仕事を早く切り上げ、西千葉「ZX」までRESPECTのライヴを観に行った。

RESPECTは女子中高生4人組の本格派ブルース・バンド。古典カヴァー中心のストイックな音楽性と、それをきっちりこなす高度な演奏力もさることながら、よくメンバーが集まったよな~と感心する。リーダーの大久保初夏は、幼少の頃から「天才ブルース・ドラマー」として名を馳せていたというが(現在はギタリスト)、私が彼女達の存在を知ったのは渋谷ルイードK2で7117と対バンしていたのがきっかけだった。

会場には、メンバーのクラスメートと思しき制服姿の女子高生たちが20人近く詰め掛けていた(ちなみに「制服姿の男子高生」はいなかった)。ライヴはかぶりつきで観る主義の私も、すごすごと引き下がる。

この日はワンマン・ライヴと銘打たれていたが、前座としてMISTY ATOMIC FRIENDSという男女5人組のバンドが出演した。ハコのスケジュール表を見ると同じ月に何度も出演しており(その内一つはトリ扱い)、おそらく店長の一推しなんだろうが、ノリノリで演奏するインスト陣はともかく、女性ヴォーカルの立ち振る舞いのぎこちなさのせいでどうにも素人臭い。痛々しくて見ていられず、ずっと下を向いていた。

そしてRESPECT。約1時間のセットリストの中で、2曲のオリジナルとフィンガー5の『学園天国』を除けば、『HOOCHIE COOCHIE MAN』『ダンス天国』など、先述のとおりブルース並びにリズム&ブルースの古典を披露する。

堅実な演奏もシンガーのオーバーアクションも初夏リーダーによるMCも、くやしくなるくらい板についているし、加えてルックスもアイドル並み(とくにベーシストにはオジサンの追っかけ?がついてる模様)。まったくもって非の打ち所がないのだが、しかしブルースは演奏技術もさることながらソウルの部分が重視される音楽だ。そもそもブルースとは「憂鬱」を意味する。

だからシャウトするにしたって、ただ声が大きければ良いというものではなく、怒りや哀しみといったネガティブな精神性がその根底になければならないわけだが、残念ながら彼女たちの演奏からそれは伝わってこなかった。むしろ高校球児に近い清々しさを感じてしまうのだけれど、それがはたして「ブルースマン」にとってプラスと言えるのだろうか。

それでも、まだ生まれてすらいなかった時代に活躍した先人たちへの敬意(RESPECT)を力いっぱい込め、懸命にブルースマンたらんとする彼女たちの姿は、“器”としてすでに完成されている。あとはそこに「四辻の悪魔」が顕現する日が来ることを願ってやまない。
珍しく日曜日に7117のライヴ。先週の水曜日に高田馬場monoで行なわれたabのソロ・ライヴは仕事がどうしても抜けられず泣く泣く断念せざるをえなかったので(なのに翌日から暇になるという皮肉)その挽回の意味も込めて足を運んだ。

会場は渋谷のラママ。ここでやるのは1月12日以来で、今回の「やまない風 Vol.1」もその時と同じLORANというバンドの企画だった。次の出演者の曲をカヴァーするという趣向も一緒。今回、7117は2番手で、1番手のフォーク歌手・りゅうたろうが7117(というかab)の代表曲『3つ数えて』を渋くブルース調にアレンジしていた。

そして7117のステージだが、この日のabは連日のハード・スケジュールのため体調を崩していたとのことで、心なしかダンスにいつものキレがない。曲間の喉休めもミネラルウォーターではなく、栄養補給のための野菜ジュースを飲む。

とはいえ、それは私がほぼ毎回abのライヴを観ているから気付くことであって、ab自身は途中でよろけたり苦しそうな表情を見せたりすることなく、出しうるかぎりの力を尽くして熱演していた。風邪を引いていても仕事に穴を開けられないのがプロの厳しさ。abウォッチャーとしては、こんな日のライヴもそれはそれで貴重と言えるかもしれない。

また当日の見所としては、次に登場するGRAVEMAN ARBEITのカヴァーを披露。スピッツのような爽やか系のギター・ポップだが、abの金属的な歌声とASUKAの物憂げなサックスで料理すれば、たちまち7117の世界に組み込まれる。ちなみに、abは多忙のせいで原曲を聞いたのがライヴ前日だったらしい。もっとも7117にかぎらず、どのバンドのシンガーも他のバンドのカヴァーを歌う時は歌詞カードを見ていた。

さて、前回のLORAN企画では7117がトップバッターだったが、僕自身はその日急に仕事が入ってしまったため、後のバンドは観ないで帰った。今回は時間に余裕があったので最後まで残る。トリのLORANが終わった後、出演バンドのシンガー総出でセッションが行なわれるためだ(ちなみに、その曲はLORANのバンマスであるYASSが作詞作曲した「ピース・ソング」) 。

しかし、その他の出演バンドは主催者のLORANも含めて、どれもNHKの歌番組に出てきそうな感じの健全な雰囲気。先述の「GRAVEMAN ARBEIT」だとか、はたまた「THE SAD SAD PLANET」だとかいったクセのありそうな名前のバンドも、実際に聴いてみると拍子抜けだった。なので全体を通して観た場合、7117のグラマラスでパンキッシュなハード・ロック・サウンドだけが浮いてしまっている。逆に他のバンドのファンは7117を観てどう思っただろう?

