AKB48G☆マジすか学園☆乃木坂46☆欅坂46☆櫻坂46☆日向坂46☆好きな 「かつブログ☆」 -153ページ目

マジすか学園3☆#8ー2☆

暗いー

(ここは…、どこなんだろう?)

漂うー


(海…?)


寄せては返す、波のようにー

たゆたうー


(敦子!)


懐かしい声ー


(みなみ?)


(敦子!お前らしくないぞ!もう、あきらめるのか?)


(そ、そんなわけないじゃん!わたしは、いつだって…)


(だったら、こんなとこにいる場合じゃないだろ!ここは、まだ、お前が来るところじゃない!)


(みなみ…、どこにいるの?)


暗いー


(わたしは、いつも、敦子のそばにいるさ)


(みなみ…)


(ほら、みんな呼んでるぞ!だから、迷うな!お前のやりたいようにやれ!わたしが、見てるから!ずっと…)


ずっと…見てるから…




校庭の中央ー


「おお!」

どよめきが起こる。

前田の身体がぴくりと動いた。


「あつ姐ー!」「敦子!」「前田さん!」「前田ー!」

マジ女の生徒が叫んでいる。
信じていた。信じることしかできなかった。
前田が立ち上がることをー。
抱き合って、喜びを噛み締めあう仲間たち。


瞳を見開き、ゆっくりと身体を起こす前田。

「また…、助けられたな…」
(みなみに…、そして…)

立ち上がり
まわりを見渡す。皆、泣いていた。皆、傷を負っていた。


前を見る。

(わたしの背中には、こんなにも頼もしい仲間がいる…、わたしを信じてくれる仲間たちが…、
だから、わたしは、前だけを見ることができる)


キノハルも、同じように意識を取り戻しはじめていた。


「…、前田…」


「キノハル…、どうやら…、ふたりとも、気を失っていたようだ…」


キノハルは、灼けるような胸の痛みを感じ、顔をしかめる。

「…、喧嘩の最中に…、気ぃ失うなんて…、生まれて初めてや…」


「わたしたちはまだ若い…、これから…、もっと、いろんな出来事が、待ってるさ…」


「うちには、そんな時間、残っとらんのや…、前田、うちは、お前に勝ったら、いつ死んでもかまわんわ!」


悲しげに、瞳を翳らす前田。小さく首を左右に振る。

「そういうことなら、なおさら、負けるわけにはいかないな…、
前に…、こんなことを言っていた…ひとがいた…」


………………………


『怖い?』


『はい…、時々、自分が怖いと思うときが…』


『ふっ…、心の中に、欲望という名のモンスターを飼っていないやつは…、お子様ランチさ…』


『お子様…ランチ』


『逆に…、そのモンスターに食い殺されるようなやつは…、負け犬だ!
前田…、お前は違う。お前は強い…、忘れるな…』

お前は…決して…


………………………


「うちが…、負け犬やっちゅうんか…?」


「いや…、お前は、お子様ランチだ…、欲望とは、夢や希望…、未来(あす)を信じ、精一杯生きていくこと…、キノハル…、お前の瞳(め)には、未来(あす)への光が見えない…、軽々しく、死を口にし、多くのひとを無意味に傷つけ、刹那的に生きてる…、そんなのは、自分勝手な…ただのお子様だ!」


「子供(ガキ)扱い、すんなや!」


前田が、瞳を閉じ、右の拳を強く握る。左腕はもはや使い物にならず、だらりと下におろしていた。



「生きたくても、生きれなかったひとがいる…、未来(あす)を夢見て、旅立っていったやつがいる…、軽々しく、“死ぬ”なんて考えるんじゃねー!」


前田の右の拳が、キノハルの顔面をとらえる。


「くっ!お前には、わからんことや!」


その言葉を聞き
前田は、瞳に深い悲しみをたたえる。
しかしー
次の瞬間、微塵も迷わず、静かに、こう言った。


「キノハル…、そろそろ、決着(ケリ)…、つけようか」

マジすか学園3☆#8ー1☆

校庭の中央ー

前田とキノハルの二人を取り囲む人垣は、唖然とし、声も出ない。

あまりにも、迅い、一瞬の出来事。

前田の左拳と

キノハルの右の蹴りとのー


激突。


その場に
立っていたのは
ひとり。


それは




前田ではなく


キノハルだった。



前田は、キノハルの傍で、横向きになって、意識を失い、倒れている。


対して
キノハルは、かろうじて立ってはいたものの、前田と同じく、意識を失っていた。

胸には
“龍神”の爪痕。拳の跡が残っていた。


キノハルの蹴りと前田の拳。ほぼ同時と言ってもいい激突。


キノハルの雷電のような右上段蹴りが、前田の左肩口から全身を襲い、前田を地面に叩きつけた。
しかし、前田もただでは転ばなかった。前田の拳は空を切り裂き、キノハルの胸に突き刺さっていたのだ。

