NHK大河ドラマ「べらぼう」、めっちゃ面白い。大河ドラマのファンというだけでなく、江戸商人が大好きで、マーケティングを仕事にしている私にとって、毎週日曜日が来るのが待ち遠しくてたまりません。

なぜ、このブログを書いているのか、ご案内しましょう。

 

なぜ、書いているのか

大河ドラマに蔦屋重三郎が取り上げられると発表があった時から、始まるのが待ち遠しかった。絶対、江戸商人が関わる話のはずだと思い、江戸商人好きの私にとって期待しないはずがありません。

放送がスタート、あれあれ、おやおや、マーケティングのヒントがあちこちに登場するのではないではありませんか。どこに着目するかは人それぞれ。私は私なりに見つけたヒントを書き留めておこうと、ブログに書き始めました。

 

難しくしない

マーケティングのヒントを書くにあたり、自分でルールを決めました。

・話を難しくしない、簡潔に

・マーケティング入門編とし、ここからマーケティングに興味を深めてもらう

・たとえ、それが脚色されたものでもヒントになれば取り上げる

ドラマを観た後このブログを見ていただいたら、「そういうところに着眼すると、世の中のいろんなところにヒントを見つけられそう」と感じてもらえると嬉しいです。

そのためには、難しくしない。難しい話にすると「マーケティングって、やっぱり難しい」と思っていただきたくないからです。なぜなら、マーケティングって、目の前にある身近なものだからです。

 

江戸商人好き

もし、タイムマシンに乗ってどこでも行ってもいいよ、と言われたら江戸商人が活躍している時代に行きたい。と思っています。

江戸商人には、マーケティングの原点を見ることができます。P・ドラッカー先生の著書にも書かれていますね。きっと江戸時代の商いの街を歩けば、あちこちにマーケティングの原型を見つけ楽しいだろうなぁと思います。私は、それを大河ドラマで擬似的に体験しているのかもしれません。

私が会ってみたい江戸商人と蔦屋重三郎は同じ時代に生きていませんが、それでもその時代の商いを描くドラマに、たくさんの商売のヒントを見つけられると思います。

ドラマの中の蔦重の成長を追いかけながら、ブログではマーケティングのヒントをたくさん見つけてご案内していきます。

 

このブログは「発見」がテーマです。ドラマだけでなく、身の回りにはたくさんのマーケティングのヒントに溢れています。どこに着眼しヒントを得ることができるか、その一例として”大河ドラマ「べらぼう」de学ぶマーケティング入門”を書いています。

これからも、たくさんの「発見」を書いていきます。

 

第十三話「お江戸揺るがす座頭金」、今回も瞬きもできません、ドラマに釘付けでした。
この時代のお金事情が見えた回でしたが、このブログのテーマは「マーケティグ入門」ですので、そこには触れずここに私は着目しました。蔦重と朋誠堂喜三二が、次の本のアイデアを話し合っていました。自分達のアイデアで売る「プロダクトアウト」発想です。
このブログは、ドラマからマーケティングのヒントを探しご案内しています。以下、一部ネタバレを含みます。

 

成長期後半

長く続いた江戸時代、蔦重が生きていた時代の経済は成熟期と思われます。江戸は人口100万人を超える巨大都市に成長し、流通・貨幣経済・商業資本も発達、町人の購買力も高まり「消費される娯楽・情報」への需要が拡大していた時代のようです。

蔦重も商いとしていた出版業は、学問のためのものだけでなく、町人が楽しむコンテンツ(戯作・浮世絵・洒落本)が主力になり、トレンド産業だったようです。
出版産業としては成長期、常にアイデアがヒットにつながるというだけではなく、創意工夫と顧客視点を兼ね備えたものが求められた成長期後半ではないかと考えます。

 

アイデアで売る

成長期後半で、市場の受け入れがありますから、比較的アイデアで売りやす時代だったのではないかと推測します。

ドラマでは、蔦重と朋誠堂喜三二が、次の本のアイデアを話し合っていましたね、「企画会議」とも言えるでしょうか。人々がそのアイデアに飢えているのであれば、ヒットする可能性はあるのではないでしょうか。

