#14ー8☆
二階
ムクチが鬼のように、鋭いパンチを繰り出し、アンダーガールズ隊員を倒し続けていた。鬼気迫る表情。
その眼前に、泰然としてあらわれた大柄な紫の特攻服。
「なかなかやるな…おれは、アンダーガールズ二番隊、副隊長…」
「聞いてねーんだよ!ボケ!」
ムクチが、一撃のもとにたたき伏せる。ヘビー級ボクサーのような体躯の副隊長は、それきり、起き上がってくることはなかった。
ムクチの暴走モード継続中である。
「東京湾、泳がすぞ!おらぁ!」
絶好調のアキチャ。
「おい、アキチャ、大丈夫か?」
ウナギがアキチャの後背の敵を倒し、話しかける。
「ああ、なんとかな…。半分くらいは減ったか」
余裕が出てきたのか、性格なのか、軽口をききはじめるウナギ。
「そういや、さっき、面白いやつがいたぜ。キャップかぶってんだけどさ、そのキャップから超汗が流れてるやつ。ワンパンで倒したけどな。そいつのあだ名が…」
「ウナギ!後ろ!」
アキチャが叫ぶ。
ウナギが振り返ると、そこにはー
「キャップびちゃ子ー!」
噂をすれば…影。
キャップをかぶり、相変わらず汗をダラダラ流している、キャップびちゃ子が、木刀を大きく振りかぶっていた。
一方
バンジーは、紫の特攻服をかきわけ、そのまま、速度と勢いを落とさず、アンダーガールズ二番隊、隊長ー古川アイリの前にたどり着いた。
「お前…、古川アイリだよな…」
「ククク…それを知っていて、おれの前に立つとは、死にたいらしいな」
アイリから発散される凄まじいオーラに気圧されるバンジー。思わず、後ずさる。
「おい!バンジー!抜け駆けすんじゃねー!」
ヲタは、少し離れたところで、三人の隊員相手に立ち回っていた。
「ククク…、仲間が、ああ言ってくれてるぞ。あいつが来るまで待つか?」
「ふざけんな!」
バンジーが殴りかかる。
それを見て、アイリが、右拳で、バンジーをなぎはらった。
壁まで数メートル吹き飛ぶバンジー。
「く、くそ…」
アイリは、薄笑いを浮かべていた。
全然、本気を出している様子はない。
(遊んでやがる…)
憎々しげに、鋭い目線で、アイリを睨みつけるバンジーだった。
ムクチが鬼のように、鋭いパンチを繰り出し、アンダーガールズ隊員を倒し続けていた。鬼気迫る表情。
その眼前に、泰然としてあらわれた大柄な紫の特攻服。
「なかなかやるな…おれは、アンダーガールズ二番隊、副隊長…」
「聞いてねーんだよ!ボケ!」
ムクチが、一撃のもとにたたき伏せる。ヘビー級ボクサーのような体躯の副隊長は、それきり、起き上がってくることはなかった。
ムクチの暴走モード継続中である。
「東京湾、泳がすぞ!おらぁ!」
絶好調のアキチャ。
「おい、アキチャ、大丈夫か?」
ウナギがアキチャの後背の敵を倒し、話しかける。
「ああ、なんとかな…。半分くらいは減ったか」
余裕が出てきたのか、性格なのか、軽口をききはじめるウナギ。
「そういや、さっき、面白いやつがいたぜ。キャップかぶってんだけどさ、そのキャップから超汗が流れてるやつ。ワンパンで倒したけどな。そいつのあだ名が…」
「ウナギ!後ろ!」
アキチャが叫ぶ。
ウナギが振り返ると、そこにはー
「キャップびちゃ子ー!」
噂をすれば…影。
キャップをかぶり、相変わらず汗をダラダラ流している、キャップびちゃ子が、木刀を大きく振りかぶっていた。
一方
バンジーは、紫の特攻服をかきわけ、そのまま、速度と勢いを落とさず、アンダーガールズ二番隊、隊長ー古川アイリの前にたどり着いた。
「お前…、古川アイリだよな…」
「ククク…それを知っていて、おれの前に立つとは、死にたいらしいな」
アイリから発散される凄まじいオーラに気圧されるバンジー。思わず、後ずさる。
「おい!バンジー!抜け駆けすんじゃねー!」
