何か事故や災害が起きた時・・・警告がなかった、指示がなかった、想定してなかった、等々の理由で政治・行政を叩く人が一定数います。

 

すると、それを回避するために、安心・安全の基準は際限なく高くなり、その分お金がかかり、逆に日々の暮らしはつまらなく息苦しいものになるという・・・

 

 

恥ずかしながら、ワタクシ、小学生の時、バスケットボール部でした。

 

ところが中学校にバスケ部がなく、うっかり演劇部に転身、そこから人生踏み外した、というのは、まあ、どうでも良いことですが・・・

 

なので、地元のB1チーム、三遠ネオフェニックスをけっこう応援しております。

 

 

 

 

さて、ちょっと前のことで、かつ、ローカルな話題ですが、あらら、という報道がありました。

 

 

●「氾濫区域」だったのね💦

 

(中日新聞11/25-33面)

 

 

 愛知県豊橋市で計画されている多目的屋内施設(新アリーナ)の建設予定地の半分ほどが、同県が指定した、豪雨時の洪水で建物が流される恐れのある「家屋倒壊等氾濫想定区域」に含まれていることが分かった。同市は区域に入ることを確認しないまま五月に予定地として発表。今月に把握したといい、別の場所に建設することも検討する。

 

これまでも、色々とケチが付いてきた「新アリーナ」ですが、正直「またか」です。

 

 

でもね、

 

 同市を拠点にするプロバスケットボール一部(B1)の「三遠ネオフェニックス」が本拠地とすることも想定。リーグは、二六年に創設するプロバスケットボールのトップカテゴリー「新B1」への参入要件として、五千人以上収容のアリーナ保有を定めている。

 

そうそう、ソコ重要。

 

建設反対という意見があるし、あっても良いのだけれど、だったら「フェニックスのホームタウンは返上しなきゃだよ」ってことも言ってくれないと、と常々腹立たしく思ってました。

 

 

ところで、

 

 県河川課によると、区域での建設を巡る法的拘束力はないが、名古屋大減災連携研究センターの田代喬(たかし)副センター長(河川工学)は「一般論として、河岸浸食が想定される場所に、防災機能を有する施設を造るべきではない」と述べた。(斎藤徹)

 

あれ? だったら、建設しても良いってこと? 

 

一般論は、そりゃ、聞かれればそう答えるでしょ、くらいのもんですし。

 

 

 

 

 

(コロナ報道で頑張っている)CBCも、ちらりと触れてました。

 

 

豊橋市は、バスケットボールBリーグなどを開催できる5000人規模の新アリーナについて、2026年度中の開業を目指して計画を進めています。 

 

建設場所は市の中心部で、交通の便がいい「豊橋公園の北側」を想定していますが、一部が、去年12月に県が指定した「家屋倒壊等氾濫想定区域」を含むことがわかりました。 朝倉川にほど近い公園の北側の一部は、「川の水流で地面が削られ、建物が倒壊・流出する危険がある」ということです。

 

う〜ん、そうなのかなあ。

 

「去年12月に県が指定」というのが気になるところです。

 

 

中日新聞の方には、こんな地図が付いてましたが・・・

 

 

 

●「家屋倒壊等氾濫想定区域」とは?

 

問題になっているのは豊橋公園内北寄り、朝倉川左岸(南側)ですが、地元民として、まず、素朴に「いやいや、ソコはそんな危ないところじゃないでしょ」と言いたいですね。

 

 

こちら、令和元年度(!)公表の「豊川・豊川放水路洪水ハザードマップ地図面<想定最大規模>」というものです。

 

https://www.city.toyohashi.lg.jp/secure/4564/2_toyo_tizu.pdf

 

このマップは、水防法第15条第3項の規定により、浸水想定区域内での避難行動に役立ててもらうために作成したものです。

 

とのこと。

 

 

 

「新アリーナ」建設予定地付近を拡大します。

 

 

 

 

豊川との合流付近、城下橋(図中➕記号)辺りでわずかながら朝倉川左岸にも「洪水」が見られますが、そこは土地自体が低いので、まあそうだろうと思います。


 

それで、です。

 

 

