AKB48G☆マジすか学園☆乃木坂46☆欅坂46☆櫻坂46☆日向坂46☆好きな 「かつブログ☆」 -137ページ目

マジすか学園3☆#11ー8☆

東京ー


私立K大学病院の個室ー


病床(ベッド)の上で横たわる、ウェーブのかかった髪の長い少女は苦しそうに、

「まわりのやつらは…、喧嘩ばかりしてる…お前らのこと…いろいろ言うかもしれねぇ…、でも、お前らは…、いつだって、本当に、最高だった…、たくさんの“マジ”を…、ありがとな…、後は…頼んだ…」


室内にひとり
その様子を上から冷ややかな視線で見下ろしているサド。またか、と言わんばかりにー。


「優子さん…、その遺言めいた芝居は、もう、やめてください」


もう、何度も見せられた芝居。演技も過剰になってきており、もはや、最初の感動は薄れ、怒りすら覚えていた。不謹慎だ、とサドは思う。


「チェッ、だって退屈なんだもんよー。術後の経過観察なんかいらねーって、早く退院させてくれよ。もう病院は嫌だー!」


「何を言ってるんですか!機内で意識不明になったのはどこの誰だと思ってるんです!?みんな、どれほど心配したことか…、意識が戻るまで、生きた心地がしませんでしたよ…。ほんとは、病床(ベッド)に縛り付けておきたいくらいなんですから。アメリカでの大手術のあと、記憶喪失のまま、ハーレムでの大暴れ…、主治医も呆れてましたよ…」


優子は、機内で意識不明の重体に陥り、この病院に運ばれ、目覚めたのは、昨晩遅くのことだった。普段通りのおちゃらけた応対が出来ていたのと、担当医による「極度の疲労が重なったのだろう」という診断結果に、とりあえず、皆、安心して、帰宅したのだった。

サドは、優子のため、入院の準備を整え、再び、病室を訪れていた。

「ははは…、また、こうして、サドの説教聞けるのも、あの主治医(せんせい)のおかげだしな。しばらくは、おとなしくしとくよ…たぶん」


「たぶん…?」

サドの永久凍土のように凍てついた視線が、優子の無邪気な顔に突き刺さる。


「へいへい、わかりましたよ。何だか強くなってんなぁ…、お前。
シブヤは会社、ブラックはパート、トリゴヤはバイトの面接、チョウコクは山籠もり、ゲキカラは学校か…、みんな、それぞれ、新しい生活が始まっちまってるんだな…、サド、お前も、専門学校(ガッコ)のほうはいいのか?」


「みんな、また、すぐに顔を出すって言ってましたよ。前と違い、面会は解禁でいいんですよね。
わたしのほうは、大丈夫です。そんなことより─、もう…、どこにも行かないでくださいよ…」


サドが、深い感慨を込めて言った。

しんみりした雰囲気を打破しようと、「あっ!そういえば…」と、優子は折り畳まれた紙片をサドに手渡す。

「これ…、今朝早く、ゲキカラが来てさ、帰り際に、お前に渡してくれって…、なんなんだろな」

サドも、不思議そうに紙片を受け取り、開く。


『サドへ


抜け駆けしたら、潰すよ



       ゲキカラ』

くすりとサドが笑う。先手を打たれた。


「これは、宣戦布告と受け取っておきましょう」

「ん?」


何が展開されているのか意味不明な優子。

くしゃりと紙片を握りつぶし、
水をかえてきます、と花の入った花瓶を持って、サドは部屋を出ていった。

ふと、優子の表情が憂いを帯びたものに変わる。

「ありがとうくらい、何回でも言わせてくれよ…、本当に、お前らには感謝してんだ…、何度言っても足りないくらいな…。それに…、また、いつ…、突然…」


頭をふる。

Tシャツに黒いスウェットのラフなスタイルで、優子は病床(ベッド)から起き上がると、広く開放的な窓辺に立った。東京の空は明るい。

十階建ての最上階にあるVIP専用の高級感漂う個室。
眼下には、よく手入れされ緑にあふれた豪奢な中庭があった。成金趣味とはシブヤの弁である。

そのなかに、ポツンと漆黒の特攻服を着た少女が、こちらを見上げ、佇んでいた。いくつもの闇を渡り歩いてきた冥い双眸。暗黒色の長いストレートの髪。

少女は、優子から目をそらすことなく、呟く。


「おれが仕留め損なったのは、てめーらが初めてだ…、たしかに油断はあったのかもな…、だから、今度は、間違いなく、直接、おれの拳で、ぶち殺す…
アンダーガールズ親衛隊の、いや、暗黒狼(ダークウルフ)の誇り(プライド)に賭けてな…」

漆黒の特攻服の少女─木崎ユリアは
くるっと踵を返し、病院の敷地を後にした。

「The fun starts now.(お楽しみは…これからだ)」


その後ろ姿を神妙な顔つきで見送る優子。


突如ー
激しい目眩にみまわれる。険しい表情で、大きな窓に体重を預ける。
全身から嫌な汗が噴き出した。


「くっ…、すまねぇな、サド…、おとなしくしてるわけには、いかねーかもな…、すべてを終わらせる…、それまで…、もってくれるのか…、わたしのこの身体は…?」


歪む視界のなか、自問自答を繰り返す優子だった。

マジすか学園3☆#11ー7☆

【エリアF】

雨にけぶる教会の中庭─
そこは、まさに血と怒号が飛び交う戦場だった。
たったひとり、
上下真っ白なセーラー服を翻し、野獣のようにディーヴァの隊員たちを次々と薙ぎ倒していく少女─アヤメ。三十人以上の隊員を相手に、“白き虎”の異名を持つ少女は、獣性を露わにし、奮闘していた。
虎牙のような鋭い拳が、飛ぶ。雨に濡れた石畳の上をすべるように転がっていく隊員。
くすんだ濃い灰色の特攻服に身を包み、鉄パイプや木刀といった凶凶しい武器を持った隊員たちが、次から次と、目の色を変え、アヤメに断続的に襲いかかる。
やはり、ディーヴァ側に、戦力的アドバンテージが大きいことは否めない。


