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病棟薬剤師&DIやん

医療従事者の方々向けに書いています。非医療従事者の方々はここに書いてある情報を鵜呑みにせず、必ずかかりつけ医・薬剤師等にご相談ください。

↓ 承認されました

 

ファイザーが今回創製したニルマトレルビルと、

リトナビルの合剤で、

 

リトナビルはSARS-CoV-2に対する抗ウイルス活性を示さないが、

ニルマトレルビルの代謝を阻害し、ニルマトレルビルの血漿中濃度を維持する、

いわゆるブースターです。

 

添付文書↓を見ていると

https://www.covid19oralrx-hcp.jp/files/%E6%B7%BB%E4%BB%98%E6%96%87%E6%9B%B8_672212_62501B5X1020_1_01.pdf


リトナビルの錠剤は、ノービア錠と全く同じに見えます。

(↓ノービア添付文書)

https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/6250011F1024_2_14/

 

抗HIV治療薬であるノービア錠は、

1日用量が1,200mgですが、

 

今回のパキロビッドに含まれているリトナビルは、

1日あたり200mgになっています。

 

ちなみにカレトラ配合錠に含まれている

(ブースターとしての)リトナビルは

100~200mg/日、

 

ヴィキラックス配合錠に含まれているそれは、

100mg/日です。

 

 

 

昨日は、サクビトリルバルサルタンが血糖コントロールに好影響を与える可能性について

紹介しましたが、

その影響機序の一つとして↓を紹介します。

 

GLP-1及びGLP-1受容体アナログは、

DPP-4阻害薬のみならず、ネプリライシンでも分解される
 

また、ネプリライシンを阻害することによって、

GLP-1受容体アナログが増強し、心拍数増加、心筋cAMP増加につながる。

 

また、GLP-1はアミロイドによる神経炎症、細胞毒性を阻害するので、

ネプリライシンにより、記憶形成・実行機能が改善する可能性もあるとか。

 

これが本当なら、

まさに夢のような薬です。

↓ サクビトリルバルサルタンが血糖コントロールに与える影響についての論文

 

研究結果をまとめると↓

P:HFrEF
I:サクビトリルバルサルタン(S/V)
C:エナラプリル(E)
O:
1年後のHbA1cの低下は、S/V群:-0.16% VS E群:-0.26%

(差0.13% 95%CI:0.05~0.22、P=0.0023)
インスリンの開始もS/V群が29%低い
経口DM薬の開始も少ない


この結果に対する考察として、
ナトリウム利尿ペプチドがインスリン感受性と代謝に影響している
ネプリライシンは脂肪細胞からの脂質代謝を促進する
としています。

 

実際に、BNP投与後はBSが下がるらしい。。

 

 

そのルーツと思われる論文です↓

 

要約すると、

心不全死亡、心不全入院及び症状の持続的かつ大幅な減少からベネフィットを得るために、

HFrEF患者は4剤(ARNI, Beta-blocker, MRA, SGLT2i)を組み合わせて

早期に治療すべきであると示唆される
という内容。

 

この文献中のFig1↓

https://academic.oup.com/view-large/figure/227827989/ehaa1012f1.tif

 

はあまりにも有名で、

最近、様々な講演会・研修会で見かけます。

 

昨日に引き続き、サクビトリルバルサルタンの論文↓

 

タイトルを翻訳すると、

サクビトリルバルサルタンが腎機能に及ぼす影響
無作為化比較対照試験のシステマティックレビューとメタアナリシス


【内容】
腎アウトカムを解析している10試験のメタ解析
(N-16456、平均年齢57.6~72.7歳)

【結果】
S/VはRAS阻害薬と比べて、

腎機能低下リスクが低かった
OR=0.70(0.57~0.85) P<0.001

 

左室駆出率の保たれた心不全における、

アンジオテンシン・ネプリライシン阻害薬の

腎機能に与える影響

↓の論文の紹介

 

PARAGON-HF試験のサブ解析です。

P:左室駆出率が保たれているHFpEF患者
I:サクビトリル・バルサルタン
C:バルサルタン
O:(Sac/Val群 VS Sac群)

腎複合アウトカム(eGFR50%以上の低下、末期腎不全の発症、腎疾患による死亡)
1.4% VS 2.7%、HR比0.50、p=0.001
eGFRが50%以上低下した患者の割合
1.1% VS 2.5% HR;0.44 95%CI:0.28-0.69
末期腎不全の発症率
0.3% VS 0.5%
HR:0.58 95%CI:0.23-1.47
治療期間中のeGFR平均低下量はSac/Val群の方が小さかった
-2.0 VS -2.7 (mL/min/1.73m2/year)
 

サクビトリルは腎保護的であることがわかります。

昨日の続きです。

 

↓ 2021年1月の記事

 

↑の記事で言及したARSIは、

アビラテロン酢酸エステルと異なり、

ステロイドの併用が不要です

 

かつ、イクスタンジ・アーリーダについては、

食事に左右されない投与が可能

 

かなり利便性が向上しています。

 

適応と重要な基本的注意については、

各薬剤で少し異なるので注意が必要です。

 

↓ 2020年10月の記事。

 

↑の記事と同じような疑義照会事例を見つけました↓

http://fukuokashi-yakkyoku.info/wp-content/uploads/2015/12/126c2a4dd365484f74ab5e3357ef56f81.pdf

(福岡市薬剤師会薬局)

 

この中の、

アンドロゲン合成経路における

イティガの作用機序、および副作用機序

という図がわかりやすかったです。

 

CYP17の阻害によって、

アルドステロンが上昇し、

コルチゾル及びテストステロンが減少する

ことが見える化されています。

 

↓ 症例編の2つ目が公開されていました。

 

今回は、HFpEFの症例で、

1つ目はARB/CCB配合剤+インダパミドにても

血圧コントロール不良例です。

 

・むくみがある症例にはなるべくCCBは使いたくない

・しかしCCBを外しての血圧コントロールは難しい

・そこでARNIを検討

 

といった内容です。

 

あと、

・MRAの投与

・ループ利尿薬の投与

・貧血の治療

も。

 

非常に参考になりました。

 

一昨日の記事で武田/モデルナ社ワクチンについては、

 

吸引後速やかに接種してください

 

とされていることを紹介しました。

 

在宅療養患者等に対して在宅で接種を行う場合、

↓のサイトにある

 

「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する医療機関向け手引き(6.0版)」(令和3年12月20日)

において、

 

・シリンジに充填した状態で移送することを可能とする

としており、

・(ファイザー社ワクチンは)希釈後6時間以内に使用すること

・(モデルナ社ワクチンは)充填後6時間以内に使用すること

とされています。

 

昨日「速やかに」の定義を紹介しましたが、

シリンジに充填した状態で移送しワクチン接種、というのは

従来あまり一般的に行われていなかったので、

「速やかに」が意味する「通常の処理時間内」が示す

具体的な時間についてコンセンサスを得にくいため、

このように記載しているものと考えられます。