過日、B.プレミアライセンス取得を決めた三遠ネオフェニックス。そのホームタウン豊橋の市長選挙で新アリーナ建設反対派の市長が当選、ライセンス取り消しの可能性が出てきたという・・・

 

豊橋市長選挙⎯⎯「新アリーナ建設の是非が争点」「計画中止を公約に掲げて当選」などといった言辞は、当選者、その支持者、大手マスメディアによる印象操作。後付の「物語」です。多くの有権者にとって、建設の是非自体は既に主要争点ではありませんでした。また選挙期間中長坂氏が、計画中止を特筆大書し、街頭で広く強く訴えていたということもありません。選挙公報に、小さな文字の34項目、そのひとつとして「新アリーナ計画の中止(契約解除等)」とあったのは事実ですが、ただ、それだけです。

 

 

全国のバスケットボールファンからの、

 

豊橋の有権者って、バッ◯じゃないの?

 

という声が聞こえて来るようです。

 

 

が、1人の豊橋人として言わせてもらいます。決してバ◯なんかじゃありません。

 

ただ、いささか、お人好しが過ぎたかもしれません。

 

 

選挙は結果が全て。言い訳すんな!

 

とも言われそうですが、いえいえ、全力で言い訳しますよ。

 

というのが、今回の記事です。

 

 

●当選者と大手メディアによる「物語」

 

 愛知県豊橋市長選は10日に投開票され、無所属新顔で元市議の長坂尚登氏(41)が、いずれも無所属で現職の浅井由崇氏(62)、元市議会議長の近藤喜典氏(45)、練り物製造業の蔵地雅彦氏(65)の3人を破り、初当選を果たした。当日有権者数は29万1337人、投票率は43.43%(前回43.14%)だった。

 

 10日夜、当選が決まると長坂氏は市内の事務所で、ボランティアのスタッフたちと万歳三唱をした。「本当に豊橋がよい街になるように力を尽くしたい」と述べた。

 

 争点は、豊橋公園東側エリアでの多目的屋内施設(新アリーナ)の整備計画だった。

 

 任期途中で市議を辞職して挑んだ長坂氏は、現職の浅井氏が前回の市長選で「計画を白紙に戻す」と訴えて当選したにも関わらず、事業を進めたと批判。長坂氏は、自らの当選が決まると、新アリーナの計画について「就任したらすぐに契約は解除する」と述べた。

 

 選挙戦では、豊橋駅前を行き交う人たちと握手を交わすことで、自らの認知度を上げる作戦を展開し、支持を広げた。

 

 一方、現職の浅井氏は、4年間の実績を訴えたが、支持が広がらなかった。浅井氏は10日夜、「私の訴えが当選するまでは届かなかった」と敗戦の弁を述べた。

 

 自民党豊橋支部の推薦を受けた元市議会議長の近藤氏は、豊橋駅前に屋台街をつくるなど、独自の政策を掲げたが、支持が広がらなかった。蔵地氏も及ばなかった。

 

豊橋市長選の得票

 長坂氏 45491票

 浅井氏 41094票

 近藤氏 36079票

 蔵地氏 2326票

  =開票率100%

 

 

 

上は、投票翌日の未明、長坂氏当選の第一報です。

 

争点は、豊橋公園東側エリアでの多目的屋内施設(新アリーナ)の整備計画だった。

 

とありますが、早くも(かねてからの予定通り?)歪曲が始まっています。

 

 

何しろ「あの日」まで、ほぼほぼ、めぼしい争点はない、くらいに言われていた市長選挙なんですから。

 

 

●争点隠し、ならぬ、争点捏造

 

そう、公示直前、大手新聞(ぶっちゃけ中日新聞)が、多くの市民にとって、概ね終わった話だった「新アリーナ問題」を、唐突に蒸し返してきた「あの日」です。

 

 

(中日新聞10/31-12東三河版)

 

 

〈説明十分か 疑念絶えず〉も何も・・・

 

そりゃ、反対する人達は、自分達がほしい言葉が出るまで、それを言い続けるんですから、疑念が絶えるはずもありませんがな。

 

