マジすか学園3☆#4ー5☆
ただ、茫然と、人波に紛れ消えていく“彼女”を、エレナは眺めていた。
存在(い)るはずがない。他人の空似?
世の中には同じ顔を持つひとが三人はいるという。
「メガネ…、かけてた」
冷たい夜気が、身体を震わす。
はっと我にかえり、目的を思い出す。
「急げー!」
再び駆け出し
レンタルショップへ急ぐエレナだった。
同時刻ー
「チェック(王手)です」
広尾にある、超高級高層マンションの最上階の一室。
アンダーガールズ総統ー太田リオナの自室。
広々としたリビング。ふかふかの絨毯。高価な調度品に囲まれ
リオナとアンダーガールズ一番隊隊長が、ゆったりとしたソファに座り、チェス盤を挟んでいた。クラシックの音楽が流れている。
「容赦ねーな。お前は…。いつも」
長い黒髪に鋭く綺麗な瞳。優雅さのなかに獰猛な何かを感じさせるリオナが、王手をかけられ不満げにつぶやく。
「いついかなるときでも、たとえ、相手が総統であっても…手加減はいたしません」
冷静に応対する隊長。
「ところで…、九番隊の後藤が、やられたらしいな…どうするよ?」
リオナが顔つきを豹変させて、言った。
「はい…。ついに…、“西”が動き始めました。対するわが組織は、総参謀の大矢、親衛隊長の高柳、特攻隊長の向田、いずれも造反。親衛隊はバラバラ、三番隊の平田も、行方知れず。ほとんどの隊長はニューヨーク。戦力を比較分析すれば、原則、こちらが不利…」
(気になる勢力も…)
「原則論は聞いてねー。お前の考えはどうなんだ?ディーヴァやマジ女になめられっぱなしでいいのか?」
「いえ、我々、一番隊におまかせいただければ…何の問題もありません」
一番隊
アンダーガールズ隊員中、最強のメンバー百名が所属する隊。
隊長は、総統ー太田リオナに匹敵する実力の持ち主。
その言葉を聞き
リオナは、すっくと立ち上がり、微笑んだかと思うと、勢いよく右の拳を振り下ろした。
チェス盤が、粉々に砕け、駒が飛び散る。
「ディーヴァ…、うちに手を出したこと…後悔させてやる!返り討ちだ!…マジ女もディーヴァも、ぶっ潰せ!どこが最強かやつらに教えてやれ!」
アンダーガールズを結成し、拳ひとつで組織を東京最大勢力まで押し上げた総統ー。負けることは何より嫌いだった。
太田リオナは、壁一面のガラス窓に歩み寄り、最上階からの真っ黒な東京のビル群を見下ろし、ふんと鼻を鳴らし、言う。
「お前が出たら、マジ女もディーヴァも…、すぐに…、チェックメイト…だな」
存在(い)るはずがない。他人の空似?
世の中には同じ顔を持つひとが三人はいるという。
「メガネ…、かけてた」
冷たい夜気が、身体を震わす。
はっと我にかえり、目的を思い出す。
「急げー!」
再び駆け出し
レンタルショップへ急ぐエレナだった。
同時刻ー
「チェック(王手)です」
広尾にある、超高級高層マンションの最上階の一室。
アンダーガールズ総統ー太田リオナの自室。
広々としたリビング。ふかふかの絨毯。高価な調度品に囲まれ
リオナとアンダーガールズ一番隊隊長が、ゆったりとしたソファに座り、チェス盤を挟んでいた。クラシックの音楽が流れている。
「容赦ねーな。お前は…。いつも」
長い黒髪に鋭く綺麗な瞳。優雅さのなかに獰猛な何かを感じさせるリオナが、王手をかけられ不満げにつぶやく。
「いついかなるときでも、たとえ、相手が総統であっても…手加減はいたしません」
冷静に応対する隊長。
