マジすか学園3☆#7ー9☆
キノハルの右足に吸い込まれるように、前田の頭部が吸い寄せられ、瞬間、弾け飛んだ。
表情から笑みが消えた後ー
キノハルの動きは、明らかに変化していた。
これが、キノハルの全力の闘いなのか。
前田は、絨毯爆撃のような攻撃をかわせない。
止まらない蹴りの嵐。
キノハルは、まるで、“いのち”を削るような闘い方をみせる。
何度もキノハルの烈しい蹴りをくらい、倒れ、それでもなんとか立ち上がる前田。
しかし、また、蹴り飛ばされ、倒れる。腕によるブロックは、ほとんど意味をなさない。
「前田ー!立てー!」「立ってくれー!」「まだ、いけるぞ!」
近場にいるマジ女の生徒も、前田にエールをおくる。
前田も立ち上がりかける。が、今度は、がっくりと崩れ落ちた。蓄積されたダメージが重くのしかかる。
前田のピンチに
だるまや大歌舞伎たちが駆けつける。
「あつ姐ー!」
「まったく、外野は無責任なもんだ…、これが頭同士のタイマンじゃなかったら、いますぐ飛び込んで行って、キノハルに“掌底”ぶっ放したいとこだよ…」
「姉貴ぃ、タッグマッチってわけには、いかないっすかねー」
傷だらけの前田を見て
泣きそうな小歌舞伎が訴える。
「敦子は…、“てっぺん”…だからな…」
学ランも、口唇を噛み締め、耐える。ポケットに入れた拳がふるえていた。
託すしかない。
「前田ー!おれは負けなかったぞ!だから…、だから、お前も負けんじゃねーぞ!自分自身にな!」
ヲタも、チームホルモンを引き連れ、声をあげる。皆、前田の身を案じていた。
「あつ姐の前に、おれをやれや!」
いつの間にか、周りの思いを無視し
だるまが、キノハルの前に立ちはだかる。前田の傷だらけの身体を、見ていられなかった。
「お前じゃ、意味がないんや…」
(うちの“いのち”を賭ける相手は…)
だるまの背中から、肩に置かれる手。
「だるま…、どいてろ…、わたしが、…誰だか、忘れたのか…」
前田が立ち上がる。よろめきながらー。顔は腫れ上がり、血に染まっていた。
「わたしは…、マジ女の“てっぺん”…前田…敦子だぞ…」
「あ…、あつ姐…」
だるまの目にあふれる涙。前田の表情はよく見えなかったが、笑ったように思えた。
「前田!」「前田の姉貴!」「敦子!」「前田!」
大歌舞伎が、小歌舞伎が、学ランが、チームホルモンが、拳を前に突き出している。涙を流しながらー。
一緒に闘っている。
想いはひとつだ。
「みんな…、ありがとう…」
前田が、息を吹き返す。
キノハルは、眩しそうに、片目を細める。
「いくで!最終(ファイナル)ラウンドや!」
「うあああああ!」
「おおおおおお!」
激しい拳の応酬が始まった。
どちらも倒れない。意地と意地が激しくぶつかり合う。
「前田さん!」「前田ー!」「ぶっとばせー!」
「木下さん!」「キノハルさん」「やったれー!」
ふたりの闘いの周りには、いつの間にか、たくさんの人垣ができていた。
皆、闘いを忘れ、応援合戦が始まる。
決死の闘い。
激しい拳が飛び交う。
前田の渾身の左拳が、炸裂した。
キノハルが大きく吹き飛び
土にまみれる。
「はぁ…、はぁ…、生きとるっちゅう感じがするわ」
「…わたしもだ」
前田が微笑む。
「でも…、負けるわけには…、いかないんや…、うちの残り少ない人生…、“負け”で終わるわけには…」
「キノハル…?」
「勝ち逃げさせてもらうで!」
どこかで、雷が鳴る。
キノハルの背中に、何かが立ちのぼる。青白い焔。
前田も覚悟を決める。
左の拳を見つめ、祈る。
ふたりの呼吸が重なった。呼応する。
前田が、翔(か)ける。
天翔ける龍のごとくー。
一直線に、キノハルに向かう。
キノハルが、目を見開き
迎え撃つ。
「前田あああああ!」
空が光り、同時に、雷鳴が轟いた。
轟音。
一瞬の後
しんと静まり返る校庭。
前田とキノハル。
二人のうち、その場に立っているものは、
ひとりだけだった。
表情から笑みが消えた後ー
キノハルの動きは、明らかに変化していた。
これが、キノハルの全力の闘いなのか。
前田は、絨毯爆撃のような攻撃をかわせない。
止まらない蹴りの嵐。
キノハルは、まるで、“いのち”を削るような闘い方をみせる。
何度もキノハルの烈しい蹴りをくらい、倒れ、それでもなんとか立ち上がる前田。
しかし、また、蹴り飛ばされ、倒れる。腕によるブロックは、ほとんど意味をなさない。
「前田ー!立てー!」「立ってくれー!」「まだ、いけるぞ!」
近場にいるマジ女の生徒も、前田にエールをおくる。
前田も立ち上がりかける。が、今度は、がっくりと崩れ落ちた。蓄積されたダメージが重くのしかかる。
前田のピンチに
だるまや大歌舞伎たちが駆けつける。
「あつ姐ー!」
「まったく、外野は無責任なもんだ…、これが頭同士のタイマンじゃなかったら、いますぐ飛び込んで行って、キノハルに“掌底”ぶっ放したいとこだよ…」
「姉貴ぃ、タッグマッチってわけには、いかないっすかねー」
傷だらけの前田を見て
泣きそうな小歌舞伎が訴える。
「敦子は…、“てっぺん”…だからな…」
