#13ー10☆
「Bitch!」「Fuck you!」
スラング飛び交うハーレムの貧民街。
チョウコクは、独特の拳法を、さらに深化させたものを駆使し、ストリートギャングに対抗していた。
「品がないね!最近のガキ共は!」
苦笑しながら、ひとり、またひとり確実に敵を仕留めていくチョウコク。
セリナも、余裕を取り戻し、相手に立ち向かっていた。
しばらくするとー
「くそっ!覚えてやがれ!」
二人を倒すのを
あきらめたのか、傷ついた者を担ぎ上げ、あっという間に青のシンボルカラーのストリートギャングたちは消え去った。
「日本もアメリカも、捨て台詞に大差ありませんね」
独特の構えを解きながらチョウコクは言った。
「ありがとう。チョウコク。助かったぜ。おれのことは、セリナって呼んでくれ」
握手を求めるセリナ。それに力強く応じるチョウコク。
時差ボケはないようだな、とセリナが表情を確かめた。
「セリナさん、いきなりなんですが、アノ話は、マジなんですか?」
「マジにならなきゃ、マジ女は卒業できねーよ」
ふっ、と笑い
「いや、冗談言ってる場合じゃねーな。マジだ…。知ってる者はごく限られたメンバーだけだがな。だから、うかつに、口にはするな!」
「会えますか?」
「会ってもいいが…。後悔することになるかもな」
セリナの言葉に、深刻な何かを感じずには、いられないチョウコクだった。
とある病院の中庭ー
春の日射し。
車椅子の少女がひとり。
「さ~くらのはなは~
わかれ~の~しおり~」
少女は、その日本人の少女は、遠い目をして、せつなそうに、歌を口ずさんでいた。
マジすか女学園の校歌をー。
#13『折れない心!摩天楼の幻』終
スラング飛び交うハーレムの貧民街。
チョウコクは、独特の拳法を、さらに深化させたものを駆使し、ストリートギャングに対抗していた。
「品がないね!最近のガキ共は!」
苦笑しながら、ひとり、またひとり確実に敵を仕留めていくチョウコク。
セリナも、余裕を取り戻し、相手に立ち向かっていた。
しばらくするとー
「くそっ!覚えてやがれ!」
二人を倒すのを
あきらめたのか、傷ついた者を担ぎ上げ、あっという間に青のシンボルカラーのストリートギャングたちは消え去った。
「日本もアメリカも、捨て台詞に大差ありませんね」
独特の構えを解きながらチョウコクは言った。
「ありがとう。チョウコク。助かったぜ。おれのことは、セリナって呼んでくれ」
握手を求めるセリナ。それに力強く応じるチョウコク。
時差ボケはないようだな、とセリナが表情を確かめた。
「セリナさん、いきなりなんですが、アノ話は、マジなんですか?」
「マジにならなきゃ、マジ女は卒業できねーよ」
ふっ、と笑い
「いや、冗談言ってる場合じゃねーな。マジだ…。知ってる者はごく限られたメンバーだけだがな。だから、うかつに、口にはするな!」
「会えますか?」
「会ってもいいが…。後悔することになるかもな」
セリナの言葉に、深刻な何かを感じずには、いられないチョウコクだった。
とある病院の中庭ー
春の日射し。
車椅子の少女がひとり。
「さ~くらのはなは~
わかれ~の~しおり~」
少女は、その日本人の少女は、遠い目をして、せつなそうに、歌を口ずさんでいた。
マジすか女学園の校歌をー。
#13『折れない心!摩天楼の幻』終
#13ー9☆
前田と峯岸の二人は、九階を目指し、階段を駆けるように、上っていた。
「あいつら、大丈夫かな?」
峯岸が、後ろから前田に話しかける。
『前田さん!生徒会長!ここは、わたしたちに任せて、先に進んでください!』
スズランが、叫ぶ。
『おらー!』
ミナは、鋭い踏み込みで、白銀色の拳を、クワバラの顔面に打ち込む。何発もー。
『どうだ!鉄の拳の味は?』
『なかなか、いいパンチぜよ』
『マジかよ…』
これだけ、手応えのない、反応のない相手は初めてだった。
スズランは、前田と峯岸に、駆け寄り、
『さあ、早く!だるまさんたちは十階に監禁されてます。でも、扉には、鍵がかかってるらしく…九階の須田が持ってるって、裏の入り口の見張りが言ってました!どんな酷い目にあってるかわかりません!急いで!』
そう言って、部屋を出るように二人の手をひく。
前田と峯岸がアイコンタクトをとる。
『大場!』
鋭い峯岸の声。
スズランの手を振りほどき、振り向きざま、落ちている木刀の切れ端ー柄のほうーを握り、ミナの後ろから、クワバラの左手に、打ち込む。逆小手。
『ぐっ!』
思いもよらぬ攻撃。
さらに、峯岸の背後から、前田が絶妙のタイミングで飛び出し、クワバラの左わき腹に、右拳を放った。えぐり込むような一撃。
『ぐぅ!』
クワバラが、片膝をついた。苦悶の表情。
『やはり…。ずっと、そこを庇ってたな…闘いながら…』
クワバラにとっての、アキレウスの踵。弱点。古い傷。
それを見て、ミナとスズランは、感嘆のため息をもらしていた。
『やっぱ先輩たちは、すげーな。さあ!あとは、オレたちに、まかせて先へ!』
『ここまでは、向田マナツさんに案内してもらいました。マナツさんは、組織を抜けて、前田さんに借りを返すんだ、って言ってました!』
絶対、こいつを倒して追いつきます!だから、早くー!