この、アイデア等から商品を生み出し、世に出すのを「プロダクトアウト」と言います。昭和の戦後の時代は、経済の発展とともに次から次へとプロダクトアウトで新商品が生み出され、作れば売れるのような「成長期」を経験しています。
蔦重も、この時代が成長期であれば、いろんな出版にチャンレンジしやすかったのではないでしょうか。商才を磨いていた時代だと思います。

このように、時代を読むこと、全体の経済だけでなく、自分のご商売がどのステージなのかを読むことも重要です。

 

 

誰のための商品か

蔦重は平賀源内を訪ねます。エレキテルは売れているようで、人を雇いせっせと作っていましたね。悩む蔦重に平賀源内は「本は世の人にツキを与えられる。本によって笑わせたり泣かせたり、ツキを与えられる商品」、商品は顧客のためにあるものである、と。是非とも、「ツキを与えられる本」を素晴らしいアイデアで出していただきたいですね。

 

さて、次回予告を見ると、来週はいろいろと物語に変化が起きるようです。益々目が離せませんね。

 

 

 

(補足)

成長期の他に、導入期、成熟期、安定期、衰退期があります。

江戸時代の経済・商業文化を整理すると、

ステージ 時期 概要
導入期 1600年代前半(江戸初期) 家康による江戸幕府成立後、流通整備、城下町の形成、商人の出現が始まる
成長期 1600年代後半〜1700年代前半(江戸中期初頭) 五街道・河川流通整備、三井高利の登場、呉服・金融・出版など商業が急拡大
成熟期 1700年代中盤〜後半(田沼意次の時代を含む) 城下町経済・町人文化が成熟し、商人が町の文化と経済を牽引。出版・浮世絵・見世物など娯楽も花開く
安定期(停滞含む) 1800年前後(重三郎晩年〜没後) 市場は広がるが、飽和気味。物価上昇、規制強化、質素倹約令なども重なる
衰退期(幕末) 1800年代後半 開国、外圧、幕府の弱体化とともに、江戸商人モデルが変容し明治へ(明治時代の経済の導入期)

(※生成AIを活用して作成)

蔦重が生きた時代は、1750〜1797年と言われています。
その時代、出版業としては、成長期後半から成熟期に当たるようです。

 

 

過去の記事もご覧ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第十二話「俄なる『明月余情』」、今回も面白かった。

吉原で祭りを、と話が始まります。大文字屋と若木屋の対決となりましたが、どうなっていくことか。また、今回蔦重はどんな商いをするのか。

このブログは、ドラマからマーケティングのヒントを探しご案内しています。以下、一部ネタバレを含みます。

 

祭りで人が集まる

「祭り」といえば神社の例大祭もあれば、現代で言う「イベント」もあります。物語に出てくる「俄(にわか)」とは、簡単にいえばアマチュア芸のようなもので、庶民の楽しみの場であったようです。
この賑やかさを作れば、吉原に人は集まる。そこで西村屋は若木屋の案のもと錦絵「青楼俄狂言」を売り出そうとします。
一方蔦重は番付に手をつけているものの、俄は始まってしまいます。しかし、ちゃんと考えていましたね。
西村屋の錦絵は俄の客引きになっている。自分が取り組むのは、祭りに来た客に耕書堂を覚えてもらえるものを作ると。
 

人が集まるところに商機あり

祭りでは、大文字屋と若木屋の対決に沸いていました。そんな賑やかな吉原の中に、蔦重と北尾重政と勝川春章の姿が。
蔦重は二人にアイデアを話し、そこに朋誠堂喜三二の姿も。出来上がったのは祭りの様子をまとめた本「明月余情」、祭りに来た人々が土産にと買っていき飛ぶように売れていました。西村屋、悔しがっていましたね。
蔦重の目論見通り、耕書堂の名は売れていったと思いますが、このブログでのポイントはここにあります。
人が集まるところには、ビジネスチャンスがあると言うことです。昔から大きなお寺や神社の参道には店が並び、そこで商いをしています。お参りに来る人々を目当ての商いです。現代では、観光地となっているお寺や神社へは団体客を乗せた大型バスが専用駐車場に入れるので、なかなか商売は難しくなりましたが、元々は参道に商いをするお店が並んでいました。
イベントにキッチンカーを出す、と言うのも人が集まるところでの商い、ということですよね。
賑やかな祭りの中に、大文字屋と若木屋の踊りの笠を持っている人たちがたくさんいましたが、これも祭で販売していたのでしょうか。
蔦重の本も笠も、祭りの体験価値を高めるアイテム、祭りに来た人をターゲットにした「売れる商品」を見事につくっています。