此度、降って沸いたような「家屋倒壊等氾濫想定区域(河岸侵食)」では、こんなことになってまして。

 

https://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/402557.pdf

 

 

「えっ? これ、要するに川沿い全部じゃん」と思わずにはいられませんが・・・

 

ともあれ、当該区域を拡大してみますね。

 

 

 

「は、はい? いやいや、何すか、この適当な線引きは?」てなもんです。実際の地形とか地質とか、河岸侵食と関係ないんでしょうか。

 

他の資料などを見てみると、朝倉川の右岸と左岸とでは、地高も地質もはっきりと違うんですけれども。

 

 

 

 

https://www.gsj.jp/data/200KGM/JPG/GSJ_MAP_G200_NI5302_2004_200dpi.jpg

 

 

 

何故にこんなことになるのか、去年12月(!)に「浸水予想図」を公表した愛知県のサイトを見てみましょう(赤字は引用者)。

 

 

浸水予想図の見直し

 

 これまで計画規模降雨(L1)の「浸水予想図」を提供してきましたが、近年は、全国各地で水防法で指定されていない中小河川においても多くの被害が発生していることから、浸水リスク情報の空白地帯をなくすために、平成27年の水防法改正を受け想定最大規模降雨(L2)への見直しを進めている「洪水浸水想定区域図」と同様に、水防法の指定区間外(上流部や支川)についてもL2対応の「浸水予想図」の作成を進めています。

 

 

 この浸水想定区域等は、公表時点の対象河川の河道等の整備状況を勘案して、対象河川が氾濫した場合の浸水の状況や河岸の侵食幅をシミュレーションにより予測したものです。
 

 なお、このシミュレーションの実施にあたっては、対象河川以外の決壊による氾濫、シミュレーションの前提となる降雨を超える規模の降雨による氾濫、高潮及び内水(内水は、一部河川を除く)による氾濫等を考慮していませんので、この浸水想定区域等に示されていない区域においても浸水が発生する場合や想定される水深が実際の浸水深と異なる場合があります。
 

 同じく、家屋倒壊等氾濫想定区域に設定されていない区域においても家屋倒壊・流失が発生する場合があります。

 

 

 

つまり、めっちゃ簡単に言うと「(平成27年に法改正があって)降雨量の想定が変わったよ。だから、それに合わせて順次マップを見直していくよ。ついでに、これまで触れてなかった川についても作成していくよ」ということでして。

 

より、はっきり言いますと、浸水予想の前提を「河川整備において基本となる降雨」から「想定しうる最大規模の降雨」に変えたから、今まで「大丈夫」だったところが「大丈夫じゃない」になっていくよ、というわけでして。

 

 

国土交通省 水防法の改正の概要(抜粋)

https://www.cbr.mlit.go.jp/shonai/about/water_disaster/pdf/h280526_water_disaster04.pdf

 

 

うん、そりゃ大変だ。

 

実際、県のサイトには公表する(された)浸水予想図のリストがあって、「これは、年々増えていく世界遺産と一緒やね」くらい、膨大な数の「家屋倒壊等氾濫想定区域」が見られます。まさしく「県内の川、全部でしょ」です。

 

 

もちろん「適当に線を引いてる」わけではなく、一応マニュアル(小難しい数式なんかも出てきます)に沿ってのことなんだそうですけれども。

 

https://www.mlit.go.jp/river/shishin_guideline/pdf/manual_kouzuishinsui_1507.pdf

 

 

いずれにせよ、「実際に危険度が増した」のではなく「危険だと判断する基準(想定する降雨量自体)が変わった」ということですからね。

 

 

「水防法等の一部を改正する法律」が、平成27年5月20日に公布、7月19日に一部施行、11月19日に完全施行されました。

 

 

 

 

意地悪く表現すれば、所詮「設定」であり「推算」でしかない、のです。

 

そんなもん、お天気お姉さんが「今日は念のため折り畳みの傘を持って出かけましょう」とか言うのと大差ない・・・こともない・・・こともない。

 

 

 

https://www.cbr.mlit.go.jp/shizukawa/bousai/shinsui/pdf/reference45.pdf

 

 

●古人(いにしえびと)は知っていた

 

