AKB48G☆マジすか学園☆乃木坂46☆欅坂46☆櫻坂46☆日向坂46☆好きな 「かつブログ☆」 -135ページ目

マジすか学園3☆#12ー1.5☆

東京──


「そんな身体で、特攻服など着て…、どこへ行こうと言うのです?」


S高校指定の緑のブレザーの大矢マサナが、病院の入り口から出てきた少女に声をかけた。


「そんなこと…口に出さなきゃわかんねーお前じゃねーだろ?くだらねーこと言ってんじゃねーよ!」


鍛え上げられた素肌に巻かれた白いサラシの上に、S(シュヴァルツ)の黒い特攻服を羽織り、片手で松葉杖をつきながら、苛立ちを隠しきれない高柳アカネ。
特攻服が風に煽られ、背中に刺繍された鷲が、いまにも飛び立たんとしている。


「マナツがやられた…、アイリもカナも、須田も…、それでも、黙って、おとなしくしてろって言うのか!?」


「矢場久根のアジトは、、もぬけの殻ですよ…いまは」


「……、だったら、捜し出すまでだ…」


「いまはまだ動くときではありません。敵の全容もつかめていない…、あなたも万全な体調ではないのですし…、マジ女の協力もあおげない…」


「…、お前はいつも、冷静だな…、だけど、腹の中では人一倍、怒りが煮えくり返ってんだろ?」

「理解して(わかって)いただけて、感謝します…、矢場久根の最終目標は、おそらく『マジ女』でしょう…、そのために、いまは、陰で蠢動しているのかもしれません…、来るべき“審判のとき”のために…」


「くそっ!頭ではわかってても…、この、振り上げた拳の落としどころが、見つからねー!」


震える拳を見つめるアカネ。その拳を優しく包み込むように、手のひらを重ねるマサナ。


「いまは、迂闊に動くことは避けましょう…、」

直後─

気配を感じる。その正体は『殺気』。


「ただし…、当然、降りかかる火の粉は払わねばなりません」


前方に、矢場久根の生徒たちが集団でたむろし、こちらを牽制していた。その数、約、三十。

アカネが、一歩、前に進む。
マサナは、こくりと頷き、言う。

「ちょうど良い前哨戦(リハビリ)になりそうですね」


猛々しい笑みをもらし、アカネは松葉杖を真横に投げとばす。

怒れる黒鷲が、いま、大きく羽ばたいた。

感動ヾ(○^▽^○)ノ

マジすか学園3☆#12ー1☆

【エリアF】


降りしきる雨の教会の中庭で、アヤメは小さく言葉をもらした。


「やっぱり…、来てくれたんだね…、みなみ」


「しっかりしろ!アヤメ!」


朦朧とする意識のなか、アヤメの見上げた先に、自身の思い描いた人物は─、いなかった…。

声の主─、揺さぶる手の先には、心配そうに自分を見つめる“前田”の姿があるだけだった。

“風”のように現れ、自分を守るように支えてくれたのは、教会で眠りについていたはずの前田だったのだ。

はは…、と軽く笑うアヤメ。
来るはずないよね、と自分を嘲笑いながら、


「ごめんニャ…、騒がしくして…、“眠り姫”を起こしちゃったかな…」

まったく…と、前田は、傷だらけのアヤメの顔を痛々しそうに見る。


「……、ほんとに、強がりだな…、悪い“魔法使い”のおかげかな…、十分、休めたよ」


「……、よかったニャ…、なんだか、お前を見てたら…、昔のこと…いろいろ思い出しちゃった…よ」


「アヤメ…」


前田は、顔を上げると、アヤメをここまで痛めつけたディーヴァに向き直った。残された数名の隊員に対峙し、睨みをきかせる。


「ここからは、もう止まらない…、何があっても」

前田は左の拳を強く握り締めた。

アヤメも、元気(ちから)を取り戻す。

その時点で、
ここでの戦いは、すでに終局を迎えていた。




──かに思えた。


ジャリ…と、砂を噛む音。

「前田…、あのとき、はっきり言うたよな…」


酷薄な声。
教会の敷地内に、雰囲気をがらりと塗り替えるように、銀灰色(グレイ)の影があらわれた。


「今度、会ったら…、殺す…と」


銀灰色(グレイ)の特攻服に身を包んだ山本サヤカは、険しい表情を露わにしていた。雨は強まる一方で、次から次に、滴が凛とした顔の表面を流れ落ちていく。


「くそっ…!出てきたか…」


忌々しげに呟くアヤメは、サヤカのことをよく知っていた。

アヤメが半年前、大阪の隣県に引っ越してきた矢先、関西最大の組織ディーヴァと、それに対抗している小さなチームの噂を耳にした。

巨大な組織に闘いを挑むドン・キホーテのように、ちっぽけなチーム、NMBーZ(ナンバーズ)のことをー。

悪名高きディーヴァによって、大小様々なチームが、どんどん壊滅させられていくなか、山本サヤカ率いるNMBーZだけは、けっして屈することなく闘い続けることができていた。
それはひとえに、山本サヤカの実力の賜物だった。

