第十三話「お江戸揺るがす座頭金」、今回も瞬きもできません、ドラマに釘付けでした。
この時代のお金事情が見えた回でしたが、このブログのテーマは「マーケティグ入門」ですので、そこには触れずここに私は着目しました。蔦重と朋誠堂喜三二が、次の本のアイデアを話し合っていました。自分達のアイデアで売る「プロダクトアウト」発想です。
このブログは、ドラマからマーケティングのヒントを探しご案内しています。以下、一部ネタバレを含みます。

 

成長期後半

長く続いた江戸時代、蔦重が生きていた時代の経済は成熟期と思われます。江戸は人口100万人を超える巨大都市に成長し、流通・貨幣経済・商業資本も発達、町人の購買力も高まり「消費される娯楽・情報」への需要が拡大していた時代のようです。

蔦重も商いとしていた出版業は、学問のためのものだけでなく、町人が楽しむコンテンツ(戯作・浮世絵・洒落本)が主力になり、トレンド産業だったようです。
出版産業としては成長期、常にアイデアがヒットにつながるというだけではなく、創意工夫と顧客視点を兼ね備えたものが求められた成長期後半ではないかと考えます。

 

アイデアで売る

成長期後半で、市場の受け入れがありますから、比較的アイデアで売りやす時代だったのではないかと推測します。

ドラマでは、蔦重と朋誠堂喜三二が、次の本のアイデアを話し合っていましたね、「企画会議」とも言えるでしょうか。人々がそのアイデアに飢えているのであれば、ヒットする可能性はあるのではないでしょうか。

この、アイデア等から商品を生み出し、世に出すのを「プロダクトアウト」と言います。昭和の戦後の時代は、経済の発展とともに次から次へとプロダクトアウトで新商品が生み出され、作れば売れるのような「成長期」を経験しています。
蔦重も、この時代が成長期であれば、いろんな出版にチャンレンジしやすかったのではないでしょうか。商才を磨いていた時代だと思います。

このように、時代を読むこと、全体の経済だけでなく、自分のご商売がどのステージなのかを読むことも重要です。

 

 

誰のための商品か

蔦重は平賀源内を訪ねます。エレキテルは売れているようで、人を雇いせっせと作っていましたね。悩む蔦重に平賀源内は「本は世の人にツキを与えられる。本によって笑わせたり泣かせたり、ツキを与えられる商品」、商品は顧客のためにあるものである、と。是非とも、「ツキを与えられる本」を素晴らしいアイデアで出していただきたいですね。

 

さて、次回予告を見ると、来週はいろいろと物語に変化が起きるようです。益々目が離せませんね。

 

 

 

(補足)

成長期の他に、導入期、成熟期、安定期、衰退期があります。

江戸時代の経済・商業文化を整理すると、

ステージ 時期 概要
導入期 1600年代前半(江戸初期) 家康による江戸幕府成立後、流通整備、城下町の形成、商人の出現が始まる
成長期 1600年代後半〜1700年代前半(江戸中期初頭) 五街道・河川流通整備、三井高利の登場、呉服・金融・出版など商業が急拡大
成熟期 1700年代中盤〜後半(田沼意次の時代を含む) 城下町経済・町人文化が成熟し、商人が町の文化と経済を牽引。出版・浮世絵・見世物など娯楽も花開く
安定期(停滞含む) 1800年前後(重三郎晩年〜没後) 市場は広がるが、飽和気味。物価上昇、規制強化、質素倹約令なども重なる
衰退期(幕末) 1800年代後半 開国、外圧、幕府の弱体化とともに、江戸商人モデルが変容し明治へ(明治時代の経済の導入期)

(※生成AIを活用して作成)

蔦重が生きた時代は、1750〜1797年と言われています。
その時代、出版業としては、成長期後半から成熟期に当たるようです。

 

 

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