相殺しきれなかったエネルギーが、お互いに対し、致命的なダメージを与えていた。


「これは…、どうなるんや?」「キノハルさんの勝ちやろ?」「前田のあの倒れ方はヤバいやろ!」「キノハルさんが“てっぺん”ってことか?」


「ばかやろー!まだ、決着ついてねーだろ!」「そっちだって、意識ねーじゃねえか!」「前田さんは立ち上がるんだよ!」「“てっぺん”は、前田さんなんだ!」


睨み合う両軍。

「やったろか?」

「やんのか、こら?」

一時、収まっていたマジ女とディーヴァの争いが、再燃する。また…、

始まるかに思えた。

そんなときー

「ぐは!」「ぐえっ!」

人垣の後ろのほうで、悲鳴がした。殴られる音と重なり、いくつもー。
その悲鳴が、徐々に近づいてくる。

マジ女もディーヴァも見境なく、叩き伏せ、
深紅の特攻服を、風になびかせながら、明るい髪色のショートカットの少女が歩いてきた。


「げっ!あいつは!?」「ま、まさか!?」


東京のみでなく、関西でも、その強さ、恐ろしさが知れ渡っている人物。女王(クイーン)の威厳ともいうべき風格を兼ね備えー。


「あんまり、見つめるな…クズ共」


アンダーガールズ
一番隊隊長
秦サワコだった。


「我々、アンダーガールズを差し置いて、“てっぺん”とは…」


短く嘆息するサワコ。


岸野リカは思う。
(まさか…、大矢マサナの言う…、“切り札”…?)


人垣の
最前列まで進み、前田とキノハルの様子を眺めやるサワコ。

(…ステイルメイト、か…)

ステイルメイト〈stalemate〉
チェス用語。次に動かせる駒がひとつもない状態。


と、
そこへ、人垣から飛び出してくる少女がいた。

「お前!また、邪魔するつもりか!?」

ジュリナが、声を張り上げ、サワコの前に立つ。昨夜の出来事。進学塾の前での市川ミオリとの死闘。


「気づいていたのか…、邪魔をしたつもりはないのだが…」


「ふ…ざけろよ!」

サワコの言いようが、かんに障ったのか、噛みつくようにジュリナは睨みつけた。

「そんなことより、このままでは、埒があかないだろう…
私としても、どちらが勝つのか、多少、興味はないこともないが…
そうだな…、
あと10秒、待ちたまえ…、それでも意識が戻らねば、君たち…勝手に乱闘でもなんでも好きにするがいい…、
ただし、そのときは、我々、アンダーガールズ千名も、もちろん参戦することになるが…」

鋭い眼差しで、全体に睨みをきかせるサワコ。


「ア…、アンダーガールズ…」「せ…、千名…」「うそ…だろ…」

半数以上が倒れ、立っている者もほとんど傷だらけの両軍。アンダーガールズ千名になだれ込まれたら、ひとたまりもないだろう。
戦々恐々と事態を見守る。

完全に、その場を掌握してみせたサワコ。

「それでは、私が、カウントを取ろう…、弔いの10カウントを…」


「なっ!?」


「10カウント以内に意識が戻ればよし…、意識が戻らなければ…、病院行き、すなわち…、敗者、というわけだ…」


救急車のサイレンの音が、不吉なもののように近づいてきていた。

感情を込めることなく、サワコは、カウントをとり始める。

「1(アイン)…、2(ツウ゛ァイ)…、3(ドライ)…」


前田の仲間たちは、前田が意識を取り戻すと信じていた。ただ、信じることしか出来なかったのだ。
何も出来ない自分が悔しい。
前田の無事を…、勝利を…祈る。
声を枯らし、叫ぶ。
つらく、苦しい…、時間だけが流れる。


「あつ姐ー!」「敦子ー!」「前田ー!」「前田さん!」


ジュリナが、倒れている前田の側まで駆け寄る。

「前田!立ち上がれ!お前のちからは、そんなもんじゃねーだろ!立てよ!立って、お前の“マジ”を見せてみろよ!
…頼む…
見せて…、くれよ…」


ジュリナの心の底から絞り出すような叫びをよそに
無情にも、カウントは続いていた。


「……、7(ズィーベン)…、8(アハト)…、9(ノイン)…」


「前田━━━━━━…」

マジすか学園3☆#7ー10☆

六本木の魔女の館ー

「あの子たちは、間に合ったようですね」

だるまたちに修行の場を提供し、レベルアップをほどこした、この館の主。六本木の魔女こと、梅田ハルカ。

常時、神妙な様子で、タロットを操り、現在、過去、未来を視(よ)んでいる。

いま、このときもー

しなやかな白い指先が、タロットを操る。

美しい眉を寄せ、カードを見る。

木製のテーブル上に

【女帝】のカードが、我が物顔のように、君臨していた。


次のカードをめくろうとする魔女。


「こ…、これは!?」


裏にしてあるカードが、突然、縦に真っ二つに、割れた。

不吉な予感を覚え、そのカードを表にする。

それは…


そのカードは…


【太陽】をあらわすカードだった。






#7 『いましかできないこと』 終