クリエイティブパートナー

もう一つ注目したいのが、朋誠堂喜三二。尾美としのりさんが演じていて、ようやく本格的な出番となりました。
朋誠堂喜三二は戯号、いまで言うペンネームやビジネスネームです。本名は平沢常富、秋田藩の留守居役です。蔦重は一緒に青本を作る話を進めていましたが叶わず、しかし「明月余情」をきっかけに、今後一緒に本を作ってくようです。
現代でいえば、プロデューサーが新たなクリエーターと組むこと。蔦重は、先の北尾重政や勝川春章といったクリエーターにも仕事を依頼しています。様々なクリータートの関係づくりは、プロデューサーにとって大変重要です。
蔦重は今後、喜多川歌麿や葛飾北斎、東洲斎写楽といったクリエーターと出会っていくことになりますが、ドラマの中での展開も楽しみですね。
 
次回、再び鱗形屋に何か起こるようです。どんな展開になるのでしょうか。

 

過去の記事もご覧ください。
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第十一話「富本、仁義の馬面」、いつも期待を裏切りません、面白かった。

『青楼美人』に青ざめた西村屋に、「これは売れませんよ」と言った鶴屋。それは一体・・・。

このブログは、ドラマからマーケティングのヒントを探しご案内しています。以下、一部ネタバレを含みます。

 

売れるはずが・・・

売れると思ったのに・・・売れない、ということは往々にしてあります。なぜ、売れないのでしょうか。

耕書堂の『青楼美人』には、瀬川の最後の絵姿があり、吉原の女郎たちの普段見られない日常が描かれています。上様にも献上し、上様も見たかもしれない。

商品のデザインもいいと思うし、販促も色々やった、新聞にも取り上げてもらった、でも売れない、ということはあります。がんばったのに、なぜ売れないのでしょうか?

誰のための商品?

耕書堂の『青楼美人』は、なぜ売れないのでしょうか? 市中の本屋が取り扱わなくなったから? それも一因かもしれませんが、須原屋でも販売しています。西村も「これは新しい」と言って焦っていましたね。
ところが、耕書堂で本を手に取った客は結局買いませんでした。唯一、「これめっちゃおもしろい」と蔦重に語る客がいましたね。つまり、一部の人にはストライクだったという商品だったということです。商圏がこの時代よりも広くネット販売もでき、ニーズが細分化された令和の時代ならヒットしたかもしれません。
さて、蔦重が作った『青楼美人』、一体誰のための本だったのでしょうか?
この本は『雛形若菜』に勝る吉原絵本(錦絵)を瀬川の道中に合わせて売ると投げかけられたのがきっかけ、蔦重も最初は乗り気ではありませんでした。つまり、『青楼美人』は自己都合のために作った本だと捉えることができます。
誰のために作った商品か、ここ、とても重要です。

つまり、売れる商品とは

「いいものを作れば売れる!」と意気込んで作った商品が売れない、という話を聞いたことがあるのは一つや二つではありません。
「いいものを作れば売れる」という顧客不在で作った商品は売れるのでしょうか?
一方売れた吉原再見は、吉原で楽しみたい人のために作った商品。これはマーケットインの考え方です。
つまり、「ニーズ」に応えた商品です。
鶴屋の旦那、「これは売れません」と言いました。更に、「私たちはハッとしますが、世の中の人はどうでしょう?」と。
「世の中の人はどうでしょう?」この言葉に尽きます。
 
