マジすか学園3☆#6ー3☆
河原ー
(『いつでも来いよ!松井!』)
「約束…、破りやがって…」
(『お前の大切なものは、すべて消える…Dの名の下に…』)
ジュリナの表情は暗い。目標を見失ってしまったかのように…。
「食べる?」
しゃがみ込んでいるジュリナの目の前に、突然差し出される手。そこには、箱に入った丸い一口サイズのフルーツアイスがいくつもあった。
抜け殻のようになっていたジュリナも、少し戸惑う。
長くウェーブのかかった髪。きれいな瞳。美少女と呼べる風貌。究極。同い年くらいの少女だが、制服ではなく、薄紫系のふわふわした私服。白のスカート。
少女は、隣りに座り、ジュリナを見て、にっこり笑う。だれかに似ていた。
ジュリナは、無言で、アイスをひとつつまんで口に運ぶ。
「おいしい?」
少女の問いかけに、特に反応を示そうとしないジュリナ。
「わたしは、これ、大好きなんだけどな。特に、ピーチが好き。だから、いつも、最後までとっておくんだ」
「……、同じだ…」
「えっ?」
「好きなものは、最後までとっておく」
「そうなんだ!一緒だね!」
少女は、高校生。ジュリナと同学年。今日は創立記念日だそうで、街へ出掛けるところだったらしい。
「もし…、とっておいたものが、なくなってたら、どうする?」
「えーっ!?それは、泣く!」
「泣くよな…。でも、わたしの本当に好きなものは…、よく、なくなるんだ…」
ジュリナは、輝く太陽を眩しそうに見つめた。
「そうなんだ…、それならこれからは、なくさないようにしないとね」
たまたまだったかもしれない
その少女の発言。ジュリナの脳裏には、はっきりとネズミの顔が浮かんだ。自分にとって、ただひとりの友。
「ところで、お前の名前は?」
少女は静かに笑って言った。
「江口アイミ」
(『いつでも来いよ!松井!』)
「約束…、破りやがって…」
(『お前の大切なものは、すべて消える…Dの名の下に…』)
ジュリナの表情は暗い。目標を見失ってしまったかのように…。
「食べる?」
しゃがみ込んでいるジュリナの目の前に、突然差し出される手。そこには、箱に入った丸い一口サイズのフルーツアイスがいくつもあった。
抜け殻のようになっていたジュリナも、少し戸惑う。
長くウェーブのかかった髪。きれいな瞳。美少女と呼べる風貌。究極。同い年くらいの少女だが、制服ではなく、薄紫系のふわふわした私服。白のスカート。
少女は、隣りに座り、ジュリナを見て、にっこり笑う。だれかに似ていた。
ジュリナは、無言で、アイスをひとつつまんで口に運ぶ。
「おいしい?」
少女の問いかけに、特に反応を示そうとしないジュリナ。
「わたしは、これ、大好きなんだけどな。特に、ピーチが好き。だから、いつも、最後までとっておくんだ」
「……、同じだ…」
「えっ?」
「好きなものは、最後までとっておく」
「そうなんだ!一緒だね!」
少女は、高校生。ジュリナと同学年。今日は創立記念日だそうで、街へ出掛けるところだったらしい。
「もし…、とっておいたものが、なくなってたら、どうする?」
「えーっ!?それは、泣く!」
「泣くよな…。でも、わたしの本当に好きなものは…、よく、なくなるんだ…」
ジュリナは、輝く太陽を眩しそうに見つめた。
「そうなんだ…、それならこれからは、なくさないようにしないとね」
たまたまだったかもしれない
その少女の発言。ジュリナの脳裏には、はっきりとネズミの顔が浮かんだ。自分にとって、ただひとりの友。
「ところで、お前の名前は?」
少女は静かに笑って言った。
「江口アイミ」
マジすか学園3☆#6ー2☆
放送室を後にしたネズミとキョウトは、ラッパッパの部室目指して歩き始めた。
自然と、その後ろにつき従うマジ女の生徒たち。徐々に増えていく。
「ラッパッパ!つ・ぶ・せ!」
「ラッパッパ!つ・ぶ・せ!」
期せずして、シュプレヒコールが沸き起こる。
