ジャーナリスト 石川秀樹 -5ページ目

ジャーナリスト 石川秀樹

ちょっと辛口、時どきホロリ……。理性と感情満載、世の常識をうのみにせず、これはと思えばズバッと持論で直球勝負。
3本のブログとFacebook、ツイッターを駆使して情報発信するジャーナリスト。
相続に強い行政書士、「ミーツ出版」社長としても活動中。

★節税バカにならないで! 「相続税」より大事なのは家族の安心と幸せ
http://yuigonsouzoku.net/do-not-think-the-inheritance-tax/




このところずっと書いていますが、相続税は(サラリーマンにとっては明らかに二重課税なので反発を感じますが)課税体系としてはかなりよくできた税だと思っています。
「最大税率55%」などと言われると、誰しもひどい税だ、何もしてくれない国が不当に国民の金をタカっている、と思うかもしれません。
でもそういう風に思い込むと、非常に危険です。



もらう側はいいんですよ、どうせもらうだけ、
たとえ相続税が掛かっても、もらった財産から払えばいいんですから誤解していても痛くもかゆくもない。
ところが相続させる側が勘違いしてしまうと、節税バカになってしまう人が出てきます。
「国に取られる分は1円でも少なくしたい」と、さまざまな策を講じてしまいます。



孫や子に生前贈与するなら喜びもあるんでしょうが、度が過ぎれば遺される配偶者の老後資金が心細くなってしまうこともあります。
生命保険の掛けすぎも同じ。
さらには借金までして更地にアパートを建ててしまうとか。
事業として成算があってするならいいんですが、節税おたくのように始めてしまうと、「この先どうなることやら」ということになりがちです。






節税対策をするなら、しっかり相続税を理解して、自分で計算してから取り組んでください。
はじめに書いたように、相続税は少なくとも1億円から2、3億円までの資産については、「不当」と思えるほどの酷税を課してはいません。
「3億円以下」の財産に掛かる相続税率が45%だから、国税当局に1億3500万円も持っていかれる、なんてことには絶対になりません。



実効税率は(夫婦に子2人の家庭の1次相続では)9.5%程度にすぎません。
このくらいの資産を持っている人は、何もしないということはまずないでしょうから、実際に納める相続税額もっと少なくなるのが普通です。
でも節税バカや節税オタクにならないでください。
かえって遺される人たちに迷惑がかかってしまいます。



過ぎたるは及ばざるがごとし。
勘違いして、情報も確かめず、人から勧められるままに(たとえそれが専門家でも)ご自分の財産をいじらないでください。
家族と相談してください。
十分に理解できていない、なんだか浮いたような”よい話”にはゼッタイに乗らないでください。



節税ばかりに興味が行くのは危険です。
大切なのはお金の節約ではなく、家族の幸せのはずですから。



<★午後4時からの生き方ノート、”ポスト60歳”お楽しみはこれからだ!>
http://yuigonsouzoku.net/way-of-life-from-4-pm/




「お楽しみ」というのは言葉のあやですが、
日本人はたぶん「60歳」に特別の意味を感じてしまう人種でしょうね。
「定年」との連想から、人生が終わってしまった、少なくとも”第一の人生”はこれで終わりで、そして”第二の人生”はいまだ見通せないと。



そんなこんなで、言葉の呪縛に邪魔されて、凝り固まった、世間並みの発想しか浮かばず『終わった人』と自らを規定してしまうのです。
でも、もう少し冷静になってみましょうよ。
60歳、あるいは65歳でもいいですよ、
そんなにあなた、衰えていますか?



体力(はともかく)、気力、やる気、経験、自信・・・・・
それらは現役のあなたといくらも違っていはしない。
カップの水は3分の2、残っています。
「3分の2も残っている」のか「しか残っていない」のかは受け取り方次第です。






昔、こういうような利いた風なことを言われるとムカつきました。
えらそうに、上から目線でと。
私も実は、歳を取りたくない、永遠に若さに焦がれる、肚の小さな臆病者です。



でも先日、「午後4時の太陽」を発見しました!
なにげなく過ぎていた午後4時。
午後4時は夕方なのか? 昼間なのか?
真冬なら、はや夜の入り口だけれども、
7月、8月の今ならまだ昼の盛り。



季節や気分で「時刻(とき)」はいかようにも変わります。
正直言えば、30歳を過ぎてからこの方、節目のときを迎えるたび
「俺が40だって⁉ そんなばかな」
「とうとう人生50年、来ちまったぜ」
「還暦だって? 何が暦の一巡か、ばかばかしい」
「65歳だ⁉ 押しも押されもしない『高齢者』だってさ」