ヲタは、少し離れたところで、三人の隊員相手に立ち回っていた。
「ククク…、仲間が、ああ言ってくれてるぞ。あいつが来るまで待つか?」
「ふざけんな!」
バンジーが殴りかかる。
それを見て、アイリが、右拳で、バンジーをなぎはらった。
壁まで数メートル吹き飛ぶバンジー。
「く、くそ…」
アイリは、薄笑いを浮かべていた。
全然、本気を出している様子はない。
(遊んでやがる…)
憎々しげに、鋭い目線で、アイリを睨みつけるバンジーだった。
#14ー7☆
須田の動きは縦横無尽なものだった。天才的な野性のカン。自然と、理にかなった攻撃。それに、ついていけない前田。幾度となく、傷つき、倒されていた。
峯岸は、その闘いを、ほぞをかむような思いで見つめていた。須田の特殊能力は、それほどまで、本人になりきることができるのか…。
「『前田ぁ!そんなものか?がっかりさせんなよ!』」
「はぁ…、はぁ…」
須田の風雨のようなパンチやキックにさらされ
瀕死にあえぐ前田。さらに、顔や全身の傷が増えていった。
(強い…たしかに、でも…)
何かが、違う。絶対に違う。
「あああああああ!」
前田の起死回生の雄叫び。
前田は、握る拳に、ちからを込めた。
気合いの入った前田のパンチの連打。
避けきれず、何発もくらう須田。
「うおおおおお!」
前田のラッシュは止まらない。
「『ぐはっ!ぐほ!』」
須田は、反撃することも出来ず、防戦一方になっていた。
(前田…、お前は、闘いのなかでも、どんどん強くなっていくんだな…)
感慨深く見つめる峯岸。
前田は、殴り続けながら叫ぶ。
「須田!お前は、お前なんだ!ほかの誰かになんか、なれないんだよ!」
前田が、渾身のちからを左パンチに込めて放った。
吹き飛び、床をすべり転がる須田。
「発勁を受けてわかった…。威力がカノンのものと違うと…。モノマネは、所詮、モノマネ。マナツが言ってたように…。さっきの動きが、誰なのかはわからない。でも、お前は知らないだろう。そのひとの“凄さ”を…、ほんとうの“マジ”を」
卒業式のことを思い起こす前田。
よろよろと、須田が壁づたいに、姿勢を保つ。素の状態に戻っていた。
「わたしは…、あなたに見てほしかった…。これだけ強くなったこと…。ずっと…、見続けてきた、あなたに…。そして…、勝ちたい…。勝たなきゃいけない…。わたしの恩人であるあなたに…」
「恩人…?」
「勝つことが、恩返しなんだ!」
須田が、超スピードで姿を消した。
何もない空間から、須田の拳が突然あらわれる。
「くっ!」
距離をとる前田。頬が裂ける。
さらに追撃。
(迅い…。でも、動き出す前の一瞬を狙えば…)
須田が消える前に、動き出す前に、奥の手をー。“龍神”をー。打つ。
(いくよ…、みなみ)
祈る。
“龍神”
相手との距離を常人では捉えられないくらいのスピードで、一気に詰め、その運動エネルギーを全身に集約し、極限まで引き締めた筋肉、バネ、気の力を左の拳に乗せ、斜め下方から、一気に解放するように相手の顎に打ち込む。打ち終わったあと、左腕、全身が伸びあがる様は、まるで…。
前田が、須田との距離をはかる。
そして
一気に、動き出す前の須田との距離を詰め、
“龍神”を打ち込んだ。
打ち込んだ、はずだった。
しかし、ほんの一瞬、紙一重の差
須田が、上半身を反らし、かろうじて、かわしていた。
身体がバランスを失調し、うつ伏せに倒れる前田。
「かわされた…」
初めて…
呆然とする前田。疲労感が一気に、前田を襲う。全身の脱力感。
「あぶなかった…、あのとき見ていなかったら…」
須田は、中学時代の前田のアノ喧嘩も見ていた、知っていたのだ。
「前田!わたしは、今日ここで、あなたを超える!」
峯岸は、その闘いを、ほぞをかむような思いで見つめていた。須田の特殊能力は、それほどまで、本人になりきることができるのか…。