ここ数日、キョウトが倒したチームのメンバーたち。また、それ以外にも、勝ち馬に乗りたいという生徒も交え、ネズミの軍団は、一層、その規模を増していく。
逆らう者は、ひとりもいないかに思えた。
がー
「待てよ…、こういうのは、良くないんじゃねーか?」
「そうだよ!おれたち、ラッパッパに憧れて、このガッコ選んだんだ!」
ふたりの生徒が
ネズミ軍団の前に立ちふさがる。
すこしぽっちゃりした少女と目元が涼しげな少女。
「誰や?」
キョウトの誰何の声。
「島田ハルカだ!」
「島崎ハルカだ!」
名乗る二人。黄色のジャージが特徴的。
名前がよく似ている。
「どっちがどっちやねん」
キョウトがからかうと、軍団のメンバーに笑いが起きる。
「こっちが“どっち”だ!」
「だから、どっちなんや?」
さらに、笑いに包まれる廊下。
「もういいよ!どっち!」
島田ハルカ、愛称“どっち”に対して、苛立ちまじりに、
島崎ハルカ、愛称“寒ブリ”が話を止める。
「まだ、うちらに逆らうアホな子らがおるんやなぁ…、やるんか?」
キョウトが左の拳だけをあげて、構える。右の拳はおろしたままー。
「やってやる!」「いくぞ!」
二人は、闇雲に、キョウトに突っ込んでいく。
パパパパパン!と、
キョウトの左のジャブの連打が、乱れ飛ぶ。
「ぐあ!」「ぐえっ!」
あっさりと、廊下に崩れ落ちる二人。迅いうえに正確無比なパンチをもろに何発も食らいー。
冷ややかな表情で、二人を一瞥し、歩を進めるキョウトとネズミ。何事もなかったかのように、それに、続く生徒たち。
寒ブリが伏したまま、拳を廊下に叩きつける。
「く…くそぅ…、やっぱ弱いな…おれたち…」
「あ…、あいつが…強すぎなんだよ…、でも…、絶対にあきらめないって誓ったはずだろ…、優子さんから前田さんに引き継がれた意志は…つないでいこうぜ…、そして、いつか…必ず…」
「ど…、どれくらい…傷つけば…、強くなれるんだ…」
「甘ったれんな…、ま、前田さんたちだって…、いっぱい傷ついて…強くなってきたんだ…、弱音吐くな…」
「前田さん…、なんで…、死んじまったんだよ…」
「泣くなよ!こ…、こっちまで…、な…泣きたく…なる…だろ…」
泣き伏せる寒ブリとどっち。喪失感は計り知れないものがあった。
“てっぺん”の抜けた穴はあまりにも大きい。
「ラッパッパ、つ・ぶ・せ!」
「ラッパッパ、つ・ぶ・せ!」
「ラッパッパ、つ…」
進軍を続ける
ネズミ軍団の前に、またしてもあらわれる影。
「ラッパッパに弓引こうって言うなら、わたしたちが相手になるよ…」
フフ…
フフフ…、フフフフ…という笑い声が、落書きだらけの廊下を包みこんでいった。
自然と、その後ろにつき従うマジ女の生徒たち。徐々に増えていく。
「ラッパッパ!つ・ぶ・せ!」
「ラッパッパ!つ・ぶ・せ!」
期せずして、シュプレヒコールが沸き起こる。
ここ数日、キョウトが倒したチームのメンバーたち。また、それ以外にも、勝ち馬に乗りたいという生徒も交え、ネズミの軍団は、一層、その規模を増していく。
逆らう者は、ひとりもいないかに思えた。
がー
「待てよ…、こういうのは、良くないんじゃねーか?」
「そうだよ!おれたち、ラッパッパに憧れて、このガッコ選んだんだ!」
ふたりの生徒が
ネズミ軍団の前に立ちふさがる。
すこしぽっちゃりした少女と目元が涼しげな少女。
「誰や?」
キョウトの誰何の声。
「島田ハルカだ!」
「島崎ハルカだ!」
名乗る二人。黄色のジャージが特徴的。
名前がよく似ている。
「どっちがどっちやねん」
キョウトがからかうと、軍団のメンバーに笑いが起きる。
「こっちが“どっち”だ!」
「だから、どっちなんや?」
さらに、笑いに包まれる廊下。
「もういいよ!どっち!」
島田ハルカ、愛称“どっち”に対して、苛立ちまじりに、
島崎ハルカ、愛称“寒ブリ”が話を止める。
「まだ、うちらに逆らうアホな子らがおるんやなぁ…、やるんか?」
キョウトが左の拳だけをあげて、構える。右の拳はおろしたままー。