いつもみっともない内心に、引け目を感じていました。
そして無意識に、時間をバカに、現実を認めませんでした。
「何が現実だ。俺は少しも変わらない・・・・・」



正直言って、まだ変われない自分がいます。
「高齢者」と言われる俺には向き合いたくない。
ただ少し、自分の中に変化のきざしがあります。
「老い」だの、「若さ」だのという概念を超えられたわけではありませんが、少し自由になってきました。



怒りっぽくなったのは大きな欠点ですが、
最近「天下御免」の意識は強くなりましたね。
ごう慢と紙一重なので戒めるべきですが、「価値」ということについては、ウソと本当がやや分かるようになってきた気がします。



そして最近、ようやく父親に、少しやさしくなってきました。
今の父親は「すべてを失った」と言ってもいいような辛い状況にいますが、なんだか飄々として見えます。
病院に行かないと無精ひげになるので、行くたびに電気カミソリをあて顔をきれいにします。



もうダンディーにはなれないのに、左手で頬を触ってうなずいています。
「恨みを感じさせない」父親に、まいったなぁ、人間はどんな状況にも沿っていけるのだなあ、と感嘆してしまうのです。



午後4時どころか、午後11時をだいぶ回ったとしても、人間は感謝することができる。
ちょっと救われた思いです。




★相続税は高くない! ”敵”の正体を知って対策すれば、憂いは消えます !!
http://yuigonsouzoku.net/inheritance-tax-is-not-high/




このところずっと「相続税」のことを書いています。
相続税に絡む用語、正味の遺産額とか課税遺産総額とか・・・・、
相続税の計算法も書きましたし、相続税額を計算できるアプリのことまで紹介しました。
伝えたいことはただ一つです。



「相続税は高くない!」
これだけのことです。
相続対策を仕事とする私がなぜ、自分の足元を掘るようなことを言うのか。
わかってほしいのです。
相続税は理不尽なほど高いものではない、
生活を脅かすほどのひどい税(酷税)でもないことを。
それはこの税の”仕組み”のあちこちからも理解できます。



ところが、こと「相続」と言うとただそれだけで
「1円だって相続税を払いたくない」
だから「ありとあらゆることをしてでも節税しなければ」
という人が出てきます。
そういう人がいても構いませんが、どうも本末転倒しているように感じられてならないんです。





本末転倒とはこういうことです。
「相続」で大切なのは何ですか?
いろいろあるでしょうが、1つは世代の継承を無理なく確実に行うこと。
それと同じくらい目的として大きいのは、私は「大切な人を守る」ことであると思っているんです。
夫婦の場合、一緒に長い間生きてきて、でも自分が先に逝かなければならないようだ、
それが「相続」です。
私の死後もこの人の生は続く。
最後まで人生を全うできるように私は何をすべきか。
それが相続の”もうひとつの原点”だと思います。



それなのにお金のことに心を奪われると、大切な人の安全を顧みないで、
節税対策などと言うおかしなことをしたくなる。
節税策って、実はお金がかかるんですよ。
土地を買ってアパートを建てて・・・・
子や孫に生前贈与をして、
納税資金捻出のために高額の生命保険に入って・・・・。
無尽蔵にお金のある資産家なら、どうぞおやりください。
いくぶん効果はあります。



しかし「今度、相続税の基礎控除額が4割も削減されたからうちも相続税を払わなければいけないかもしれない」程度の方が節税対策するのはやめた方がいいです。
そんなことより、パートナーにしっかり老後のためのお金を遺す方がよほど合理的。



相続税を払うか払わないか、そのボーダー(境界)にいる人の相続税は本当にしれたものなんです。
「対策しない」のが最良の対策、と言える程度の金額。
相続税を払えるくらいの「リッチ」になったと、私なら胸を張って払っちゃいますね。



何はともあれ、一度は相続税がいかほどになるのか、ご自分で試算してみてください。
対策はそれからです。
ついでに相続税の知識も少し学んでいただけたら。
きっと漠然と頭で考えていた「相続税像」が変わるのではないかと思います。
けっこうよくできています。
すべて承知した上で行う対策なら、確実に良い結果に結び付きます。




★相続税は”酷税”か──「相続税がかかる財産」から読み解く意外な結論⁉
http://yuigonsouzoku.net/three-numbers-and-inheritance-tax/




相続税の最高税率は55%
基礎控除額が今年から4割も削減された
と、大騒ぎになっていますが・・・・。



数字をうのみにして早合点しないでください。



結論を先に言うと、税率の見た目の高さと、実際にかかってくる税額とは差があるんです。
2億円、3億円の資産を持っている方でも、何か特別なことをしなくても、法に則って意識的に行動するだけで「相続税にひどい目に遭わされた」なんてことにはならなくて済むはずです。



理屈より、実際に数字をあてはめて解説しましょう。
「正味の遺産総額」が1億円の標準家庭(夫婦に子2人)で夫が亡くなった場合、相続税はいくらくらいかかると思いますか?