さて、余談ですが、尾美としのりさん、いつもクレジットに出てくるけど見つからなかったけど、先週ようやく見つかりました。今回も『青楼美人』をベタ褒めしていましたね。
私の大好きな俳優さんの一人ですが、ちょい役なわけがない、これからの登場が楽しみです。
 
2025.3.24 追記
なぜ売れないのか、蔦重が作った『青楼美人』ドラマでは一部の人には刺さっていましたが、思うように売れませんでした。
鶴屋の旦那がいう「世の中の人はどうでしょう?」とは、「市場(顧客)に向けて作った本なのか」という意味だと思います。単に自己満足の商品になっていないか、そんな意味に感じました。
「売れる」とは、お客様が「買う」ことによって成り立ちます。お客様が「買う」商品を作ると言うのがマーケティングの考え方です。
ただ、ドラマでも一部の人には刺さっていたと言うことは、これはこれでニッチではありますがターゲットにマッチした商品ではありました。ただ、市場規模が小さかった。
売れる商品をねらうには、顧客に向き合うことが重要です。今後、そんなシーンも描かれるのではないでしょうか。
 
過去の記事もご覧ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第十話「『青楼美人』の見る夢は」、今回も面白かったですね。

吉原の旦那衆から『雛形若菜』に勝る吉原絵本(錦絵)を瀬川の道中に合わせて売ると投げかけられ、自分たち都合の儲け話にしっくりこない蔦重、落籍する瀬川に何かしてやりたいと考えていました。

このブログは、ドラマからマーケティングのヒントを探しご案内しています。以下、一部ネタバレを含みます。

 

トレンド調査

須原屋の旦那と平賀源内を待つ蔦重、街中を散策していました。暇つぶしのように見えますが(実際そうだったかもしれませんが)、しっかりトレンド調査していました。

人気の絵師、勝川新章に着眼。また、役者絵の役者姿に疑問を持ち、役者していない時の役者を描いてもいいのでは?と疑問を持ちます。ここ、大事なところだと思います。

推しの人の、いつも見る姿はいろんなところで見られるわけで、普段見られない姿を見られるというのは魅力的だと思いませんか? 映画も、見終わった後はメイキング映像も楽しいものです。

権威付け(アソシエーション)

須原屋の旦那と平賀源内とランチをしながら悩みを聞いてもらっていた蔦重、紆余曲折あって平賀源内の一言から、吉原の錦絵を上様に献上する、というアイデアを思いつきます。

吉原の旦那衆にその話を持ちかけ、噂だけでもいい、上様に届いているという話から客筋もよくなるのでないかと合意を得、資金を調達します。

当店の〇〇は、△△ホテルでも使われています。これまで累計10,000人の方にご愛用いただいています。といったコピーを目にすることがあります。マーケティングにおいて、これらの表現は 「権威付け(アソシエーション)」 または 「社会的証明(ソーシャルプルーフ)」 と呼ばれます。いずれも、消費者の信頼感を高め、購買意欲を刺激するために使われます。

ただし、行きすぎる表現は景品表示法に触れる可能性があります。ドラマのように、噂だけでもいい、というのはNGですからリーガルチェックをお忘れなく。
かくして出来上がった『青楼美人』は、田沼意次を通して上様に献上されます。

イベント・プロモーション

瀬川の最後の道中の日、最も人が集まり注目度も高まるこのタイミングで『青楼美人』を紹介します。そして、上様に献上し、見たかもしれないとアピール!

また、『青楼美人』には、瀬川の最後の絵姿があり、吉原の女郎たちの普段見られない、日常が描かれています。売れる要素を含んだ吉原絵本を、最も注目されるタイミングで売る。イベント・プロモーションの大事なポイントですね。須原屋でも飛ぶように売れていましたね。瀬川も自分の絵姿に驚き、楽しい思い出ばかりが思い出せそうだと喜んでいました。

新商品、新発売といった導入機の商品は、まず認知活動が重要です。その活動にはイベントがオススメ。試食とか、体験といったイベントも、イベント・プロモーションの一環です。

 

さて、『青楼美人』に青ざめた西村屋に、「これは売れませんよ」と言った鶴屋。それは一体・・・。次回が楽しみですね。