それはまあ良いとしても(決して良くはないけれども)、常々腹立たしく思っていたのは、中日新聞がこの件を報じる時に必ず示す「豊橋市の新アリーナ計画の経緯と予定」の類です。

 

大抵〈2020年 11月 「ゼロベースで見直す」と訴える浅井由崇氏が市長選で初当選〉で始まるのですが、そこからして、お得意の「嘘は(一応)言ってないよ。隠してることはあるけどね」でございまして。

 

 

●賛成派が一貫して多数派

 

そこら辺、補足した経緯がこちら(朱色の吹き出しが筆者の補足)。

 

 

 

豊橋の新アリーナ問題、メディア報道で知る方々には「反対の世論を押し切って、行政がムリムリに建設を進めている」という印象を持たれていると思われますが・・・

 

そもそも2020年2月の段階で「新アリーナ建設を求める請願」が2万8,270筆の署名を添えて提出され、趣旨採択されているのです。

 

この署名「建設を求める」ですからね。

 

 

 豊橋市の市民有志「新アリーナを求める会」が27日、市が検討している新たな屋内スポーツ施設「新アリーナ」の早期建設を求める請願を2万8270人の署名簿を添え、豊田一雄議長に提出した。

 

 人口減少が進む中、新アリーナは、東三河の中核都市・豊橋市に幅広い世代が集い、地域の交歓拠点となる▽スポーツ、文化、芸能のイベントを恒常的に提供することで地域振興に寄与▽大規模な会合や展示会などを行うことで、国内外から大勢の人を受け入れられ、地域経済への波及効果、交流人口の拡大などによる地域の活性化▽老朽化する市総合体育館に代わる防災の拠点ーを主な理由に建設を強く求めている。

 

 


https://www.city.toyohashi.lg.jp/secure/9867/shigikai_323_web.pdf

 

 

 

●「奥歯に挟まる小骨」

 

さて「ゼロベースで見直す」という浅井さんの公約違反は、確かに感心しませんが、対立候補だった当時現職の佐原さんと差別化を図るためだったのでしょう。

 

で、ゼロベースで見直した結果、他に良案はありませんでしたと。言っちゃ何ですが、政治の世界では、まま、あることです。

 

ただし、文書ベースでは「ゼロベースで見直す」だったのに、討論会だか記者会見だかで「豊橋公園以外で」ということも口走ったらしく、結果的に、この「公約違反」が、反対派にとって、ず〜〜〜っと美味しいネタであり続けました。

 

 

「家屋倒壊等氾濫想定区域に含まれていると判明」云々については、過去記事がありますので、興味と時間のある方は、こちらを。

 

 

 

そして、中日新聞が決して触れないのは、2023年4月の市議会議員選挙です。

 

この時は、間違いなく「新アリーナ」が争点でした。公示前から投票前日まで、各候補、ホントに侃々諤々やってました。

 

それこそ、あちらこちらで、候補者の賛否一覧が出回りました。

 

結果、賛成派の多数議席獲得だったのです。

ここ、重要です。

 

 

その議会が認めたのが、家屋倒壊等氾濫想定区域を避けるため、だったらいっそとばかり、新アリーナ(多目的屋内施設)のみならず、その他諸々の懸案事項も組み入れた結果の総額230億円、新たな計画でした。

 

この計画は、中間報告の段階で募集したパブリックコメントにおいて「8割が好意的」だったとされています(コメント数自体、異例の多さでした)。

 

 

 豊橋市の浅井由崇市長は7日、豊橋公園での建設を目指す「多目的屋内施設」(新アリーナ)の基本計画案中間報告について、パブリックコメントの集計結果を発表した。担当職員らによると8割超が建設に好意的か前向きな意見だった。

 

 〜〜〜 〜〜〜 〜〜〜

 

 浅井市長は「意見募集は賛否を問うものではないが、おおむね好意的とみられる意見が多かったことはありがたい。寄せられた意見の多さに驚く一方、市民や周辺地域の人らの関心が高いこともよくわかった」などと感想を述べた。

 

 

 

そして、計画決定。事業の契約締結となりました。議会も可決しています。

 

https://www.city.toyohashi.lg.jp/secure/9867/gikai_346_web.pdf

 

 

 

●住民投票、必要or不要

 