さて、豊橋公園は、もともと吉田城があったところ。

 

城といえば「天然の要害」であり、自然災害に弱いようでは話になりません。

 

 

 

今、まさに問題になっている場所は、「丸の内」ではないにしても「外郭・総堀内」であり、藩士が住み、また神明社や八幡社のあったところです。

 

 

 

 

こちらは、Googleマップの航空写真にワタクシが注をつけたもの。

 

 

 

城下橋から建設予定地方向を見た写真。微妙に上り坂になっているのが分かるでしょうか。

 

 

 

護岸自体はほぼ同じ高さですが、写真右側(朝倉川左岸、公園側)の方が土地が高くなってます。

 

 

 

こちらの角度だと、さらに分かりやすいかも。

 

 

 

朝倉川をもう少し遡ると、右岸側に堤防が(下流には、この堤防がありません)。

 

 

 

堤防の向かい、左岸側は護岸の上に土手があり木が生い茂ってます。

 

 

 

というわけで、朝倉川が増水すると、護岸が削られ崩れるよりも先に、まずもって右岸側に水が溢れる(!)ようになっているのですね。


 

こちら、朝倉川(というより豊川ですが)が増水した時の写真です。

 

 

写真中央、やや右寄りに朝倉川の右岸堤防がありますが、まるで役に立っていないように見えます。その一方で、左岸側の豊橋公園(および市街地)は全く浸水していないのが分かります。


 

これは、どこかの堤防が決壊したとか、堤防を越えるほどの出水だったということではありません。

 

先ほどの写真でお見せしたように、朝倉川の右岸堤防は、豊川と合流する手前で「消失」してますし、豊川もこの辺りの左岸には、そもそも堤防が無い(!)のです。

 

 

●霞堤

 

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、これは「霞堤」という先人の知恵です。
 

 

昔、吉田城および城下町を水害から守るため、上流で、ところどころ、あえて堤防を設けず出水を逃す「遊水地」を設けていた、その名残なのです。

 

 

国土交通省 中部地方整備局 豊橋河川事務所:豊川の霞堤

https://www.cbr.mlit.go.jp/toyohashi/pamph/pdf/toyogawa_kasumitei.pdf

 

 

霞堤については、ずっと前に、記事を書いたことがあります。

 

 

輪中といい、霞堤といい、
「水害は防ぎきれない」
という前提に立っていることが重要だと思います。

相対的に小さな被害を甘受することで、
より大きな被害を防ぐ、という思想です。

 

 

5年に一度くらいの雨なら完全に防ぐ。
10年に一度なら、軽微な被害を甘受する。
50年に一度なら、大きな被害を覚悟しつつ、それを小さくすることを考える。
100年に一度なら、諦めて避難する。

地球温暖化や異常気象など、
より厳しくなる自然に対して、
人は如何に在るべきかを考えた時、

その程度には、謙虚になった方がいいのかもしれません。

 

 

 

●命短し、恋せよ乙女。

 

そうした歴史や知恵を無視したような机上の「推算」で「設定」した「家屋倒壊等氾濫想定区域」なるもので、右往左往するのはやめましょう。

 

少なくとも、この朝倉川左岸の「推算」については、明らかに間違いです。

 

偉い人には、それが分からんのです。

 

 

「新アリーナ」建設に反対する理由は、そりゃ色々あるのでしょう。

 

でもね、お願いだから、(メディアを含めて)ホームタウンとして地元のプロチームを盛り上げて行こう、という機運に水の差すのはやめて。

 

 

「是非を問う住民投票」も良いけどさ、建設に反対するなら、豊橋が「B1チームのホームタウンである必要はない」というところをはっきり言ってもらわないと。

 

ましてや「生活環境の悪化が反対運動の根源」だなんて言われた日にゃ、要するに、自分の近辺が(!)バスケ(と、その他イベント)で騒がしくなるのが嫌だってことですよね?

 

それは、胸を張って言うことなんですか?