峯岸の問いかけに
前田は、後ろを振り返らずに、
「いまは、あの二人を信じよう!」
前だけを見すえて、そう言った。
(勝てよ…。大場、山内…)
九階ー
重い扉に手をかける前田。
ここに、あの須田アカリがいる。一度闘った相手になりきれるという、謎に満ちた敵。そして、六階で見せた最後のあのしぐさは…?
考えても仕方がない。いまは、前に進むしかー。仲間を助けるために。
鍵は、ここにある。
ガチャリ
広い室内には、ピーンと張り詰めた空気がー。急激に、気温が下がった感覚。
「はあ…はあ…」
「マナツ…。拳が見えちゃってるよ」
向田マナツと須田アカリが、部屋の中央で相対していた。
明らかに、マナツのほうが、息を切らしており、劣勢のように見えた。マナツの見えない拳が、須田には、見切られていた。
「前田…。来ましたか…。もうすぐ…、終わります…。そのあとは…わたしと勝負…です」
マナツの強がり。
「マナツ。ありがとう。あいつは、おれがやる!」
チームホルモンとカナの敵。
仲間の救出の為。
「やっほー!前田。…と、お姫様」
にっこり笑う須田。
攫った張本人と攫われた人質。
「よくも、不意打ちなどしてくれたな!正々堂々、勝負しろ!」
お姫様と呼ばれた
峯岸も、忸怩たる思いを言葉に込める。
「もう、お姫様の役割も終わったし、倒しちゃってもいいかな」
「まだ、わたしがいますよ…須田…」
マナツが、よろよろと、峯岸と前田の前に立つ。
「そんなに、前田と闘いたい?」
小悪魔の笑み。楽しい思いつき。
須田の雰囲気が、一変した。
かけてもいない
眼鏡を外すしぐさー。
そして
三人を睨みつけ、言う。
「『マジにならなきゃ…勝てねーよ!』」
「あいつら、大丈夫かな?」
峯岸が、後ろから前田に話しかける。
『前田さん!生徒会長!ここは、わたしたちに任せて、先に進んでください!』
スズランが、叫ぶ。
『おらー!』
ミナは、鋭い踏み込みで、白銀色の拳を、クワバラの顔面に打ち込む。何発もー。
『どうだ!鉄の拳の味は?』
『なかなか、いいパンチぜよ』
『マジかよ…』
これだけ、手応えのない、反応のない相手は初めてだった。
スズランは、前田と峯岸に、駆け寄り、
『さあ、早く!だるまさんたちは十階に監禁されてます。でも、扉には、鍵がかかってるらしく…九階の須田が持ってるって、裏の入り口の見張りが言ってました!どんな酷い目にあってるかわかりません!急いで!』
そう言って、部屋を出るように二人の手をひく。
前田と峯岸がアイコンタクトをとる。
『大場!』
鋭い峯岸の声。
スズランの手を振りほどき、振り向きざま、落ちている木刀の切れ端ー柄のほうーを握り、ミナの後ろから、クワバラの左手に、打ち込む。逆小手。
『ぐっ!』
思いもよらぬ攻撃。
さらに、峯岸の背後から、前田が絶妙のタイミングで飛び出し、クワバラの左わき腹に、右拳を放った。えぐり込むような一撃。
『ぐぅ!』
クワバラが、片膝をついた。苦悶の表情。
『やはり…。ずっと、そこを庇ってたな…闘いながら…』
クワバラにとっての、アキレウスの踵。弱点。古い傷。
それを見て、ミナとスズランは、感嘆のため息をもらしていた。
『やっぱ先輩たちは、すげーな。さあ!あとは、オレたちに、まかせて先へ!』
『ここまでは、向田マナツさんに案内してもらいました。マナツさんは、組織を抜けて、前田さんに借りを返すんだ、って言ってました!』
絶対、こいつを倒して追いつきます!だから、早くー!
