第三十五話「間違凧文武二道」。「人ってなぁ、思いがけないようにとるもんだねぇ」。
このブログは、ドラマからマーケティングのヒントを探しご案内しています。以下、一部ネタバレを含みます。

 

大ヒット!

定信の政を皮肉った『文武二道万石通』は大売れ! 店には一丁先まで並んでいるって、一丁は100m程だそうです。すごい行列ですね。

売れすぎて製品が間に合わず、製本前のものまで店の者に渡していましたね。正に「大ヒット!」。

「飛ぶように売れる」というのも私も何度か経験していますが、それは凄いものです。特に現代ではすぐにネットで検索され、この江戸の市中どころではなく、全国規模で注文が一気に入ってきます。お客様はすぐにでも手に入れたいのですから、商品供給が重要です。

前もってヒットがわかればいいんですけどね。

 

ブームに乗る

しかし、蔦重の狙いとは異なり、定信はこの黄表紙に喜んでいました。また「文武二道」、文でも武でもない「ぬらくら武士」とならぬよう、文武だ文武だと騒いでいるにわか仕込みの新参者まで出てしまう。「文武ブーム」が起きていました。

売れ行きは弓や論語にまで広がり、一つのブームが関連商品まで影響を与えていました。これをチャンスと捉えれば、店頭在庫を増やし、取り扱っていることをPRするというのも戦略です。

また、ブームが起きると、そのブームにあやかろうと新規参入者も出てきます。ブームは一気に市場を拡大しますが、定着するか、いつまで続くか、先読みしながら進める必要があります。

 

入門者ビジネス

文武の新参者もマーケットになるはずです。要はそれをきっかけに興味を持った入門者です。誰だって最初は入門者、入門者に向けた「エントリーモデル」や、教室ビジネス、発表の場などのイベントなどが考えられますね。

ブームの影にこのようなビジネスチャンスも隠れています。

 

さて、物語は『鸚鵡返文武二道』の出版へ、どうなる蔦重!

 

 

過去の記事もご覧ください。(下記のカテゴリーにまとめてあります。)

 

 

第三十四話「ありがた山とかたじけ茄子」。世の中が大きく変わりつつあります、どうする蔦重!
このブログは、ドラマからマーケティングのヒントを探しご案内しています。以下、一部ネタバレを含みます。

 

定信の情報戦略

取り壊しが治り、田沼意次が老中に復帰すると思いきや、松平定信が老中首座に。定信は読売をうまく使い、庶民の心を掴んでいました。読売は最新情報の発信者、今でいうインフルエンサー的立場とも言えるのではないでしょうか。

敵を作り上げ、自分の人気を高めるとはとてもズルいやり方だと納得いかず、蔦重は策を練ります。

 

インフルエンサーとは

インフルエンサーとは、SNSなどで情報発信から人々の考え方や行動に影響を与える人のこと。インフルエンサーがきっかけでブームになったものありますね。

誰もが情報発信できる時代、フォロワーが多かったり、拡散力のある情報だったりすると、火付け役となることがあります。

この影響力を利用し、情報で人々を動かそうとするのが情報戦略です。

 

蔦重の情報戦略

南畝の話からも益々納得がいかない蔦重、黄表紙と狂歌集を企画します。小売であり出版元でもある耕書堂ですから、自社のメディアを使って情報を流すことも可能なわけです。店を守ることを訴えていたていも心を動かされましたが、この策の行方は果たして・・・。

 

正しい情報戦略

史実はどうかわかりませんが、この蔦重や定信の情報戦略はドラマでのお話、ここで学ぶべきは「正しい情報戦略」だと思います。使い方次第では人を傷づけてしまいかねません。

当然、嘘の情報は流してはいけませんし、大袈裟に誇張してもいけません。また、故意に相手に不利になるような情報戦略は絶対にやってはいけません。これは噂も同じことです。

マスメディアを使った広い認知活動や、SNSを使った顧客や見込み客との関係構築、その中でより拡散力の高い手段を使って情報発信を行うこと。時には、インフルエンサーの力を借りる場合もありますが、それには常日頃の情報発信のベースがあってのことだと思います。

インターネットで誰もが簡単に情報発信できてしまう現代、正しい使い方こそが商売繁盛につながると思います。

 

 

過去の記事もご覧ください。(下記のカテゴリーにまとめてあります。)

 

 

第三十三話「打壊演太女功徳」。打ち壊しって、本当に壊すんですね。
このブログは、ドラマからマーケティングのヒントを探しご案内しています。以下、一部ネタバレを含みます。

 

打ち壊し

とうとう江戸でも打ち壊しが広がっていきました。何とか食い止めようと、蔦重は田沼に提案をします。米が無いなら、お金を配れば? 今で言う給付金でしょうか。

それを知らせるには読売? いえ、打ち壊しの最中に耳を傾けるものがいるだろうか・・・。

蔦重が何やら準備しているところにやってきたのは次郎兵衛と富本斎宮大夫。そして、市中では打ち壊しの中、何やら聞こえてきました。

 

