マジすか学園3☆#4ー8☆
芝浦埠頭ー
「気合いの入ったええパンチや…、でも、その程度で関西人黙らすのは、無理やで」
ディーヴァ十二将の近藤リナが反撃に転じる。連続で拳を繰り出す高速ラッシュ。両手の拳がいくつにも見えるほどに。止まらない。
前田は、徐々に捌ききれなくなってくる。何発もの拳を、顔に受ける。
「くっ!」
「もっと、スピード上げるで」
リナの言う通り、更に、またラッシュスピードが上がる。どこまで上がるのか。
「ぐほっ!ぐは!」
全身に連続打撃を受け
前田が、ついにひざまずく。何本もの腕を相手にしている感覚。
しかし
それでも、前田の気力はおとろえない。眼光は鋭く、リナを睨みつけている。
前田とリナの闘いを、冷たく静かな眼差しと熱く激しい眼差しが見つめる。岸野リカとキノハルこと木下ハルナ。
「近藤の高速ラッシュは三段階あるんやったな…」
「そうやな…。前田…、受けきれるか?もっと燃えんと…、勝てんで」
「キノハル…お前は一体、どっちに勝ってほしいんや?」
岸野の皮肉めいた言葉に、キノハルは、揺るぎない瞳で断言した。
「もちろん…、強いほうや」
跪く前田を見て、
「ウチの高速ラッシュは、まだ、MAXスピードやないで…、マジ女の“てっぺん”の本気も、大したことないなぁ」
と、余裕を含んだ笑みのリナ。
鋭く烈しい視線をリナに突き刺し
立ち上がる前田。
(わたしは、逃げていた…、闘うことから…
でも、あいつは信じてくれていた…、いつも…
教えてくれた…
大切な何かを守る闘いがあるということを…
だから…
わたしは闘う…
だるま…、いくぜ…)
前田は、前髪を指で軽く払い、
両腕を交差し、上に掲げ、息をゆっくり吐き、腕を開きながら下ろしていき、腰の上のあたりで構えた。そしてー
そっと、瞳を閉じる。
「なんのおまじないや?」
「関西人は、口先ばかりなのか…?」
瞳を閉じたまま、挑発する前田。
「ふっ…、アイドリングは、終わった…MAXや!」
リナは、言い終わる前に、これまでで最高に早いラッシュを繰り出してきた。
拳の嵐に巻き込まれる前田。
しかし、リナに手応えはなかった。一発も。
さらに、リナの視界から前田は消えた。
リナのMAXスピードを見切る心眼と、それを超える前田の動き。
「前田!どこだ!?」
「ここだよ」
リナの背後に佇む前田が、そっと目を開く。
「なっ!?」
振り向くリナ。
「これが、マジ女の…」
前田の頭突きが、勢いよく、リナの顔面に打ち下ろされた。
「“マジ”だ!」
「気合いの入ったええパンチや…、でも、その程度で関西人黙らすのは、無理やで」
ディーヴァ十二将の近藤リナが反撃に転じる。連続で拳を繰り出す高速ラッシュ。両手の拳がいくつにも見えるほどに。止まらない。
前田は、徐々に捌ききれなくなってくる。何発もの拳を、顔に受ける。
「くっ!」
「もっと、スピード上げるで」
リナの言う通り、更に、またラッシュスピードが上がる。どこまで上がるのか。
「ぐほっ!ぐは!」
全身に連続打撃を受け
前田が、ついにひざまずく。何本もの腕を相手にしている感覚。
しかし
それでも、前田の気力はおとろえない。眼光は鋭く、リナを睨みつけている。
前田とリナの闘いを、冷たく静かな眼差しと熱く激しい眼差しが見つめる。岸野リカとキノハルこと木下ハルナ。
「近藤の高速ラッシュは三段階あるんやったな…」
「そうやな…。前田…、受けきれるか?もっと燃えんと…、勝てんで」
「キノハル…お前は一体、どっちに勝ってほしいんや?」
岸野の皮肉めいた言葉に、キノハルは、揺るぎない瞳で断言した。
「もちろん…、強いほうや」
跪く前田を見て、
「ウチの高速ラッシュは、まだ、MAXスピードやないで…、マジ女の“てっぺん”の本気も、大したことないなぁ」
と、余裕を含んだ笑みのリナ。
鋭く烈しい視線をリナに突き刺し
立ち上がる前田。
(わたしは、逃げていた…、闘うことから…
