段に構えた。
「やる気かよ!こいつ!」
「おもしれー!」
「おれが、いただく!」
三人は、ほぼ同時に、峯岸に襲いかかってきた。
直後ー
信じられない光景が、前田の目の前で、繰り広げられた。
瞬きをするくらいのー
わずかな時間ー
峯岸の打ち込みが、アンダーガールズのそれぞれの頭に炸裂した。面!面!面!
三人は、ごろごろと
階段を転がり落ちていった。打たれた時点で、既に、意識はなかったのか、落ちきった後、ぴくりとも動きは、なかった。
「ふん!準備運動にもならなかったな」
片手で、木刀を軽く振る峯岸。
「生徒会長…」
前田の驚いた顔を見てー
「この程度のことは、マジ女の生徒会長としての たしなみだ」
そう言って
峯岸は、微笑んだ。
「そろそろ、いい頃合いっスかね…」
アンダーガールズ本部ビル前のネズミ。
いつの間にか、隣にもうひとり、いる。チャコールグレーのフード付きのブルゾンを身につけ、身長は、ネズミより少し高かった。フードで色白な顔は隠れている。
「じゃあ、行きますか…。魑魅魍魎の跳梁跋扈する巣窟へ…」
グレーのフードの少女は、口元に笑みをたたえ、それに応えた。
「…うちのエースの御披露目だ!」