「前田は、どこ行ったんや!?」「居場所吐いたら、命だけは許したってもええで」


そんな余裕を見せる隊員たちに視線を投げるアヤメ。
数の論理。
1対1なら、相手にもならない敵さえ、集団になると、かなり手強い。終わりが見えない。倒しても倒してもー。

漫画やドラマの主人公のようにはいかない。現実とはそういうものだった。


(でも…、“お前”は、いつも、そんな既成概念を吹き飛ばしてたな…)

アヤメは、ふと、思い出す。“勝利の女神”と呼ばれた少女のことをー


(風のように現れて、いつも、わたしを助けてくれた…)


疲労のみえるアヤメに、不思議と、気合いが湧きあがる。負けられない。たとえ、傷つき、ボロボロになろうとも。


(わたしのために、いつも“お前”は傷だらけになってくれた…、ここは何があっても、絶対、逃げだすわけにはいかない…、あのときみたいに…、今度はわたしが、“お前”の大切なひとを、助ける番…、それが、“お前”を救えなかった、せめてもの…)


「動き、鈍なってきとるで!」「早よ、潰れろや!」「潰せ潰せ!」

罵声を浴びせつつ、幾度となく、四方から、アヤメの細い身体に、凶器が激しく打ち込まれる。時間が経つにつれ、かわせていた攻撃すら、かわせなくなってきていた。
痛みを通り越し、身体が段々、重くなっていく。腕の振り、足の運びが徐々に鈍くなっていくのがアヤメにもわかる。


(わたしは…、強くなんて、ない…、“お前”と違って…、ただ…、強くなりたいと…思ってただけなんだ…、“お前”の近くに…いきたかったから─)

アヤメの背後から、木刀が振り下ろされた。
頭部から流れる血が、痣だらけの顔を伝う。
しかし、アヤメは倒れない。


「な…、なんでや…、なんで、倒れん!?」


「はぁ…、はぁ…、いつだって…、てめーらみたいな組織は、圧倒的に有利な立場で闘いやがる…、権力を振りかざし、組織力にものを言わせ、巨大なゾウが蟻を踏み潰すように…、何の信念もなく、ただ欲望のまま、弱い者を傷つける…、
そんな…、お前らみたいなクズ野郎に…、負けない…、負けてたまるかっ!…潰せるもんなら潰してみな!」


啖呵をきられた
ディーヴァの攻撃は、なお、止まることはなく。逆に烈しさを増す。


(絶対…、倒れない…、倒れるもんか…、約束したんだ…、強くなるって…)

冷たい雨にうたれ、血と汗にまみれながら、鉄パイプや木刀を受け続けるアヤメ。


(言ったよね…、あのとき、“また、いつでも会える”って…、それに、『さよなら』だって、まだ言ってない、のに…)


視界が霞む。
ひとりでディーヴァに立ち向かうということは、死にに行くようなものだと言っていたのは、アヤメ自身だった。
石造りの教会は、ただ、ただ、その光景を無言で見下ろしていた。

(会えるに決まってる…、わたしは…幸せを呼ぶ…招き猫、だから…、“お前”が…、名付けてくれた…)


「こいつ、ホンマ頭おかしいやろ!?いい加減、倒れろや!」「間違いないわ!アホやな…」「死にたいんやろ。望み通りにしたるわ!」


そう言って、鉄パイプを振り上げ、不用意に殴りかかってきた隊員の顔面に、アヤメの怒りを含んだ渾身の拳がまともに決まった。
重い衝撃。
隊員は大きく弾け飛び、石畳に叩きつけられた。そして、いままでアヤメが打ち倒した十数名の隊員たちの仲間入りとなった。


「はぁ…、はぁ…、随分となめられたもんだ…、てめーらみたいな下っ端と違ってな…、わたしは…、
わたしは、いつだって、“マジ”に生きてんだよ!」


アヤメが吠えた。

猛る白き虎の絶叫。

たじろぐ、残り数名の隊員たち。

その場にいる全員の
動きがぴたりと止まった。
折からの雨は、雨足をより強め始めた。雨滴が石畳を叩く音が耳に響く。

アヤメの激しかった呼吸音が止まる。限界。
そして──
雨の勢いに押されるように、立っているのもやっとだったアヤメは、とうとう、力尽き、崩れ落ち──


(……、“マジ”に…生きてれば…、きっと、会える…て…、)


そのとき──


「アヤメ!」


少女を呼ぶ声。その声の主は、“風”のように、降りしきる雨を切り裂き──
崩れ落ちそうなアヤメの傷だらけの身体を、抱きかかえ、力強く支えた。
その感触に、消え入りそうな意識のなか、アヤメが微笑む。



「……、やっぱり…、来てくれたんだね…、みなみ」

The show must go on!