参考までに、付け加えておくと、「建設の賛否を問うための住民投票」を求める請願ですが、1回目の2023年5月が1万5,991筆、2回目の2024年2月が1万7,628筆の署名でした。

 

実質反対派がやっていることですが、「賛否を問う」でこの数ですからね。

 

「建設を求める」と「賛否を問う」と、どちらの署名が集め易いか、言うまでもないでしょう。

 

 

何をするにも、直接利害関係がある当事者の中には必ず反対する人がいます。

 

そこに、何であれ、体制(大勢)に反対するのが趣味な人がくっつく。

 

それが票になると踏んだ人が近づく。

 

そして自身のスポンサーの不利益にならない限りにおいて、マスメディアが応援して話を大きく見せる。

 

そのためのツールが「賛否を問う住民条例」です。

 

中日新聞など、野球以外のスポーツコンテンツが、これ以上存在感を増すのが嫌なんじゃ無いの? と勘ぐってしまうくらいアリーナ反対派に肩入れしてきました。

 

あるいは「んー、愛知県は4つもB.プレミア候補チームがあるから、ひとつくらい無くなっても良い」と考えているとか。

 

何なら「豊橋なんて辺境、衰退するに任せれば良い、出張減るし」と思っているとか。

 

 

「賛否を問う」と言われた時、署名を頼まれたら、基本、断りにくい。

 

そして、ほぼ全てのハコモノに言えることですが、実際にそれを使う可能性のある人以外にとっては、聞かれたら「要らない」と答えるもの。

 

100人中、3人が反対、7人が賛成、他の90人はどっちでも良い・分からない、だった時、賛否を問えば、どっちでも良いの人は、多くが「否」に流れるものです。

 

いちいち住民投票してたら、行政は何も造れない。だから、議会は大抵否決する。

 

民意を無視する行為と言うほどのこともない、なぜなら、その議会自体、民意を反映しているから。

 

首長が要・不要派で任期ごとに入れ替わるとか、議会の賛成派・反対派がずっと拮抗しているとか、なら別ですが。

 

 

ちなみに、2回目の「賛否を問う」が議会によって(!)否決された折に、長坂氏は市長選挙立候補を表明しました。

 

こちらは、その時の記事。興味と時間のある方はどうぞ。

 

 

 

その後近藤氏、続いて浅井氏が、共に立候補表明。

 

アリーナ推進派が2人出たことに、一抹の不安を感じたものの、いや、まさか長坂はナイだろうと高を括っておりました。

 

 

●話は終わった、はずだった。

 

さて、そんなこんなで、多くの市民に「新アリーナ問題は終わった話」と思わせたのが、全戸配布の広報とよはし、11月号掲載の記事でした。

 

 

 

https://www.city.toyohashi.lg.jp/secure/114762/24113.pdf

 

 

 

 

これを目にすれば、元々反対派の人以外は、ふ〜ん、決まったんだ、始まってるんだ、と思うでしょう。

 

けれど、これと、ほぼ同時期、中日新聞に件の検証記事が連載されました。

 

 

結果、中日新聞がメイン情報という人々は「新アリーナ(建設の是非)が争点」だとうっすら考えているのに、そうでない人達は(特に、新聞などには縁のない比較的若い層⎯⎯バスケットファン・ブースターが多い⎯⎯)、そんなことになっているとは知らない、建設の是非を問われているなんて思ってない、という非常に歪な選挙戦となってしまったのです。

 

そして候補者の方も、共に推進派である現職の浅井さんと自民党市議団が応援する近藤さんとが、計画の細部、その進め方について違いを強調する中、長坂さんは、中止を強く訴えるでもなく、ひたすら投票をお願いするだけ、という謎の風景となりました。

 

そこら編の経緯は、こちらの記事でも触れています。興味と時間のある方はどうぞ。

 

 

 

そして、選挙終盤、期日前投票の出口調査結果が漏れ伝わり始める頃には、建設推進派の間で、これは、ちょっとマズいんじゃないか? という空気が漂い始めました。

 

つづく。

 

 

あまりにも思いが溢れすぎ、容量を超えてしまったので記事分割します。

つづき、はこちら。

 

 

 

 

なんか、そういう気分・・・

 

 

 

 

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