宣伝カーで注目させる

以前東京出張での出来事、渋谷の街を歩いていると何やら音楽が聞こえてきました。音が鳴る方に視線を向けると、大きなトラックを使った宣伝カー。蔦重の仕掛けを見て、それを思い出しました。

取り壊しの騒ぎの中ですから、いつものような読売では声が届かないでしょう。現代でもただでさえ、身の回りではいろんな音が鳴っていますから、音から入るのは得策でしょう。

 

五感に訴える

お昼時にどこからかカレーの香りが漂ってくると、「今日はカレーにしようかな」と思ったことがある方も多いのではないでしょうか。カレーだけでなく、うなぎの香ばしい匂いや焼き鳥の香りにつられて、つい足が向いてしまうこともあるでしょう。また、夜の街に灯るネオンや赤提灯の明かりに心が惹かれることもあります。
このように、視覚だけでなく聴覚や嗅覚といった五感に訴えることで、人々の関心を引き、集客へとつなげることができます。これは、集客のための最初の一歩として非常に効果的な方法です。
 
 

 

第三十二話「新之助の義」。米騒動はなかなか収まりません。
このブログは、ドラマからマーケティングのヒントを探しご案内しています。以下、一部ネタバレを含みます。

 

読売の手配

米騒動はなかなか治りません。大阪では打ちこわしが起き、駿河でも起きたというニュースが入り、江戸で起こるのも時間の問題と危惧されていました。

田沼の策でお救い米の手配が出来たと、三浦は蔦重に「読売」を急ぎ刷ってくれと飛び込んで来いました。

蔦重は早速通油町の旦那衆に掛け合い、実行に移します。

 

読売とは

読売とは、その字の如く「読み上げて売る」広報媒体で、今で例えるなら新聞の号外でしょうか。江戸時代、情報を伝えるには、掲示板や引札(チラシのようなもの)、そして読売が使われていたようです。

つまり、江戸時代の「読売」は、庶民向けに最新の出来事や商売情報を声で伝えながら配布する、チラシ兼ニュース速報のようなものでした。

現代であれば、電波や通信を使ったメディアがありますが、この時代では紙に刷ったものをばら撒くことで、可能な限り早く広く広めたのですね。

 

速報メディア

現代の商いなら、何を使うでしょうか。やはりSNSでしょうか。

このドラマのような緊急性は実際のビジネスの上ではあまり無いかもしれませんが、本日のお買い得品やタイムセールを公式LINEで配信したり、店頭の行列の様子をInstagramで配信したり、といった方法が考えられます。

順番待ちのお客様に、ショートメールでご案内するお店のありますね。Webメディアはすぐ配信できて便利です。

ペーパーメディアだって活躍します。臨時休業のご案内は、店頭に張り紙しますね。併せてSNSを使えば対策としては万全とも言えます。

人に知らせることは商いで多々あることですが、その場に適したメディアを使って、より伝わる方法を選ぶことが重要ですね。

 

 

 

第三十一話「我が名は天」。切ない話で終わった第三十一話でした。
このブログは、ドラマからマーケティングのヒントを探しご案内しています。以下、一部ネタバレを含みます。

 

災害の影響

利根川の決壊で、街にも大雨や土砂の影響が。家を失ったものも多く、民を案ずる家治に、田沼は既にお救い小屋を設け施しを始めたと、また、それに連れて、米、水、油、材木、船賃の値上げを禁ずるおふれも出したと。

災害による被害は現代でもありますが、江戸時代、十分な人手や道具がない中、個人の復旧はより大変だったと察します。私自身も水害を経験していますが、復旧だけでなく、社会や経済に与える影響は想像を超えます。

 

復旧の後押し

味噌が配られているという話を聞き、新之助と蔦重は向かい、そこで出会った長谷川に「御公儀やお助け米はもう出せぬか」と問いますが既に出してしまっているのではないとのこと、「裕福な町方の助けが頼り」と言われます。

日本橋通油町の旦那衆に、助けは出せねえかと提案する蔦重ですが、今後ものの値上がりは避けられず、自分たちで精一杯だと話は進みません。

気持ちは皆さん持っているんでしょうけどね。

 

近江商人の家訓

ドラマを離れて、滋賀県の近江商人の話をご紹介します。近江八幡に行かれた方は、旧西川家住宅にも立ち寄られたことがあるかと思います。私も随分前に行ったことがあります。
中に入ると、「先義後利栄」「好富施其徳」と書かれた掛け軸がかかっています。これは、西川家の家訓で、「義を先にし、利を後にすれば栄え、富を好とし、その徳を施せ」と、そこでガイドの方から説明を受けました。「その徳を施せ」とは、社会への還元です。近江商人は、寺社仏閣、道路や橋、学校など、様々な形で得た利から社会貢献したということも聞きました。

「三方よし」というのは、後世この教えから生まれた言葉だそうです。

 

浅間山の噴火から米不足、利根川の氾濫と災害が続き、江戸の街は益々混乱して行くようです。この後、物語はどうななって行くのでしょうか。