「ところで…、九番隊の後藤が、やられたらしいな…どうするよ?」
リオナが顔つきを豹変させて、言った。
「はい…。ついに…、“西”が動き始めました。対するわが組織は、総参謀の大矢、親衛隊長の高柳、特攻隊長の向田、いずれも造反。親衛隊はバラバラ、三番隊の平田も、行方知れず。ほとんどの隊長はニューヨーク。戦力を比較分析すれば、原則、こちらが不利…」
(気になる勢力も…)
「原則論は聞いてねー。お前の考えはどうなんだ?ディーヴァやマジ女になめられっぱなしでいいのか?」
「いえ、我々、一番隊におまかせいただければ…何の問題もありません」
一番隊
アンダーガールズ隊員中、最強のメンバー百名が所属する隊。
隊長は、総統ー太田リオナに匹敵する実力の持ち主。
その言葉を聞き
リオナは、すっくと立ち上がり、微笑んだかと思うと、勢いよく右の拳を振り下ろした。
チェス盤が、粉々に砕け、駒が飛び散る。
「ディーヴァ…、うちに手を出したこと…後悔させてやる!返り討ちだ!…マジ女もディーヴァも、ぶっ潰せ!どこが最強かやつらに教えてやれ!」
アンダーガールズを結成し、拳ひとつで組織を東京最大勢力まで押し上げた総統ー。負けることは何より嫌いだった。
太田リオナは、壁一面のガラス窓に歩み寄り、最上階からの真っ黒な東京のビル群を見下ろし、ふんと鼻を鳴らし、言う。
「お前が出たら、マジ女もディーヴァも…、すぐに…、チェックメイト…だな」
マジすか学園3☆#4ー4☆
「やっばい!今日までだよ!返しに行かなきゃ」
DVDの返却期限が、今日までだということに気づいた小野エレナ。
ピンクの部屋着のまま、家を飛び出した。
歩いて20分の駅前のレンタルショップに向かって、ひた走る。
「やばいよー!」
夜は深いが
駅に近づくにつれ、人影は増えてきた。あわてて家を出たので、左右の靴が違う。
息がきれてくる。走るスピードを緩める。
「えっ!?」
思わず、声をもらし
固まるエレナ。
人混みに、知った顔をみとめた。でも…、まさか…
「みなみ…?」
DVDの返却期限が、今日までだということに気づいた小野エレナ。
ピンクの部屋着のまま、家を飛び出した。
歩いて20分の駅前のレンタルショップに向かって、ひた走る。
「やばいよー!」
夜は深いが
駅に近づくにつれ、人影は増えてきた。あわてて家を出たので、左右の靴が違う。
息がきれてくる。走るスピードを緩める。
「えっ!?」
思わず、声をもらし
固まるエレナ。
人混みに、知った顔をみとめた。でも…、まさか…
「みなみ…?」
マジすか学園3☆#4ー3☆
「それが、噂の…、死の宣告か」
「お前の姉は、アンダーガールズに入ったお前を…心配していた」
アンダーガールズ
ー都内最狂最悪の暴走レディース集団。
「うるせぇよ!」
高田の右のパンチが、足枷を強いられたブラックの顔面に飛ぶ。
「組織も…、大きくなりすぎると…、末端まで目が、行き届かなくなる…ちょうど腐り始めた頃だった…」
「だまれ!」
心の奥の何かに触れられた感覚。押しつぶされそうな何かを振り払うように、殴りつける高田。ブラックの目は鋭く、光り輝く。
「初期は、アンダーガールズも硬派な集団だったが…お前は愕然としただろう…、それが、いまでは、腐りきったまわりのクズに流され、こうなってしまった…、正々堂々、わたしを倒して、姉を超えてみろ!」
「だまれ!だまれ!だまれー!」
わめきちらし、再び、角材を手にする高田。それを持ち上げ、振り下ろした。
ガツッ!