「やってやる!」「いくぞ!」
二人は、闇雲に、キョウトに突っ込んでいく。
パパパパパン!と、
キョウトの左のジャブの連打が、乱れ飛ぶ。
「ぐあ!」「ぐえっ!」
あっさりと、廊下に崩れ落ちる二人。迅いうえに正確無比なパンチをもろに何発も食らいー。
冷ややかな表情で、二人を一瞥し、歩を進めるキョウトとネズミ。何事もなかったかのように、それに、続く生徒たち。
寒ブリが伏したまま、拳を廊下に叩きつける。
「く…くそぅ…、やっぱ弱いな…おれたち…」
「あ…、あいつが…強すぎなんだよ…、でも…、絶対にあきらめないって誓ったはずだろ…、優子さんから前田さんに引き継がれた意志は…つないでいこうぜ…、そして、いつか…必ず…」
「ど…、どれくらい…傷つけば…、強くなれるんだ…」
「甘ったれんな…、ま、前田さんたちだって…、いっぱい傷ついて…強くなってきたんだ…、弱音吐くな…」
「前田さん…、なんで…、死んじまったんだよ…」
「泣くなよ!こ…、こっちまで…、な…泣きたく…なる…だろ…」
泣き伏せる寒ブリとどっち。喪失感は計り知れないものがあった。
“てっぺん”の抜けた穴はあまりにも大きい。
「ラッパッパ、つ・ぶ・せ!」
「ラッパッパ、つ・ぶ・せ!」
「ラッパッパ、つ…」
進軍を続ける
ネズミ軍団の前に、またしてもあらわれる影。
「ラッパッパに弓引こうって言うなら、わたしたちが相手になるよ…」
フフ…
フフフ…、フフフフ…という笑い声が、落書きだらけの廊下を包みこんでいった。
マジすか学園3☆#6ー1☆
翌日
マジすか女学園に激震が走った。
朝から
生徒たちの間で持ちきりとなっている、ある話題ー。
「前田が?」
「ああ…死んだらしい…」
「ディーヴァと闘(や)りあって…」
「海に落ちたんだと」
「病院に運ばれたときには、もう…」
「“てっぺん”が…死んだ…」
「一体どうなっちまうんだ!?うちは」
「ディーバが攻めてくんじゃねーのかよ」
「アンダーガールズとか矢場久根もいるぜ」
「うちら、太刀打ちできるんか?」
「強い“てっぺん”が必要なんじゃねーのか」
「誰が、このマジ女をまとめるんだ?」
口々に、様々な憶測を発する生徒たち。皆、不安の色は隠せない。
ピー…ガガ…ガ…
教室内のスピーカーから、音が…もれだす。
全校放送ー。
ピンポンパンポーン。
『みなさん、おはようございます。もうすでに、ご存知かと思いますが、残念なことに、うちの“てっぺん”である前田敦子が、昨夜…』
「この声は、ネズミか」
「そうだな…、なんだ一体?」
放送に、耳を傾ける生徒たち。
『…、しかし、悲しんでばかりはいられません。“てっぺん”がいなくなった今、マジ女の“てっぺん”は誰なのか?これを決めないと、いけないっスよねぇ…誰が、どのチームが、マジ女で一番強いのか…』
「確かにな…ラッパッパの二年もやられちまったし…」
「この非常時に、前田四天王も、昨日の昼から、姿が見えねえ」
『…、最早、マジ女最強軍団は、ラッパッパじゃないっスよねぇ…伝説のラッパッパはもうどこにも存在しないっス…』
「チームホルモンもディーヴァにやられたって噂だしな」
「そういや、生徒会長も今日は、見てねーな」
『…、つきましては、何をもって最強を名乗るのか?それは…、マジ女における最強集団に代々受け継がれてきた伝統の旗ーマジ女の校旗、それを奪ったものが、“てっぺん”ってことで、どうっスか?』
「なるほどな…単純明快でいいんじゃねーか」
「ラッパッパの部室の奥の部屋にあるって話だ!」
『それでは、只今から…、わたしたち、ネズミ軍団が、ラッパッパの部室へと向かいます。そして、伝統の校旗を奪いとり、部室を占拠し、マジ女最強の名乗りをあげることにします。納得のいかない方は、誰でも、お相手いたします。どんどん、かかってきてください。
賛同する方は、一緒に、“階段”…のぼっちゃいましょう!』