学ランも、口唇を噛み締め、耐える。ポケットに入れた拳がふるえていた。
託すしかない。
「前田ー!おれは負けなかったぞ!だから…、だから、お前も負けんじゃねーぞ!自分自身にな!」
ヲタも、チームホルモンを引き連れ、声をあげる。皆、前田の身を案じていた。
「あつ姐の前に、おれをやれや!」
いつの間にか、周りの思いを無視し
だるまが、キノハルの前に立ちはだかる。前田の傷だらけの身体を、見ていられなかった。
「お前じゃ、意味がないんや…」
(うちの“いのち”を賭ける相手は…)
だるまの背中から、肩に置かれる手。
「だるま…、どいてろ…、わたしが、…誰だか、忘れたのか…」
前田が立ち上がる。よろめきながらー。顔は腫れ上がり、血に染まっていた。
「わたしは…、マジ女の“てっぺん”…前田…敦子だぞ…」
「あ…、あつ姐…」
だるまの目にあふれる涙。前田の表情はよく見えなかったが、笑ったように思えた。
「前田!」「前田の姉貴!」「敦子!」「前田!」
大歌舞伎が、小歌舞伎が、学ランが、チームホルモンが、拳を前に突き出している。涙を流しながらー。
一緒に闘っている。
想いはひとつだ。
「みんな…、ありがとう…」
前田が、息を吹き返す。
キノハルは、眩しそうに、片目を細める。
「いくで!最終(ファイナル)ラウンドや!」
「うあああああ!」
「おおおおおお!」
激しい拳の応酬が始まった。
どちらも倒れない。意地と意地が激しくぶつかり合う。
「前田さん!」「前田ー!」「ぶっとばせー!」
「木下さん!」「キノハルさん」「やったれー!」
ふたりの闘いの周りには、いつの間にか、たくさんの人垣ができていた。
皆、闘いを忘れ、応援合戦が始まる。
決死の闘い。
激しい拳が飛び交う。
前田の渾身の左拳が、炸裂した。
キノハルが大きく吹き飛び
土にまみれる。
「はぁ…、はぁ…、生きとるっちゅう感じがするわ」
「…わたしもだ」
前田が微笑む。
「でも…、負けるわけには…、いかないんや…、うちの残り少ない人生…、“負け”で終わるわけには…」
「キノハル…?」
「勝ち逃げさせてもらうで!」
どこかで、雷が鳴る。
キノハルの背中に、何かが立ちのぼる。青白い焔。
前田も覚悟を決める。
左の拳を見つめ、祈る。
ふたりの呼吸が重なった。呼応する。
前田が、翔(か)ける。
天翔ける龍のごとくー。
一直線に、キノハルに向かう。
キノハルが、目を見開き
迎え撃つ。
「前田あああああ!」
空が光り、同時に、雷鳴が轟いた。
轟音。
一瞬の後
しんと静まり返る校庭。
前田とキノハル。
二人のうち、その場に立っているものは、
ひとりだけだった。
マジすか学園3☆#7ー8☆
校庭の中央ー
マジ女の“てっぺん”前田敦子とディーヴァ十二将軍“壱ノ将”木下ハルナ。
両軍
絶対的エース同士の闘いが始まった。
前田の拳は、空を切り裂く。迅い。
キノハルは、それを紙一重でかわしていく。しかし、空気中に生じる真空により、切れる頬。
「これが、“前田”か…、やっぱり、思った通りや…、わくわくするわ!」
笑いながら、拳を返していくキノハル。同じくらい迅い。前田も、かわす。頬が熱く、裂ける。
互角の立ち上がり。早くも朱に染まるふたり。
(強い…)
戦慄をおぼえる前田。
キノハルの下段の蹴りが、前田の左足を痛めつける。骨が軋む。受け方を間違えると、簡単にへし折られてしまいそうなほど、キレがある上に、重い。
前田の俊敏な動きは制限されると同時に、下半身のちからが弱まり、攻撃力が軽減してしまっていた。
足取りが重くなる。動きが鈍い。
キノハルの拳が、確実に当たり始める。
「やっぱり、まだ、本調子じゃなかったんだよ…まる二日…、いや、せめて一日は休ませてあげたかった…」
「あぁ…、でも、前田さんは、マジ女の危機を感じとっちまった…いつまでも、寝ちゃ…いられなかったんだろ…」
スズランとミナも不安そうに闘いを見つめていた。烈しい闘いは、なおも続く。
「キノハルの闘い方は、どこか鬼気迫るものを感じるよ…後先考えてないっていうか…」
「勝てるかな…、前田さん、…イテっ!グーで殴るなよ!」
「バカ!勝つに決まってるよ!前田さんが、負けるわけない!絶対に!いつだって、わたしたちに見せてくれたじゃないか!決して折れることのない、不屈の魂ってやつを!」
「そうだったな…、
いけー!前田さん!負けるなー!」
前田が痛めた左足を軸に、右足で蹴りを放つ。キノハルが鼻先でかわす。
背中をみせ回転する前田。
左まわし蹴りが、キノハルの側頭部を襲った。
キノハルは、弾かれるように吹き飛び、倒れこむ。
前田の蹴りも、鋭い。
「これやで…」
笑いながら、立ち上がる。嬉しそうにー。
口の端から流れる細い血をぬぐう。
(…それでこそ、うちが、最後に闘うと決めた相手や…、やっと、全力出せる相手、見つけたんや)
青い空に、稲光が鳴り響いた。
キノハルの表情から笑いが消える。胸に秘めたる思い。
急激に大人びた雰囲気が漂う。
「前田!うちの全力(いのち)、受けとめれるもんなら、受けとめてみろや!」