1億円「以下」だと税率は30%(700万円の控除)。
1円でも超えると税率40%(1700万円控除)となります。
ザックリ言って、さあ、いくらだとおもいますか?





答えは「314万円」です。
妻ゼロ円、子はそれぞれ157万円。
税率は30%なのに、実際にはその10分の1!
これはどうしたことでしょう。



それを説明するには「正味の遺産総額1億円」の意味を話さなければなりません。
まず、相続税はマイナスの財産(借金、未払金等)にはかかりません。
葬式費用、祭祀財産も対象外です。
一方、生命保険や死亡退職金は課税対象になります。
また、相続発生前3年間の生前贈与などは「遺産」に持ち戻されて相続税の対象になります。



さらに忘れてならないのは、相続税の特例が加味されるということ。
「小規模宅地の特例」では条件次第で土地が8割引きの計上で済みます。
生命保険や死亡退職金も相続財産にカウントされますが、一方、相続人1人当たり500万円が遺産額から引かれます。



このように考えると「正味の遺産総額1億円」は、実際の資産としては2億円くらいの価値があったとしても不思議ではありません。
で、2億円の相続税の税率は? 
そう、40%ですよね。
でも実際の税額は314万円。
約2億円(かもしれない)相続に対してかかる相続税の実効税率はわずか1.57%にすぎません!



こういう事実を目にしたら、私たちは自分の先入観をあらためなければなりません。
どうも相続税は「酷税」ではないようだ・・・・・、と。
(一度税金を払った財産に、また富の移動にすぎない相続で税金を取るのは「二重課税」だと私は思っていますが、相続税そのものはかなり考えてつくられていると感じます)



相続税に絡んでは3つの数字が出てきます。
「相続税がかかる財産」
「正味の遺産総額」
それに「課税遺産総額」。
この用語の意味を解説するつもりで書いていた記事が、ついつい長くなりました。



この記事を書くためにあらためていろいろ計算してみました。
その結果が、自分でも意外な点を再発見しました。
いま世の中にさまざまな「相続対策」の本が出回り、セミナーも行われています。
私も「対策」を叫ぶひとりなのですが、10億、100億の資産家ならいざ知らず、
3億円程度の財産なら、法に則ったオーソドックスな対策で「相続税」は乗り切れると思います。



ひどい目に遭っている人は、「相続税が高い」と思い込み、必要以上の”対策”をしたために自分の首を絞めているのです。
「相続税対策」より、私たちは想いを理解しあい絆を取り戻す「相続対策」にこそ力を入れるべきではないでしょうか。




★「相続させない」という遺言書 らくらく文例9 怒りにかられて書かないで!
http://yuigonsouzoku.net/not-inheritance/




「お前には1円もやりたくない」
遺言では、法定相続人に財産をあげる場合、「相続させる」と書くのが定番です。
その逆が「相続させない」。



冒頭に書いたような気分であるとき、「相続させない」と書きたくなるかもしれませんね。
この遺言は有効でしょうか。



このように書いたからと言って、直ちに無効になるわけではないようです。しかし、実質的には意味がない。
遺言者に、法定相続人の「もらう」権利を完全はく奪する権利はありません。
第2順位までの法定相続人には「遺留分」が保障されていますから。





どんなにコブシを振り上げて「お前にはやらないぞ」と息巻いてみても、遺留分減殺請求されれば、遺言書によって遺産を得た相続人は対応しなければなりません。



ただ、こんな風に解説を書いているとむなしくなりますね。
《人間てバカだなぁ》と思います。
確かに遺産は、わずかな金、ささいな価値ではありません。
それをやるかやらないか、もらいたいかもらいたくないか、大きな問題で双方ともが熱くなるのは分かります。



しかし日本の相続でこういうやりとりが生じるのは、主に親子の間でです。親なのに、特定の子にはやりたくない。それほど怒りに凝り固まってしまっている。
子なのに親への尊敬や愛情がない。ないのに欲だけはある。だから「権利だ」と強弁する。



その結果、時にはこういう遺言書も日の目を見てしまう。
「遺言」がかわいそうです。
民法はさまざまな権利と義務を法定化してますが、根本にあるのは人間のバランス感覚への期待です。
数え切れないほどのバリエーションがある中で、すべてに正邪をつけることなんてできっこない。だから当事者双方の知恵、交渉、妥協や譲歩、折り合いに期待しているんです。



それを一刀両断、感情もあらわに「相続させない」と書くなんて。怒りをあの世にまで引きずっていく気なんですか⁉
遺言を書くときは落ち着いてください。
よーく考えたうえで、自分の感情のみを満足させるのではなく、遺る人が前を向いて歩けるように細心の心配りで、最良の判断をしてください。



せっかくの遺言なんですから。