去年開催された「LOUD PARK 09」での初来日も記憶に新しい
スウェーデンのゴシック・メタル・バンド、
THERIONのライヴDVD『LIVE GOTHIC』を観た。

百錬ノ鐵 アメブロ支部

最新作『GOTHIC KABBALAH』のリリースに伴うツアーの中から、
2時間に及ぶポーランド公演の模様を完全収録。
さらに、
その音源のみを収録した2枚組CDも同梱する豪華版である。

結成当初はデス・メタルだったが、
作品を重ねるごとに「デス声」を排除し、
今やすっかりゴシック・メタルに様変わりしてしまった……
というよくありがちなパターンのバンドである。
しかし、THERIONの場合は、
スタジオ作品においてシンセサイザーだけでなく
本物のオペラ歌手やオーケストラを起用するなど、
プログレに通じる大仰さを徹底して演出することで、
別の意味でのインパクトを提示している。

この日のセットリストは
ゴシック・メタルに転向したアルバム『THERI』以降の曲のみで、
デス・メタル時代の曲はいっさい含まれていない。
もっとも、
ライヴではいちいちオーケストラを連れて回るわけにもいかず、
よりギターを前面に出したシンプルなサウンド編成となっている。
その代わりに、
ヴォーカリストを男女2名ずつ、
計4名もフロントに起用することで、
音の厚みはスタジオ作品と較べても何ら遜色はない。
ちなみに、その4名の内の一人Snowy Shawは、
私の大好きなブラック・メタル・バンドNOTRE DAMEのリーダーでもあり、
オペラチックな歌唱の他にも
NOTRE DAMEで聞かせる不気味な声を出して、
楽曲の神秘的なムードに禍々しさをプラスしている。

特筆すべきは、
4名のフロントマンが曲毎に繰り広げる
シアトリカルな演出の数々。
曲によっては女性ダンサーも登場し、
幻想的かつエロティックに舞い踊る。
ドラマーがソロを披露する際には、
2名の男性ヴォーカリストもそれに合わせて太鼓を打ち鳴らし、
まるで日本の「鼓童」を思わせる掛け合いを見せてくれる。
バチを剣に見立ててフェンシングするなど、
荘厳なイメージとは裏腹のユーモアもあり。
さらには本編ラストを飾るインスト曲でさえ、
ステージ前方でヘッドバンギングしながら熱演する弦楽器隊の後方で
ヴォーカリスト4名が黒い旗を掲げるなど、
観客を飽きさせない工夫が終始施されている。

ただ、惜しむらくは肝心の楽曲が、
良くも悪くも「普通」のヘヴィ・メタルというか、
ヘヴィ・メタルの「様式美」みたいなものから一歩も抜け出していない。
どうせなら、
プログレ張りの複雑なアンサンブルや構成にも
チャレンジしてみたらいいと思うのだが、
アンコールで披露されたMANOWARのカヴァーに象徴されるとおり、
本人たちはあくまでも
「ヘヴィ・メタル」のフィールドに拘りがあるらしい。

ちなみに、そのMANOWARのカヴァー『THOR(THE POWERHEAD)』で、
リード・ヴォーカルを取るSnowy Shawがハンマーを手にしていたのは、
この曲が北欧神話の雷神トールをテーマにしていて、
そのトールが絵画の中では
常にハンマー(「ミョルニル」と呼ぶ)を振りかざした姿で描かれるから。
日本盤のライナーノーツを書いているB!のライターは
昔からブラック・メタル系のレビューを多く手がけているが、
北欧のブラック・メタルは北欧神話をモチーフにした作品が多いのに、
こんな初歩的な知識すらないのはプロとしてちょっと情けない┐( ̄ヘ ̄)┌

「Shangri-la」のメンバー、sattinさんのバースデー・ライブに行ってきました。

会場の「ポップコーンクラブ」は、お食事をしながら演奏を楽しむというスタイルのライブハウス。関係者でない一般客の私たちが通された壁側奥のテーブル席はひじょうに狭く、ドリンクを取りに行ったりトイレに行ったりするたびにテーブルの間を通るのも一苦労でした。でも、sattinさんのお誕生日会にそれだけたくさんのお客さんが駆けつけてきたってことですよネ。