 

(東愛知新聞12/10-1面)

 

 

(とりあえず、長野のことは置くとして)

 

万が一の自然災害とか、万が一の新型感染症とか・・・

 

 

安心・安全のハードルを高くして、そっちにばかりお金を使うのは、もう勘弁してほしいです。

 

「まあ、それは、無いだろう。それ以上は仕方ない」というところを見極めて(諦めて)、人生を愉しむ方向にもきちんとお金を使わないと。

 

 

ということで、結論。

 

 

街に活気を、若者に夢を。

 

We are Phoenix !

 

 

 

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オマケ! 長いけど、オマケです!!

 

 

豊橋市議会議員で(ワタクシの嫌いな)長坂なおと、という人がいます。

 

(2015年選挙公報)

 

 

(2019年選挙公報)

 


で、こちら、長坂氏のブログです。

 

 

豊橋市議の長坂です。
つくる前に気付いてよかったです。

 

 

さて、1年近くも前、昨2021年12月に愛知県が、こんな浸水予想図を公表していました。

 

ましてや、危険箇所の線引きや解釈が変えられるなど、
安全がないがしろにされたり、都合よく行政が捻じ曲げられるなどありませんことを。

 

 

 

いやいや、「危険箇所の線引きや解釈が変えられ」たから起きた問題でして。

 

 

新アリーナと別件で、私が、豊橋公園に危険箇所が掛かっていることに気づき、担当部局(新アリーナとは別部局)に指摘したのが、今年の11月10日頃です。

そのときの職員の反応は、一瞬、私の指摘に狐につままれたような、
気付いていなかった、という印象でした。
(もちろん、それでも大いに問題あり、ですが)

 

 

 

何でそんなに嬉しそうなのよ。

 

てか、アナタだって「家屋倒壊等氾濫想定区域」のことは、誰よりも先に知っていた、というわけじゃないでしょう。

 

 

 

右下の建物が豊橋市役所、その奥に豊橋公園の野球場が見えます。
左側が浸水しています。

 

このような想定リスクがあるエリアに、大規模な集客施設、防災拠点にもなるかもしれない公共施設を建設することは、認めがたいです。

 

 

 

これは、豊橋公園ではなく朝倉川対岸(右岸、写真左側)に建設したらどうか、という意見に対する記事で、言ってること自体は一応正しい。

 

正しいのだけれども、重要なのは、この「洪水」時においても、豊橋公園側(朝倉川左岸)は全く浸水していない、ということでして。

 

せっかく霞堤防に触れながら、しかし発想は違う方へ行ってしまう、東大卒さん。

 

「このような想定リスクがあるエリア」というのが、朝倉川対岸のみならず豊橋公園側をも含んで言っているのだとしたら、霞堤の意味を全く理解していないということになりますが・・・そこら辺どうなんでしょう。

 

 

しかし、あっさり踏み込んで来ました。

豊橋公園内での再配置(公園内での移転・建替)であろうが、公園外への移転・建替であろうが、
あるいは廃止であろうが、現在の野球場や陸上競技場を解体することになるのは変わりありません。

もちろん、これまで野球場や陸上競技場の解体可能性について、
市民や議会に説明があったことは、一度もありません。
競技者や関係スポーツ団体も、寝耳に水、と思われます。

 

 

 

随分とお怒りのご様子ですが・・・そりゃ、アナタ(達)が要らんことを言ってつついたからでしょうと。

 

だいたい「区域での建設を巡る法的拘束力はない」わけだから、だったら(そんなことは無いと思うけど)仮に河岸が侵食されたとしても、建物本体に影響が出ないよう土留工事を施せば良いんであって。

 

 

実際、今回「想定区域」内になったところ(朝倉川左岸、豊橋公園の東隣)に、こんな建物もありますし。

 

 

護岸がちょっとヤバいことになっている場所で、けれど土留して、そこに家が建ってますでしょ(手前土嚢は右岸堤防の工事関係で仮置きしてあるもの)。

 

 

ちなみに、長坂氏は(現在使用している)総合体育館を5,000人規模に改修する、というご意見のようで、ホームタウンを諦める、というわけではないようです。

 

 

でもね、総合体育館は自前の足(車)がない中・高生が親抜きで行くのは難しいんですよ。

 

 

 

確かに(新アリーナ建設と比較して)お金はかからないのだろうけれども。

 

それは、ちと夢がないなあと思います。