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病棟薬剤師&DIやん

医療従事者の方々向けに書いています。非医療従事者の方々はここに書いてある情報を鵜呑みにせず、必ずかかりつけ医・薬剤師等にご相談ください。

久しぶりに↓を読み返しました。

 

アナフィラキシー・ショックの患者にグルカゴンを投与するシーンがあったので、

過去にブログでまとめた記事を紹介します↓

 

アンサングシンデレラの症例では、メインテートを服用していましたが、

メインテート(ビソプロロール)はβ1選択性であり、

β2受容体を遮断しないため、

肥満細胞からの顆粒放出を抑制できるはずです。

 

しかし、ビソプロロール服用患者の

アナフィラキシーショック治療に難渋し、

グルカゴン投与で救命できたとする症例報告もあります。

https://hospital.city.sendai.jp/pdf/p062-065%2035.pdf

 

メインテートの添付文書↓にも、

 

副作用として、気管支痙れんが記載されており、

全くβ2受容体遮断作用がない、ということはなさそうです。

 

昨日の続きです。

デエビゴ錠の「適正使用ガイド」(↓)によると、

 

CYP3Aの中程度の阻害剤とは、

相互作用を受けやすい基質薬の AUC を 2 倍以上 5 倍未満に増加させる薬剤

のことで、

● アプレピタント
● シプロフロキサシン
● クリゾチニブ
● シクロスポリン
● ジルチアゼム
● エリスロマイシン
● フルコナゾール
● フルボキサミン
● イマチニブ
● トフィソパム
● ベラパミル

が挙げられています。

 

このため、例えば、

昨日紹介した「CYP3Aの強い阻害薬」+上記の「CYP3Aの中等度阻害薬」と

デエビゴを併用する際は、

デエビゴを2.5mgに減量する必要があります。

 

(↓添付文書の記載)

CYP3Aを阻害する薬剤との併用により、

レンボレキサントの血漿中濃度が上昇し、

傾眠等の副作用が増強されるおそれがある。

CYP3Aを中程度又は強力に阻害する薬剤

(フルコナゾール、エリスロマイシン、ベラパミル、イトラコナゾール、クラリスロマイシン等)

との併用は、

患者の状態を慎重に観察した上で、

本剤投与の可否を判断すること。

なお、併用する場合は1日1回2.5mgとすること。

 

オレキシン受容体拮抗薬(ORA)の

スボレキサント(ベルソムラ)は、

次の薬剤が併用禁忌になっています。

 

**CYP3Aを強く阻害する薬剤(イトラコナゾール、ポサコナゾール、ボリコナゾール、クラリスロマイシン、リトナビル、ネルフィナビル)

を投与中の患者〔「相互作用」の項参照〕

 

もう一つのORAである、レンボレキサント(デエビゴ)には、

併用禁忌薬はなく、次の薬剤が併用注意となっています。

 

CYP3Aを阻害する薬剤
 イトラコナゾール
 クラリスロマイシン
 エリスロマイシン
 フルコナゾール
 ベラパミル

 

ベルソムラの添付文書には対象薬剤がはっきりと書いてありますが、

デエビゴのそれは、「等」と少しぼかした書き方です。

 

しかし、デエビゴの「適正使用ガイド」(↓)を見ると、詳細が書いてありました。

 

ガイドでは、あくまで「参考」とされていますが、

 

例えば、「強い阻害剤」とは、

相互作用を受けやすい基質薬の AUC を 5 倍以上に増加させる薬剤

という定義らしく、

 

● コビシスタット
● エルビテグラビルc)
● グレープフルーツジュース
● イトラコナゾール
● ケトコナゾール
● ロピナビルc)
● ポサコナゾール
● リトナビル
● ボリコナゾール
● クラリスロマイシン

 

が挙げられています。

 

ソースは、↓の表3-2らしいです。

 

ファイザーのコロナ治療薬、パキロビッドパック↓

 

併用禁忌薬が多いことは昨日書きましたが、

初診が多い新型コロナ外来では、

併用禁忌薬よりも、↓が処方の障害となっています。

 

(添付文書より抜粋)

7. 用法及び用量に関連する注意
7.1 (略)

7.2 中等度の腎機能障害患者(eGFR[推算糸球体ろ過量]30mL/min以上60mL/min未満)には、

ニルマトレルビルとして1回150mg及びリトナビルとして1回100mgを同時に1日2回、5日間経口投与すること。

重度の腎機能障害患者(eGFR 30mL/min未満)への投与は推奨しない

 

新型コロナ患者を血液検査して、

結果が出るまで40分程度お待ち頂くのは、

現実的ではありません。

 

その意味では、ラゲブリオのほうが、処方しやすい薬です。

ファイザーのコロナ治療薬、パキロビッドパック↓

 

併用禁忌薬が多いですが、

パキロビッドパック服用中は、

これらの併用禁忌薬を中止すれば、

特に問題ないように思えます。

 

↑のリンクの添付文書によると、

代謝阻害薬である

リトナビルの半減期は6.15±2.24hr。

 

血中濃度推移のグラフを見ても、

投与24時間後には、Cmaxの1/6程度

投与48時間後には、ほぼ消失しています。

 

 

 

一昨日、昨日と、エルカルチンの紹介をしてきましたが、

ついに、後発品がでるようです↓

 

サムスカやフェブリクほどの注目度は無いかも知れませんが、

何社くらい、出してくるでしょうか?

 

とりあえず、「トーワ」と「フソー」からは、

製品を紹介したい、との話を頂いています。

 

 

昨日の続きです。

 

↓の本には、

 

[透析後]レボカルニチン(エルカルチン@FF静注1,000mg),
1回1本,週1回・静脈注射
という処方例が紹介されています。

また、保険情報も記載されており、
カルニチン欠乏症の診断補助もしくは経過観察のために, 

6カ月に1回を限度としてカルニチン分画

保険診療で測定できる

ということです。

 

透析患者へのカルニチン投与に関する論文が4つほど紹介されており、

理解が深まります。

その一つは1978年のLancet誌の論文です。

透析患者のカルニチン欠乏は、古くから知られているようです。

カルニチン製剤の添付文書はこちら↓

 

効能は、カルニチン欠乏症

 

用法用量は、

血液透析に伴うカルニチン欠乏症に対しては、

通常、レボカルニチンとして体重1kgあたり10~20mgを透析終了時に、

透析回路静脈側に注入(静注)する。なお、患者の状態に応じて適宜増減する。

となっています。

 

まあ、1000mg1本投与することが多いです。(稀に2本)

投与間隔も週1回未満から週3回以上まで様々。

 

添付文書の臨床成績の項には、

 

血清中尿素窒素(SUN)、クレアチニン及び無機リン値の減少

透析中の筋肉痙攣及び低血圧の発現率の減少

身体持久力等の臨床症状の改善

血漿中カルニチン濃度が上昇

倦怠感の改善

ヘモグロビン値及びヘマトクリット値の上昇

ヒトエリスロポエチン投与量は減少

 

という様々な効果が書かれています。

 

マルチな薬剤というか、

それだけカルニチンという物質は生体内で重要な働きをしている、

ということですね。

 

2021年12月の記事(↓)で

 

日本医療機能評価機構の医療安全情報を紹介しましたが、

の則った、HBs 抗原、HBc 抗体および HBs 抗体の測定は、
COVID-19患者入院の際にも重要になっています。
 
特に中等症Ⅱ~重症になりうる症例では、
に載っているステロイドや抗リウマチ薬を使用する機会が多いからです。