でも、あいつは信じてくれていた…、いつも…
教えてくれた…
大切な何かを守る闘いがあるということを…
だから…
わたしは闘う…
だるま…、いくぜ…)
前田は、前髪を指で軽く払い、
両腕を交差し、上に掲げ、息をゆっくり吐き、腕を開きながら下ろしていき、腰の上のあたりで構えた。そしてー
そっと、瞳を閉じる。
「なんのおまじないや?」
「関西人は、口先ばかりなのか…?」
瞳を閉じたまま、挑発する前田。
「ふっ…、アイドリングは、終わった…MAXや!」
リナは、言い終わる前に、これまでで最高に早いラッシュを繰り出してきた。
拳の嵐に巻き込まれる前田。
しかし、リナに手応えはなかった。一発も。
さらに、リナの視界から前田は消えた。
リナのMAXスピードを見切る心眼と、それを超える前田の動き。
「前田!どこだ!?」
「ここだよ」
リナの背後に佇む前田が、そっと目を開く。
「なっ!?」
振り向くリナ。
「これが、マジ女の…」
前田の頭突きが、勢いよく、リナの顔面に打ち下ろされた。
「“マジ”だ!」
マジすか学園3☆#4ー7☆
「えっ!?何それ?超キモいんですけどー」
サドが危惧していた覚醒を果たした
トリゴヤの姿を見て
小馬鹿にする阿比留。その顔をおもむろに、右手で鷲掴みするトリゴヤ。
瞼を閉じる。
ほどなくして、目を開く。
「見えた…、アハ…」
相手や相手の持ち物に触れると、その相手の過去が見える。一種の超能力。
阿比留の両肩を引き寄せ耳元で何かを囁くトリゴヤ。
阿比留に異変が起こる。
触れられたくない過去が、阿比留の脳裏に渦巻く。思い出したくもない過去がー。
「うぅ…、わぁあああ!」
「オマエだ!オマエがやったんだ!オマエが!」
「いやああああ!仕方なかったのよ!わたしはわるくない!」
頭を抱え、わめき散らす阿比留。
過去のあやまちに、苛まれる精神。
後ずさる。
「はぁ…、はぁ…、何これ!?何をしたの?」
「何かしたのは、オマエだろ!非道いことを!」
完全な上から目線で、言い放つトリゴヤ。普段の口調とは真逆。
「それで隊長!?ウソだろ?笑える」
先ほどの意趣返し。
「なめないでよね!わたしは…その隊長になるために、何でもやってきた!汚いことはやりつくしてきた!地獄を見てきた!その気持ち、お前になんかわかるもんか!」
悪夢をふりほどく。
かなりの精神力の持ち主。
あくまで、邪魔をしようと
殴りかかってくる阿比留。
トリゴヤは、それをかわし、また、右手で阿比留の額を掴む。さらに深く、読む。
阿比留は、トリゴヤの腕を払った。
トリゴヤが笑い、消える。
倉庫内に響くトリゴヤの声。
「じゃあ、そろそろ、本当の地獄へ…、オ・カ・エ・リ」
阿比留の背中から、耳元に唇を近づけ、トリゴヤは、もう一度、何かを囁いた。「……」
阿比留の最も恐れるものをー。
一瞬の沈黙。
「きゃあああああ!あああああ!」
阿比留は、半狂乱となり暴れ始めた。
「来る!来る!きゃー!来ないでー!ぎゃああああ!」
何かが迫ってくる。恐ろしい何かがー。
阿比留には、耐え難いものがー。
頭をかきむしる。叫び続ける。
「いやあああああああ…」
バシッ!
と
トリゴヤが、阿比留の首筋を手刀で打つ。
阿比留は、がっくりと意識を失い倒れた。これ以上、放っておけば、間違いなく廃人になっていたであろうー。逃れることのできない恐怖の精神攻撃。
でも
トリゴヤは放ってはおけなかった。見えてしまったのだ。記憶の奥深く。阿比留が悪の道へ進む始まり。原動力がー。
「アンタも…、つらかったんだね…」
自分と重ね合わせる。
だからといって、何をしてもいいわけではない。
大事なものは、未来。自分自身の明るい未来のために。いまを“マジ”に生きること。
ふらつく頭をおさえるトリゴヤ。勝利の代償は小さくない。相手の悪意をすべて受け止めなければならない。精神的負担は計り知れない。
しかし、闘いは続く。
「R11倉庫か…」
“あのひと”の居所も、見えた。
パン!
