マジすか学園3☆#11ー7☆ | AKB48G☆マジすか学園☆乃木坂46☆欅坂46☆櫻坂46☆日向坂46☆好きな 「かつブログ☆」

マジすか学園3☆#11ー7☆

【エリアF】

雨にけぶる教会の中庭─
そこは、まさに血と怒号が飛び交う戦場だった。
たったひとり、
上下真っ白なセーラー服を翻し、野獣のようにディーヴァの隊員たちを次々と薙ぎ倒していく少女─アヤメ。三十人以上の隊員を相手に、“白き虎”の異名を持つ少女は、獣性を露わにし、奮闘していた。
虎牙のような鋭い拳が、飛ぶ。雨に濡れた石畳の上をすべるように転がっていく隊員。
くすんだ濃い灰色の特攻服に身を包み、鉄パイプや木刀といった凶凶しい武器を持った隊員たちが、次から次と、目の色を変え、アヤメに断続的に襲いかかる。
やはり、ディーヴァ側に、戦力的アドバンテージが大きいことは否めない。


「前田は、どこ行ったんや!?」「居場所吐いたら、命だけは許したってもええで」


そんな余裕を見せる隊員たちに視線を投げるアヤメ。
数の論理。
1対1なら、相手にもならない敵さえ、集団になると、かなり手強い。終わりが見えない。倒しても倒してもー。

漫画やドラマの主人公のようにはいかない。現実とはそういうものだった。


(でも…、“お前”は、いつも、そんな既成概念を吹き飛ばしてたな…)

アヤメは、ふと、思い出す。“勝利の女神”と呼ばれた少女のことをー


(風のように現れて、いつも、わたしを助けてくれた…)


疲労のみえるアヤメに、不思議と、気合いが湧きあがる。負けられない。たとえ、傷つき、ボロボロになろうとも。


(わたしのために、いつも“お前”は傷だらけになってくれた…、ここは何があっても、絶対、逃げだすわけにはいかない…、あのときみたいに…、今度はわたしが、“お前”の大切なひとを、助ける番…、それが、“お前”を救えなかった、せめてもの…)


「動き、鈍なってきとるで!」「早よ、潰れろや!」「潰せ潰せ!」

罵声を浴びせつつ、幾度となく、四方から、アヤメの細い身体に、凶器が激しく打ち込まれる。時間が経つにつれ、かわせていた攻撃すら、かわせなくなってきていた。
痛みを通り越し、身体が段々、重くなっていく。腕の振り、足の運びが徐々に鈍くなっていくのがアヤメにもわかる。


(わたしは…、強くなんて、ない…、“お前”と違って…、ただ…、強くなりたいと…思ってただけなんだ…、“お前”の近くに…いきたかったから─)

アヤメの背後から、木刀が振り下ろされた。
頭部から流れる血が、痣だらけの顔を伝う。
しかし、アヤメは倒れない。


「な…、なんでや…、なんで、倒れん!?」


「はぁ…、はぁ…、いつだって…、てめーらみたいな組織は、圧倒的に有利な立場で闘いやがる…、権力を振りかざし、組織力にものを言わせ、巨大なゾウが蟻を踏み潰すように…、何の信念もなく、ただ欲望のまま、弱い者を傷つける…、
そんな…、お前らみたいなクズ野郎に…、負けない…、負けてたまるかっ!…潰せるもんなら潰してみな!」


啖呵をきられた
ディーヴァの攻撃は、なお、止まることはなく。逆に烈しさを増す。


(絶対…、倒れない…、倒れるもんか…、約束したんだ…、強くなるって…)

冷たい雨にうたれ、血と汗にまみれながら、鉄パイプや木刀を受け続けるアヤメ。


(言ったよね…、あのとき、“また、いつでも会える”って…、それに、『さよなら』だって、まだ言ってない、のに…)


視界が霞む。
ひとりでディーヴァに立ち向かうということは、死にに行くようなものだと言っていたのは、アヤメ自身だった。
石造りの教会は、ただ、ただ、その光景を無言で見下ろしていた。

(会えるに決まってる…、わたしは…幸せを呼ぶ…招き猫、だから…、“お前”が…、名付けてくれた…)


「こいつ、ホンマ頭おかしいやろ!?いい加減、倒れろや!」「間違いないわ!アホやな…」「死にたいんやろ。望み通りにしたるわ!」


そう言って、鉄パイプを振り上げ、不用意に殴りかかってきた隊員の顔面に、アヤメの怒りを含んだ渾身の拳がまともに決まった。
重い衝撃。
隊員は大きく弾け飛び、石畳に叩きつけられた。そして、いままでアヤメが打ち倒した十数名の隊員たちの仲間入りとなった。


「はぁ…、はぁ…、随分となめられたもんだ…、てめーらみたいな下っ端と違ってな…、わたしは…、
わたしは、いつだって、“マジ”に生きてんだよ!」


アヤメが吠えた。

猛る白き虎の絶叫。

たじろぐ、残り数名の隊員たち。

その場にいる全員の
動きがぴたりと止まった。
折からの雨は、雨足をより強め始めた。雨滴が石畳を叩く音が耳に響く。

アヤメの激しかった呼吸音が止まる。限界。
そして──
雨の勢いに押されるように、立っているのもやっとだったアヤメは、とうとう、力尽き、崩れ落ち──


(……、“マジ”に…生きてれば…、きっと、会える…て…、)


そのとき──


「アヤメ!」


少女を呼ぶ声。その声の主は、“風”のように、降りしきる雨を切り裂き──
崩れ落ちそうなアヤメの傷だらけの身体を、抱きかかえ、力強く支えた。
その感触に、消え入りそうな意識のなか、アヤメが微笑む。



「……、やっぱり…、来てくれたんだね…、みなみ」