峯岸の問いかけに
前田は、後ろを振り返らずに、
「いまは、あの二人を信じよう!」
前だけを見すえて、そう言った。
(勝てよ…。大場、山内…)
九階ー
重い扉に手をかける前田。
ここに、あの須田アカリがいる。一度闘った相手になりきれるという、謎に満ちた敵。そして、六階で見せた最後のあのしぐさは…?
考えても仕方がない。いまは、前に進むしかー。仲間を助けるために。
鍵は、ここにある。
ガチャリ
広い室内には、ピーンと張り詰めた空気がー。急激に、気温が下がった感覚。
「はあ…はあ…」
「マナツ…。拳が見えちゃってるよ」
向田マナツと須田アカリが、部屋の中央で相対していた。
明らかに、マナツのほうが、息を切らしており、劣勢のように見えた。マナツの見えない拳が、須田には、見切られていた。
「前田…。来ましたか…。もうすぐ…、終わります…。そのあとは…わたしと勝負…です」
マナツの強がり。
「マナツ。ありがとう。あいつは、おれがやる!」
チームホルモンとカナの敵。
仲間の救出の為。
「やっほー!前田。…と、お姫様」
にっこり笑う須田。
攫った張本人と攫われた人質。
「よくも、不意打ちなどしてくれたな!正々堂々、勝負しろ!」
お姫様と呼ばれた
峯岸も、忸怩たる思いを言葉に込める。
「もう、お姫様の役割も終わったし、倒しちゃってもいいかな」
「まだ、わたしがいますよ…須田…」
マナツが、よろよろと、峯岸と前田の前に立つ。
「そんなに、前田と闘いたい?」
小悪魔の笑み。楽しい思いつき。
須田の雰囲気が、一変した。
かけてもいない
眼鏡を外すしぐさー。
そして
三人を睨みつけ、言う。
「『マジにならなきゃ…勝てねーよ!』」
#13ー8☆
「むにゃむにゃ…もう少し、寝かせて…あと一分だけ…」
アンダーガールズ本部ビル二階の部屋には、チームホルモンの五人が、絨毯に横たわり、眠っていた。
「寝言か…?」
ウナギの寝ぼけ声に
ヲタが、目を覚ました。
「ヲタ…大丈夫か?」
バンジーも、目を覚ます。
「まさか、敵だったやつに助けられるとはな…。これも、前田の人徳ってやつか…」
二階の守護者、平松カナのことである。力尽き、倒れこんでいたところを、カナに助けられ、手当てされたのだった。
「ヲタ…。お前、ずっと、前田になりたかったんだな…。強くて、優しい、死闘を繰り広げた敵でさえ、味方にしてしまう…そんな懐の大きな…」
「そりゃ、そうだろ!目指すは、てっぺんに決まってんだろが!」
照れ隠しに、心ならず、怒鳴ってしまうヲタ。
それを、理解するバンジー。
「同じチームに四番バッターはひとりでいいと思うぜ」
「野球は、よくわかんねー」
「ちっ!サッカーでいうとだな…、前田やサドは点取り屋のフォワードみたいなものだ。でも、みんながフォワードになりたいと思って、チーム全員がフォワードだったら、バランス悪いだろ?ゲームを組み立てる司令塔や、サイドを切り込むサイドバック、相手の攻めを防ぐディフェンス、最後の守護神ゴールキーパーなんかがいて、初めて、チームが成り立つんじゃないか?マジ女っていう、チームがな」
「いいこと言うな。たまには…」
「たまには…な」
バンジーが、肩をすくめて笑った。
「そうだな…。いまは、まだ、足手まといかもしれない…。だったら、おれの出来ることを命懸けでやるだけだ!でも、いつか、おれもエースストライカーになってやるぜ!よっしゃ、体力も回復したことだし、いっちょ、ウチのエースを助けに行くか!」
「わたしも行く!」
唐突に
ムクチが、身体を起こして言った。
「おれも、行くぜ!」
「もちろん、おれだって!」
ウナギ、アキチャも、話を聞いていたようだ。
「おれ、今日、あんまり活躍してないからな」
アキチャが、不服そうに言った。
「おれもだ。やってやるぜ!身体も軽くなったし、痛みもなくなった。あのカナって奴、白魔法つかえるのかな?」
身体を眺め回すウナギ。
「鎮痛剤が効いてきたんだろ」
バンジーは、常に、現実的だった。
「………」
ムクチが、立ち上がって、何かを指差していた。