遠くで
一発の銃声が…。
シブヤ、サド、ブラックも同時に聞く。
トリゴヤは、すぐに、走り出していた。
“あのひと”のもとへ
サドが危惧していた覚醒を果たした
トリゴヤの姿を見て
小馬鹿にする阿比留。その顔をおもむろに、右手で鷲掴みするトリゴヤ。
瞼を閉じる。
ほどなくして、目を開く。
「見えた…、アハ…」
相手や相手の持ち物に触れると、その相手の過去が見える。一種の超能力。
阿比留の両肩を引き寄せ耳元で何かを囁くトリゴヤ。
阿比留に異変が起こる。
触れられたくない過去が、阿比留の脳裏に渦巻く。思い出したくもない過去がー。
「うぅ…、わぁあああ!」
「オマエだ!オマエがやったんだ!オマエが!」
「いやああああ!仕方なかったのよ!わたしはわるくない!」
頭を抱え、わめき散らす阿比留。
過去のあやまちに、苛まれる精神。
後ずさる。
「はぁ…、はぁ…、何これ!?何をしたの?」
「何かしたのは、オマエだろ!非道いことを!」
完全な上から目線で、言い放つトリゴヤ。普段の口調とは真逆。
「それで隊長!?ウソだろ?笑える」
先ほどの意趣返し。
「なめないでよね!わたしは…その隊長になるために、何でもやってきた!汚いことはやりつくしてきた!地獄を見てきた!その気持ち、お前になんかわかるもんか!」
悪夢をふりほどく。
かなりの精神力の持ち主。
あくまで、邪魔をしようと
殴りかかってくる阿比留。
トリゴヤは、それをかわし、また、右手で阿比留の額を掴む。さらに深く、読む。
阿比留は、トリゴヤの腕を払った。
トリゴヤが笑い、消える。
倉庫内に響くトリゴヤの声。
「じゃあ、そろそろ、本当の地獄へ…、オ・カ・エ・リ」
阿比留の背中から、耳元に唇を近づけ、トリゴヤは、もう一度、何かを囁いた。「……」
阿比留の最も恐れるものをー。
一瞬の沈黙。
「きゃあああああ!あああああ!」
阿比留は、半狂乱となり暴れ始めた。
「来る!来る!きゃー!来ないでー!ぎゃああああ!」
何かが迫ってくる。恐ろしい何かがー。
阿比留には、耐え難いものがー。
頭をかきむしる。叫び続ける。
「いやあああああああ…」
バシッ!
と
トリゴヤが、阿比留の首筋を手刀で打つ。
阿比留は、がっくりと意識を失い倒れた。これ以上、放っておけば、間違いなく廃人になっていたであろうー。逃れることのできない恐怖の精神攻撃。
でも
トリゴヤは放ってはおけなかった。見えてしまったのだ。記憶の奥深く。阿比留が悪の道へ進む始まり。原動力がー。
「アンタも…、つらかったんだね…」
自分と重ね合わせる。
だからといって、何をしてもいいわけではない。
大事なものは、未来。自分自身の明るい未来のために。いまを“マジ”に生きること。
ふらつく頭をおさえるトリゴヤ。勝利の代償は小さくない。相手の悪意をすべて受け止めなければならない。精神的負担は計り知れない。
しかし、闘いは続く。
「R11倉庫か…」
“あのひと”の居所も、見えた。
パン!