その後、ディーヴァは、大阪で、一旦、なりを潜める。それを見て、山本サヤカはある目的を果たすため、チームを腹心の部下に預け、東京へ向かった。
そのころ、西日本制覇に動き始めていたディーヴァは、遠征を行い、勢力拡大を図っていたのだった。そして、西日本を制覇した後、大阪に舞い戻り、山本サヤカのいないNMBーZを叩き潰し、大阪完全制圧。ついに、関東進出に乗り出すこととなる。
チームの悲報に、急遽、大阪に舞い戻った山本サヤカは、何故か、宿敵であったディーヴァに加入する。
その実力から、すぐに将軍格と隊員100名を与えられる。それは異例中の異例のことだった。

大阪だけでなく、関西全域でもその名を広く知られた、“喧嘩の天才”──山本サヤカ。

その“天才”が、いま─、前田たちの前に、そびえる壁のように、立ちふさがっていた。


「何を言っても…無駄みたいだな…」


前田は、サヤカの揺るぎない表情をすぐさま読み取った。


「あれほどディーヴァと争っていたのに…、それに、たしか、ついこの前まで、マジ女の…、仲間、だったんだよね…?それなのに…どうして…」

アヤメにとっては、当然の疑問だった。
アヤメは、あのとき─、エリア内に侵入した前田が、サヤカに殴られた場面を目撃していた。


「仲間なんかじゃないよ…」


前田が、ゆっくりと構えをとる。拳から、滴り落ちる雨。


「……、親友(ダチ)だ…」


サヤカが眉を寄せる。


「……、同じ志をもって、一緒に喧嘩した仲間…、身体を張ってわたしを守ってくれたこともあった…、そんなあいつは…、どんなことがあっても…、わたしの、親友(ダチ)だ…」


前田の言葉は、サヤカの闘志に火をつけただけだった。


「いつまでそんな甘い“考え”しとるんや!うちは、もう、敵(ディーヴァ)や!ディーヴァの『山本サヤカ』なんや!」


ザッ、という石畳を踏む音と同時に、雨を切り裂くサヤカの右拳が、前田の顔面にヒットした。
かわしたつもりが、かわせなかった。


「くっ!」


視界が揺れる。
飛びそうになる意識を、前田は、どうにか保ち、左の拳を伸ばす。
その拳は、軽く左手で弾かれ、サヤカの右拳がまたしても前田の顔面に決まる。
大砲のような右は、前田を大きく吹き飛ばした。雨に濡れる石畳を転がっていく。

サヤカの決死の覚悟がみえる。本気だった。
いつも、おちゃらけていたサヤカだったのに。

前田は、ずぶ濡れになりながら、立ち上がり、向かっていく。歯を食いしばってー。

「うおおおおおおおお!」

サヤカは、たたき伏せるように、右の拳をふるう。ふたたび、倒れる前田。

前田の動きは、サヤカに読まれてしまっていた。
サヤカの天性の喧嘩の才が、前田を圧倒する。


「あの強い前田が…、圧(お)されてる…、」


アヤメが戦慄する。

周りで、成り行きを見ていたディーヴァの隊員たちは勢いづき、立ち尽くすアヤメに凶器で殴りかかってきた。

紙一重でかわすアヤメ。


「そうか…、まだ片付いてなかったニャ…、前田の邪魔は、させないよ…、こっちは、こっちで、やるべきことをやる…、それが、戦場での教訓…」

喰われたいヤツは前に出ろ!と、白き虎が吼えた。


ザーザーと…
前田に激しく振り注ぐ雨、そして、拳。拳。拳。

打たれ続ける。


「そんなもんやったんか!?お前の“マジ”ってやつは!!」

サヤカの大砲のような拳の連打を、両腕でガードしながら、その奥の瞳は、輝きを放つ。

「いまのお前が…、“マジ”って言葉を軽々しく口にすんじゃねぇ…」

奥歯を噛み締める前田。

「…親友(ダチ)が、道を間違えたら…、それを教えるのが…、親友(ダチ)なんだ…」


「何を言われても…、うちには、もう、お前を倒すしか…、それしか…、それしか道は、ないんや!」

拳に気合いがのる。


「くっ!…だったら、わたしの“マジ”を…、止めてみろ!」


前田が、拳の嵐をくぐり抜け、右の拳をサヤカの顔面に打ち込んだ。

しかし─、

前田の拳は、寸前に、サヤカの左手で受け止められていた。
拳を握る左手にちからを込めるサヤカ。


「恨むんなら、うちを恨め…、
前田…、お前の“マジ”を…、ここで打ち砕く!」


睨み合う二人。

降りしきる雨の勢いは、さらに激しさを増していった。