テーブルの上に五本の小瓶があった。髑髏のラベル。手紙が添えられてある。
『目が覚めて、闘志があれば、飲んでください。もきゅ』
「こ、これは、ポーション!?」
「FFから、離れろって!」
RPGが頭から離れない
ウナギとバンジーの間を、かき分けて、瓶を手にするヲタ。
続いて、ムクチ、アキチャ、バンジー、ウナギの順に瓶を掴んでいった。
お互いに目線を交わし合う。
一斉に、蓋をあけ、一気に飲み干す五人。
ヲタが、空になった瓶をテーブルに叩きつけるように置いて、言った。
「おれたちは、前田やゲキカラには、なれねー。だからって、尻尾まいて、逃げたりしねー。おれたちが出来ること、おれたちにしか出来ねーことがあるはずだ。気合い入れろ!マジ女魂を忘れるな!」
ヲタの言葉にうなずく四人。
「よっしゃ行くぞ!チームホルモン!」
「おう!」
五人の声が、室内に木霊した。ギリギリの再始動だ。

アンダーガールズ本部ビル二階の部屋には、チームホルモンの五人が、絨毯に横たわり、眠っていた。
「寝言か…?」
ウナギの寝ぼけ声に
ヲタが、目を覚ました。
「ヲタ…大丈夫か?」
バンジーも、目を覚ます。
「まさか、敵だったやつに助けられるとはな…。これも、前田の人徳ってやつか…」
二階の守護者、平松カナのことである。力尽き、倒れこんでいたところを、カナに助けられ、手当てされたのだった。
「ヲタ…。お前、ずっと、前田になりたかったんだな…。強くて、優しい、死闘を繰り広げた敵でさえ、味方にしてしまう…そんな懐の大きな…」
「そりゃ、そうだろ!目指すは、てっぺんに決まってんだろが!」
照れ隠しに、心ならず、怒鳴ってしまうヲタ。
それを、理解するバンジー。
「同じチームに四番バッターはひとりでいいと思うぜ」
「野球は、よくわかんねー」
「ちっ!サッカーでいうとだな…、前田やサドは点取り屋のフォワードみたいなものだ。でも、みんながフォワードになりたいと思って、チーム全員がフォワードだったら、バランス悪いだろ?ゲームを組み立てる司令塔や、サイドを切り込むサイドバック、相手の攻めを防ぐディフェンス、最後の守護神ゴールキーパーなんかがいて、初めて、チームが成り立つんじゃないか?マジ女っていう、チームがな」
「いいこと言うな。たまには…」
「たまには…な」
バンジーが、肩をすくめて笑った。
「そうだな…。いまは、まだ、足手まといかもしれない…。だったら、おれの出来ることを命懸けでやるだけだ!でも、いつか、おれもエースストライカーになってやるぜ!よっしゃ、体力も回復したことだし、いっちょ、ウチのエースを助けに行くか!」
「わたしも行く!」
唐突に
ムクチが、身体を起こして言った。
「おれも、行くぜ!」
「もちろん、おれだって!」
ウナギ、アキチャも、話を聞いていたようだ。
「おれ、今日、あんまり活躍してないからな」
アキチャが、不服そうに言った。
「おれもだ。やってやるぜ!身体も軽くなったし、痛みもなくなった。あのカナって奴、白魔法つかえるのかな?」
身体を眺め回すウナギ。
「鎮痛剤が効いてきたんだろ」
バンジーは、常に、現実的だった。
「………」
ムクチが、立ち上がって、何かを指差していた。
テーブルの上に五本の小瓶があった。髑髏のラベル。手紙が添えられてある。
『目が覚めて、闘志があれば、飲んでください。もきゅ』
「こ、これは、ポーション!?」
「FFから、離れろって!」
RPGが頭から離れない
ウナギとバンジーの間を、かき分けて、瓶を手にするヲタ。
続いて、ムクチ、アキチャ、バンジー、ウナギの順に瓶を掴んでいった。
お互いに目線を交わし合う。
一斉に、蓋をあけ、一気に飲み干す五人。
ヲタが、空になった瓶をテーブルに叩きつけるように置いて、言った。
「おれたちは、前田やゲキカラには、なれねー。だからって、尻尾まいて、逃げたりしねー。おれたちが出来ること、おれたちにしか出来ねーことがあるはずだ。気合い入れろ!マジ女魂を忘れるな!」
ヲタの言葉にうなずく四人。
「よっしゃ行くぞ!チームホルモン!」
「おう!」
五人の声が、室内に木霊した。ギリギリの再始動だ。