ブラックの左足の足枷であるトラバサミに、角材を差し込む。ちからを込め、高田は、トラバサミを広げ始めた。
「ぐぅ!」
「高田…?」
「別に!こんな罠なんかなくたって、お前を倒せるんだ!おれは姉貴より強いんだ!」
ぎりぎりと、トラバサミの歯が広がり、ブラックの左足は牙の罠から抜け出すことが出来た。
ブラックが、黒のスカジャンのポケットから、何かを取り出し、高田に放り投げる。
包帯の塊だった。
廃材を手にした高田の手は血だらけになっていた。
「そんな手では、拳を握れないだろう…」
自身の足より、相手を気遣うブラック。
「いらねーよ!」
高田は、包帯を投げ捨てた。
そして、ブラックの目の前から消える。高速の動きで攻撃が仕掛けられる。
「くっ!」
高田の拳で、ブラックの顔が跳ねる。
動きを制限されていなくても、傷を負ってなくとも、捉えることは難しい速さだった。
「どうだ!見たか!」
「姉は、もっと迅かったぞ」
「強がりやがって!くたばれ!」
何発も、無防備で高田のパンチを受けるブラック。見えない動き。
踏みとどまる。倒れない。
十数発、打ち込まれたあとー
バシ!バシッと、二つのほぼ重なりあった音が響いた。
仕掛けた高田の顔に傷が出来ていた。
「くそっ!信じらんねーことしやがって!」
ブラックは、攻撃を受けた瞬間、その一瞬で、相手の位置を読み、そこに攻撃を仕掛けたのだ。鋭い動態視力と、素早い動きが身上のブラックにしか出来ない芸当だった。
「高田…、お前は、まだ知らない…“マジ”の意味を…」
(『おめぇは強い!』)
「わたしは、それを…、“あのひと”から教わった」
(『“てっぺん”とるぞ!おれたちで』)
「退屈な毎日から、暗い闇から、“あのひと”は、救ってくれた。そして、同じ志を携え、いくつもの死線をくぐり抜けてきた」
(『おめぇは、今日から、ブラックだ!』)
「“あのひと”は、いつも仲間のために一生懸命だった。そんなかけがえのない“あのひと”のためなら、いつでも命を懸けることができる!」
「ごちゃごちゃ、うるせーんだよ!」
次々と襲いくる
高田の攻撃すべてに、拳を返すブラック。重なっていく拳撃。0コンマ数秒の世界。ブラックは精神的にも肉体的にも、かなり疲弊し、消耗していく。高田のほうも、ダメージは蓄積していった。
「はぁ…、はぁ…」
「ごほっ…、ごほっ!なんなんだよ!?ちくしょう!ああああ!」
高田の攻撃に、初めて、一瞬の隙が見えた。
それに対し、研ぎ澄まされたブラックの拳が、その瞬間を逃すことなく、先にー。
決まる。
強烈な一撃。
「がはっ!」
吹き飛び
仰向けに、地に叩きつけられる高田。大の字に。起き上がろうとしても、もう、起き上がることはできなかった。
しかし
どこか、すがすがしさに溢れた高田の表情。
「これが…、“マジ”か…、なぁ、姉貴は…どうだった?」
「お前の姉も…、“マジ”だったよ」
「そうか…、人質は…R11倉庫にいる…黒の特攻服の木崎には気をつけろ…目的のためには、やり方を選ばねぇ奴だ…おれが言うのもなんだがな」
「お前は、クズに染まりきってはいなかった…、お前の姉の言ってた通りだ…妹はまっすぐな奴だと…」
「ちぇっ、…おれも、マジになれるかな?」
やさしい
微笑みを見せるブラック。
因果は巡る。“マジ”は、受け継がれていくものー。
パン!と、遠くで銃声が聴こえたとき、倉庫内に、ブラックの姿は、すでになかった。
「姉貴…、“マジ”って、本当にすげーんだな…それに…」
高田は転がった包帯の塊を拾う。
「あったかいもんなんだな…」
「お前の姉は、アンダーガールズに入ったお前を…心配していた」
アンダーガールズ
ー都内最狂最悪の暴走レディース集団。
「うるせぇよ!」
高田の右のパンチが、足枷を強いられたブラックの顔面に飛ぶ。
「組織も…、大きくなりすぎると…、末端まで目が、行き届かなくなる…ちょうど腐り始めた頃だった…」
「だまれ!」
心の奥の何かに触れられた感覚。押しつぶされそうな何かを振り払うように、殴りつける高田。ブラックの目は鋭く、光り輝く。
「初期は、アンダーガールズも硬派な集団だったが…お前は愕然としただろう…、それが、いまでは、腐りきったまわりのクズに流され、こうなってしまった…、正々堂々、わたしを倒して、姉を超えてみろ!」
「だまれ!だまれ!だまれー!」
わめきちらし、再び、角材を手にする高田。それを持ち上げ、振り下ろした。
ガツッ!