「おお!!」
「ネズミ軍団最強!」
「ラッパッパを、ぶっ潰せー!」
「ネ・ズ・ミ!ネ・ズ・ミ!」
異様な盛り上がりをみせる生徒たち。
放送室ー
「ええ感じで、仲間が煽ってくれとるみたいやなぁ。やけど、前田もおらんし…、めぼしいやつは、だいたい倒してもうた…、そんなかで、反抗するもんなんか…おるんやろか?」
チャコールグレーのフード付きパーカーの
キョウトが、放送を終えたネズミのほうを見やる。
含むような笑いをみせ、赤いパーカーのネズミが言う。
「単なる…、デモンストレーションさ」
河原ー
ブラウンのカーディガンを羽織った松井ジュリナが、ただ立ちつくし、流れる川を眺めるともなく眺める。
空虚さが胸を占める。
「前田…、お前も…いなくなっちまったな…、わたしの前から…」
マジすか女学園に激震が走った。
朝から
生徒たちの間で持ちきりとなっている、ある話題ー。
「前田が?」
「ああ…死んだらしい…」
「ディーヴァと闘(や)りあって…」
「海に落ちたんだと」
「病院に運ばれたときには、もう…」
「“てっぺん”が…死んだ…」
「一体どうなっちまうんだ!?うちは」
「ディーバが攻めてくんじゃねーのかよ」
「アンダーガールズとか矢場久根もいるぜ」
「うちら、太刀打ちできるんか?」
「強い“てっぺん”が必要なんじゃねーのか」
「誰が、このマジ女をまとめるんだ?」
口々に、様々な憶測を発する生徒たち。皆、不安の色は隠せない。
ピー…ガガ…ガ…
教室内のスピーカーから、音が…もれだす。
全校放送ー。
ピンポンパンポーン。
『みなさん、おはようございます。もうすでに、ご存知かと思いますが、残念なことに、うちの“てっぺん”である前田敦子が、昨夜…』
「この声は、ネズミか」
「そうだな…、なんだ一体?」
放送に、耳を傾ける生徒たち。
『…、しかし、悲しんでばかりはいられません。“てっぺん”がいなくなった今、マジ女の“てっぺん”は誰なのか?これを決めないと、いけないっスよねぇ…誰が、どのチームが、マジ女で一番強いのか…』
「確かにな…ラッパッパの二年もやられちまったし…」
「この非常時に、前田四天王も、昨日の昼から、姿が見えねえ」
『…、最早、マジ女最強軍団は、ラッパッパじゃないっスよねぇ…伝説のラッパッパはもうどこにも存在しないっス…』
「チームホルモンもディーヴァにやられたって噂だしな」
「そういや、生徒会長も今日は、見てねーな」
『…、つきましては、何をもって最強を名乗るのか?それは…、マジ女における最強集団に代々受け継がれてきた伝統の旗ーマジ女の校旗、それを奪ったものが、“てっぺん”ってことで、どうっスか?』
「なるほどな…単純明快でいいんじゃねーか」
「ラッパッパの部室の奥の部屋にあるって話だ!」
『それでは、只今から…、わたしたち、ネズミ軍団が、ラッパッパの部室へと向かいます。そして、伝統の校旗を奪いとり、部室を占拠し、マジ女最強の名乗りをあげることにします。納得のいかない方は、誰でも、お相手いたします。どんどん、かかってきてください。
賛同する方は、一緒に、“階段”…のぼっちゃいましょう!』
「おお!!」
「ネズミ軍団最強!」
「ラッパッパを、ぶっ潰せー!」
「ネ・ズ・ミ!ネ・ズ・ミ!」
異様な盛り上がりをみせる生徒たち。
放送室ー
「ええ感じで、仲間が煽ってくれとるみたいやなぁ。やけど、前田もおらんし…、めぼしいやつは、だいたい倒してもうた…、そんなかで、反抗するもんなんか…おるんやろか?」
チャコールグレーのフード付きパーカーの
キョウトが、放送を終えたネズミのほうを見やる。
含むような笑いをみせ、赤いパーカーのネズミが言う。
「単なる…、デモンストレーションさ」
河原ー
ブラウンのカーディガンを羽織った松井ジュリナが、ただ立ちつくし、流れる川を眺めるともなく眺める。
空虚さが胸を占める。
「前田…、お前も…いなくなっちまったな…、わたしの前から…」