「『前田ぁ!そんなものか?がっかりさせんなよ!』」
「はぁ…、はぁ…」
須田の風雨のようなパンチやキックにさらされ
瀕死にあえぐ前田。さらに、顔や全身の傷が増えていった。
(強い…たしかに、でも…)
何かが、違う。絶対に違う。
「あああああああ!」
前田の起死回生の雄叫び。
前田は、握る拳に、ちからを込めた。
気合いの入った前田のパンチの連打。
避けきれず、何発もくらう須田。
「うおおおおお!」
前田のラッシュは止まらない。
「『ぐはっ!ぐほ!』」
須田は、反撃することも出来ず、防戦一方になっていた。
(前田…、お前は、闘いのなかでも、どんどん強くなっていくんだな…)
感慨深く見つめる峯岸。
前田は、殴り続けながら叫ぶ。
「須田!お前は、お前なんだ!ほかの誰かになんか、なれないんだよ!」
前田が、渾身のちからを左パンチに込めて放った。
吹き飛び、床をすべり転がる須田。
「発勁を受けてわかった…。威力がカノンのものと違うと…。モノマネは、所詮、モノマネ。マナツが言ってたように…。さっきの動きが、誰なのかはわからない。でも、お前は知らないだろう。そのひとの“凄さ”を…、ほんとうの“マジ”を」
卒業式のことを思い起こす前田。
よろよろと、須田が壁づたいに、姿勢を保つ。素の状態に戻っていた。
「わたしは…、あなたに見てほしかった…。これだけ強くなったこと…。ずっと…、見続けてきた、あなたに…。そして…、勝ちたい…。勝たなきゃいけない…。わたしの恩人であるあなたに…」
「恩人…?」
「勝つことが、恩返しなんだ!」
須田が、超スピードで姿を消した。
何もない空間から、須田の拳が突然あらわれる。
「くっ!」
距離をとる前田。頬が裂ける。
さらに追撃。
(迅い…。でも、動き出す前の一瞬を狙えば…)
須田が消える前に、動き出す前に、奥の手をー。“龍神”をー。打つ。
(いくよ…、みなみ)
祈る。
“龍神”
相手との距離を常人では捉えられないくらいのスピードで、一気に詰め、その運動エネルギーを全身に集約し、極限まで引き締めた筋肉、バネ、気の力を左の拳に乗せ、斜め下方から、一気に解放するように相手の顎に打ち込む。打ち終わったあと、左腕、全身が伸びあがる様は、まるで…。
前田が、須田との距離をはかる。
そして
一気に、動き出す前の須田との距離を詰め、
“龍神”を打ち込んだ。
打ち込んだ、はずだった。
しかし、ほんの一瞬、紙一重の差
須田が、上半身を反らし、かろうじて、かわしていた。
身体がバランスを失調し、うつ伏せに倒れる前田。
「かわされた…」
初めて…
呆然とする前田。疲労感が一気に、前田を襲う。全身の脱力感。
「あぶなかった…、あのとき見ていなかったら…」
須田は、中学時代の前田のアノ喧嘩も見ていた、知っていたのだ。
「前田!わたしは、今日ここで、あなたを超える!」
#14ー6☆
九階ー
「“マジの意味”…か。六階でのこと、気になってるんでしょ」
須田が、見透かしたように言う。六階での闘いで、最後にみせた須田の仕草。
「…知ってるのか?」
大島優子のことー
「わたしは、あなたのことなら、なんでも知ってるよ。あなたに関わりのあるひとも、すべてね。大島優子のことも、高橋みなみのことも…なんでも…」
(だって…、ずっと、見てきたんだから…)
「お前…、いったい誰なんだ?」
「自分でも、わからないよ…もう」
本音がもれる。聞き取れないくらい小さなつぶやき。
「『いくぞ!前田!』」口調が変わる。
いきなりの“発勁”の構え。
それに対する
前田の対応は素早かった。瞬時に、須田の右掌に、左の拳を打ち込む。発勁に合わせるようにー。
激烈な相打ちー。
両者が、すごい勢いで、反発する磁石のように吹き飛んだ。