ブラックの左足の足枷であるトラバサミに、角材を差し込む。ちからを込め、高田は、トラバサミを広げ始めた。
「ぐぅ!」
「高田…?」
「別に!こんな罠なんかなくたって、お前を倒せるんだ!おれは姉貴より強いんだ!」
ぎりぎりと、トラバサミの歯が広がり、ブラックの左足は牙の罠から抜け出すことが出来た。
ブラックが、黒のスカジャンのポケットから、何かを取り出し、高田に放り投げる。
包帯の塊だった。
廃材を手にした高田の手は血だらけになっていた。
「そんな手では、拳を握れないだろう…」
自身の足より、相手を気遣うブラック。
「いらねーよ!」
高田は、包帯を投げ捨てた。
そして、ブラックの目の前から消える。高速の動きで攻撃が仕掛けられる。
「くっ!」
高田の拳で、ブラックの顔が跳ねる。
動きを制限されていなくても、傷を負ってなくとも、捉えることは難しい速さだった。
「どうだ!見たか!」
「姉は、もっと迅かったぞ」
「強がりやがって!くたばれ!」
何発も、無防備で高田のパンチを受けるブラック。見えない動き。
踏みとどまる。倒れない。
十数発、打ち込まれたあとー
バシ!バシッと、二つのほぼ重なりあった音が響いた。
仕掛けた高田の顔に傷が出来ていた。
「くそっ!信じらんねーことしやがって!」
ブラックは、攻撃を受けた瞬間、その一瞬で、相手の位置を読み、そこに攻撃を仕掛けたのだ。鋭い動態視力と、素早い動きが身上のブラックにしか出来ない芸当だった。
「高田…、お前は、まだ知らない…“マジ”の意味を…」
(『おめぇは強い!』)
「わたしは、それを…、“あのひと”から教わった」
(『“てっぺん”とるぞ!おれたちで』)
「退屈な毎日から、暗い闇から、“あのひと”は、救ってくれた。そして、同じ志を携え、いくつもの死線をくぐり抜けてきた」
(『おめぇは、今日から、ブラックだ!』)
「“あのひと”は、いつも仲間のために一生懸命だった。そんなかけがえのない“あのひと”のためなら、いつでも命を懸けることができる!」
「ごちゃごちゃ、うるせーんだよ!」
次々と襲いくる
高田の攻撃すべてに、拳を返すブラック。重なっていく拳撃。0コンマ数秒の世界。ブラックは精神的にも肉体的にも、かなり疲弊し、消耗していく。高田のほうも、ダメージは蓄積していった。
「はぁ…、はぁ…」
「ごほっ…、ごほっ!なんなんだよ!?ちくしょう!ああああ!」
高田の攻撃に、初めて、一瞬の隙が見えた。
それに対し、研ぎ澄まされたブラックの拳が、その瞬間を逃すことなく、先にー。
決まる。
強烈な一撃。
「がはっ!」
吹き飛び
仰向けに、地に叩きつけられる高田。大の字に。起き上がろうとしても、もう、起き上がることはできなかった。
しかし
どこか、すがすがしさに溢れた高田の表情。
「これが…、“マジ”か…、なぁ、姉貴は…どうだった?」
「お前の姉も…、“マジ”だったよ」
「そうか…、人質は…R11倉庫にいる…黒の特攻服の木崎には気をつけろ…目的のためには、やり方を選ばねぇ奴だ…おれが言うのもなんだがな」
「お前は、クズに染まりきってはいなかった…、お前の姉の言ってた通りだ…妹はまっすぐな奴だと…」
「ちぇっ、…おれも、マジになれるかな?」
やさしい
微笑みを見せるブラック。
因果は巡る。“マジ”は、受け継がれていくものー。
パン!と、遠くで銃声が聴こえたとき、倉庫内に、ブラックの姿は、すでになかった。
「姉貴…、“マジ”って、本当にすげーんだな…それに…」
高田は転がった包帯の塊を拾う。
「あったかいもんなんだな…」