遠くで
一発の銃声が…。
シブヤ、サド、ブラックも同時に聞く。
トリゴヤは、すぐに、走り出していた。
“あのひと”のもとへ
マジすか学園3☆#4ー6☆
ニューヨークシティ
ハーレム
H7倉庫ー
(サド…、ごめん…ね)
廃倉庫の埃や砂にまみれた赤いスカジャン。ラッパッパ旧四天王トリゴヤの戦闘服。トリゴヤは、一方的に殴られ、瀕死の状態で倒れている。
「だから、イヤだったのよねー。トリゴヤの相手は…。弱すぎてつまらないわー」
アンダーガールズ八番隊
隊長
阿比留リホ。
右で束ねた黒髪が揺れている。黒眼がちのかわいらしい瞳で
人差し指を口許に当て、典型的なアイドルを意識したしぐさで見下ろす。
汚いものを見るようにー。
(許して…)
………
物心がついたころには、もう、自分は、普通じゃないんだと、感じていた。
『こいつ気持ちわりー』『あっち行こうぜー』
『こわいよー!』
わたしの能力を知ると、皆、わたしを気味悪がり、恐れ、迫害し、最終的に離れていった。それも仕方のないことなのかもしれない。
だって、全部、見えてしまうのだからー。すべて。
善いところも、悪いところも。
わたしは、いつもひとり。
他人なんて、表面上は、いい顔をしていても、裏を返せば、ドロドロのグチャグチャだ。
吐き気がする。ウザイ。
でも、“あのひと”は違った。裏表のない真っ直ぐな性格。豪放磊落。
『すげーなー!そのちから!』
初めて、誉められた。
『一緒に、“てっぺん”目指そうぜ!』
初めて、頼られた。
『おめぇ、そのちから、あんまり使うと、あぶねーんじゃねーか!?』
初めて、心配された。
………
(わたしは…、“あのひと”のためなら、命を賭けてもいい…、マジになれる…、だから、変わるよ…また…、それが、わたしにとって…、ただひとつの答え…
許してね…サド)
「うらぁ!やる気あんのー!?それで四天王だったの?ウソでしょ!?アハハ!」
トリゴヤを足蹴に
阿比留が高笑いする。
トリゴヤは、自らの頭の中に、鳥小屋に閉じ込められたイメージをつくりだす。
助けてー
たすけてー
タスケテタスケテタスケテ…
思い出す。
壮絶という言葉では、言い表せないくらい激しかった
頂上戦争のことをー。
『てめーらのヤンキー魂はそんなもんか?ざけんじゃねーぞ!気合い入れろー!』
“あのひと”の檄。
また、あの戦場に、わたしはー
帰ってきた。
いつの間にか
阿比留のすぐそばに、異形の人影が、あった。
長い髪が、狂気に満ちた顔を半分覆い隠している。
「たーだーいーま」
トリゴヤが…、
覚醒した。
ハーレム
H7倉庫ー
(サド…、ごめん…ね)
廃倉庫の埃や砂にまみれた赤いスカジャン。ラッパッパ旧四天王トリゴヤの戦闘服。トリゴヤは、一方的に殴られ、瀕死の状態で倒れている。
「だから、イヤだったのよねー。トリゴヤの相手は…。弱すぎてつまらないわー」
アンダーガールズ八番隊
隊長
阿比留リホ。
右で束ねた黒髪が揺れている。黒眼がちのかわいらしい瞳で
人差し指を口許に当て、典型的なアイドルを意識したしぐさで見下ろす。
汚いものを見るようにー。
(許して…)
………
物心がついたころには、もう、自分は、普通じゃないんだと、感じていた。
『こいつ気持ちわりー』『あっち行こうぜー』
『こわいよー!』
わたしの能力を知ると、皆、わたしを気味悪がり、恐れ、迫害し、最終的に離れていった。それも仕方のないことなのかもしれない。
だって、全部、見えてしまうのだからー。すべて。
善いところも、悪いところも。
わたしは、いつもひとり。
他人なんて、表面上は、いい顔をしていても、裏を返せば、ドロドロのグチャグチャだ。
吐き気がする。ウザイ。
でも、“あのひと”は違った。裏表のない真っ直ぐな性格。豪放磊落。
『すげーなー!そのちから!』
初めて、誉められた。
『一緒に、“てっぺん”目指そうぜ!』
初めて、頼られた。
『おめぇ、そのちから、あんまり使うと、あぶねーんじゃねーか!?』
初めて、心配された。
………
(わたしは…、“あのひと”のためなら、命を賭けてもいい…、マジになれる…、だから、変わるよ…また…、それが、わたしにとって…、ただひとつの答え…
許してね…サド)
「うらぁ!やる気あんのー!?それで四天王だったの?ウソでしょ!?アハハ!」
トリゴヤを足蹴に
阿比留が高笑いする。
トリゴヤは、自らの頭の中に、鳥小屋に閉じ込められたイメージをつくりだす。
助けてー
たすけてー
タスケテタスケテタスケテ…
思い出す。
壮絶という言葉では、言い表せないくらい激しかった
頂上戦争のことをー。
『てめーらのヤンキー魂はそんなもんか?ざけんじゃねーぞ!気合い入れろー!』
“あのひと”の檄。
また、あの戦場に、わたしはー
帰ってきた。
いつの間にか
阿比留のすぐそばに、異形の人影が、あった。
長い髪が、狂気に満ちた顔を半分覆い隠している。
「たーだーいーま」
トリゴヤが…、
覚醒した。