「くっ!」
「『ぐっ!』」
「前田!」
発勁の威力は、先程、目の当たりにしたばかりの峯岸。その破壊力は、推して知るべしだった。
「大丈夫…」
前田が立ち上がる。
もう、何度となく。
倒れては、また、立ち上がる。いつ果てるともしれない闘い。
「みんなが…、おれのために闘ってくれた…そして、今でも…」
ゲキカラ、ヲタ、バンジー、アキチャ、ウナギ、ムクチ、カナ、大場、山内、生徒会長、マナツ、そして、だるま、学ラン、トモミ、アスカ。
「もう少し…だ」
もう少しで終わる。終わらせる。不断の決意。
須田も立ち上がる。
「『前田、そんなんじゃあ、わたしには勝てねーぞ』」
須田の雰囲気や顔つきが、先程までの“木本カノン”ではなくなっていた。
右手で前髪をかきあげる仕草。堂々とした風格。
「うああああ!」
臆することなく、前田が攻めこむ。
右の拳が須田の顔面に決まる。
涼しい顔。
逆に、右の拳を顔面に返される前田。意識が飛びそうになる衝撃。
「『はははははは!楽しい!』」
喧嘩を心から楽しんでいるような須田。
(あの動きは…)
峯岸は、思い出していた。懐かしい人物の面影をー。同時に畏怖の念も沸き起こる。
(勝てるのか…?)
喧嘩をするために生まれてきたような彼女にー。
しかし
すぐに、峯岸は、その考えを打ち消すように頭を振る。
そして、叫んでいた。
「前田ー!行けー!お前なら勝てる!お前は…
お前は、マジ女のてっぺんなんだー!」
「“マジの意味”…か。六階でのこと、気になってるんでしょ」
須田が、見透かしたように言う。六階での闘いで、最後にみせた須田の仕草。
「…知ってるのか?」
大島優子のことー
「わたしは、あなたのことなら、なんでも知ってるよ。あなたに関わりのあるひとも、すべてね。大島優子のことも、高橋みなみのことも…なんでも…」
(だって…、ずっと、見てきたんだから…)
「お前…、いったい誰なんだ?」
「自分でも、わからないよ…もう」
本音がもれる。聞き取れないくらい小さなつぶやき。
「『いくぞ!前田!』」口調が変わる。
いきなりの“発勁”の構え。
それに対する
前田の対応は素早かった。瞬時に、須田の右掌に、左の拳を打ち込む。発勁に合わせるようにー。
激烈な相打ちー。
両者が、すごい勢いで、反発する磁石のように吹き飛んだ。
「くっ!」
「『ぐっ!』」
「前田!」
発勁の威力は、先程、目の当たりにしたばかりの峯岸。その破壊力は、推して知るべしだった。
「大丈夫…」
前田が立ち上がる。
もう、何度となく。
倒れては、また、立ち上がる。いつ果てるともしれない闘い。
「みんなが…、おれのために闘ってくれた…そして、今でも…」
ゲキカラ、ヲタ、バンジー、アキチャ、ウナギ、ムクチ、カナ、大場、山内、生徒会長、マナツ、そして、だるま、学ラン、トモミ、アスカ。
「もう少し…だ」
もう少しで終わる。終わらせる。不断の決意。
須田も立ち上がる。
「『前田、そんなんじゃあ、わたしには勝てねーぞ』」
須田の雰囲気や顔つきが、先程までの“木本カノン”ではなくなっていた。
右手で前髪をかきあげる仕草。堂々とした風格。
「うああああ!」
臆することなく、前田が攻めこむ。
右の拳が須田の顔面に決まる。
涼しい顔。
逆に、右の拳を顔面に返される前田。意識が飛びそうになる衝撃。
「『はははははは!楽しい!』」
喧嘩を心から楽しんでいるような須田。
(あの動きは…)
峯岸は、思い出していた。懐かしい人物の面影をー。同時に畏怖の念も沸き起こる。
(勝てるのか…?)
喧嘩をするために生まれてきたような彼女にー。
しかし
すぐに、峯岸は、その考えを打ち消すように頭を振る。
そして、叫んでいた。
「前田ー!行けー!お前なら勝てる!お前は…
お前は、マジ女のてっぺんなんだー!」