Shangri-laでは声に特徴のあるabさんがリード・ボーカルを取ることが多く、sattinさんの歌をじっくり聞く機会というのがあまりないので楽しみにしていたのですが、全体的にsattinが所属するコーラス・グループ「Nasty Girls」のリーダーであるマイラ・ケイさんのカラーが色濃く出たイベントでした。まぁ、それだけsattinがNasty Girlsに「賭けている」ってことなのでしょうネ。

sattinのレパートリーは冒頭に3曲披露しただけ。しかも、その最中にずっとどっかの客がヘタクソなタンバリンを鳴らしていてすっごーく耳障りでした。『赤い果実』や『Good-bye Lover!!』のようなハード・ロック・ナンバーでならともかく、亡き母に捧げたバラード『Remenber Forever』でしんみりしているところにシャカシャカやられるとマジで殺意が芽生えます。

続くShangri-laでも問題のタンバリンは鳴っていました。近くの席だったらきっと文句言ってたと思いますが、なにせ通路に出るだけで一苦労だったので我慢するほかありませんでした。まぁ、『恋のロマンス』が終わり、バラードの『Island』に入った時点で場違いだと気付いたのか、ようやく鳴りやみましたが、遅すぎるって!

イベントのクライマックスは先述の「Nasty Girls」のステージ。それまでお客さんは皆自分の席で観てましたが、この頃になると立ち上がってステージの前に集まり、踊りまくります。僕の隣でabさんが踊っていたのが良い想い出です。

イベント終了後、目黒で二次会があったようですが、明日仕事なので帰りました。それでもあえなく終電を逃し、今、この感想文を漫画喫茶で書いています。けっきょく一睡もできずに仕事だ……。
女性シンガーだけを集めたShangri-la主催のイベント『女神達の饗宴』の第2回が、高田馬場monoにて行なわれた。

バレンタイン・デーのこの日はアコースティック・ライブという趣向で、客席には椅子とテーブルが用意されていたが、立ち見が出るほどの盛況ぶり。

Shangri-laの二人の挨拶に続き、トップ・バッターは澄谷薫。sattinと同じく、元レースクイーンの肩書きをもつ。オリジナル曲の他に、平井堅や尾崎豊といった男性シンガーのカヴァーも披露したが、いかんせん声が可愛らしくて、男性的な力強さが感じられなかったのが残念。

二番手は佐藤ひろこ。sattinとは、共にドラマ『DEEP LOVE』の主題歌を担当したという縁がある。他の出演者が伴奏者を起用していたのに対し、彼女は自らアコギを弾き語り。飾り気のない言葉を、けだるいながらも温かな声で歌い上げるスタイルは、同性に支持されそうな雰囲気だ。

三番手は、男性ギタリストと女性シンガーのデュオ、フェルメール。女性シンガーの高橋しのぶ(CINO)は、2002年にインディー・レーベルからリリースされたsattinのデビュー・シングル『LOVE SEARCH』にバック・コーラスとして参加していたという。客席の会話を漏れ聞くところによると、この日はShangri-laのファンに加え、彼女たちのファンも多く来場していたようだった。

そしてお待ちかねのShangri-la。いつものカラオケではなく、ピアニストとギタリスト(共に男性)を伴奏に迎えた、この日のための特別アレンジ。

まずはグルーヴィーなナンバー『LOVE AFFECTION』のアコースティック・バージョンで意表を突いた後、オリジナル・ラヴ(というか中島美嘉?)のカヴァー『接吻』、abとsattinそれぞれのソロ・タイムを挟み、オリジナルのバラード『ISLAND』『GOOD NIGHT』で締める構成。

去年の「TOY BOX 2」におけるバンド・バージョンの時にも思ったが、スタジオ作品の打ち込みを使用した緻密なサウンドとは異なり、こうした生演奏によるシンプルなサウンドだと、二人の声量と表現力の豊かさがダイレクトに伝わってきて、圧倒される。

また、デビュー前のabが福岡から上京した後、しばらくクラブの専属シンガーとして歌っていたという貴重な話が聞けたのも、ファンとしては興味深いものであった。abがソロ・タイムで披露したダイアナ・ロスの『IF WE HOLD ON TOGETHER』はその当時のレパートリーで、クラブの先輩から習ったのだとか。

一方、sattinが選んだのはスティービー・ワンダーの『LATELY』。歌う前に観客に向けて歌詞の意味を解説するsattinの姿から、この歌に対する彼女の思い入れの強さが伝わってきた。

イベントの最後は、前回にはなかった新たな企画として、出演者全員のセッションが行なわれた。曲はドリカムの『LOVE LOVE LOVE』。終盤の「♪愛を叫ぼう 愛を呼ぼう」という部分では、sattinの先導の下、観客を交えて大合唱が巻き起こった。この曲を選んだのは大正解。ステージと客席が一体となり、“アツい”というよりは“あたたか”なムードで幕を閉じた。