東京お台場でSHANGRI-LAのライヴ。 CAMP & RV TECHNOLOGY ASSOCIATES(通称CTA)というキャンピング・カー愛好者団体のイベントで、テレコムセンタービルの広大な駐車場の半分を、何十台ものキャンピング・カーとテントが埋め尽くす。かねてからabはCTAと親密な間柄で、過去にもソロ、SHANGRI-LA、7117として出演していたとのこと。

開場時間は14時とあり、余裕をもって1時間ほど前に到着すると、ちょうどこれからSHANGRI-LAがリハーサルを始めるところだった。普段ファンが立ち会う機会はめったにないので、とても得した気分。CTA会員のほとんどは屋台の準備に追われており、ステージとなるトラックの前の人影はまばらだ。

そんな公開リハーサルでは、歌う前にsattinがabに「これやると声の出が良くなるよ」と声をかけて一緒にストレッチをしたり、歌っている最中にCTA会員の子供たちに手を振ったりと、なかなかレアな光景が見受けられた。また子供たちも、摘んできた可憐な野花を二人に手渡し、黒づくめの衣装に妙にマッチしていた。

当日はフリーフードの屋台も出るとのことだったが、見つけることができず。その代わり焼き鳥と牛串、餃子、唐揚の屋台が出ていた。会員が作るということで値段も100~200円と安く、しかも美味しい。あとどういうわけか気功の無料体験のテントもあった。ちなみに出演者の控え室もテント。トイレはなく、道路を渡って向かいの施設を利用する。飲み物もビールしかないのはいささか不便だが、気温が低いためあまり喉は渇かない。

ライヴは14時半頃からスタート。まずはCTA会員のジャズ・ベーシストの演奏。個人的にベースは大好きな楽器だし、ピアニストの女の子も可愛らしかったけれど、いかんせん外は寒い。ジャズといっても盛り上がれるような曲なら体を動かせるが、どちらかといえばカフェでお茶を飲みながら聴きたいムードだ。しかも、出演予定だった高校生バンドがメンバーの都合で急遽キャンセルになり、その穴を埋めるためか1時間近く演奏していたので、退屈はしなかったもののすっかり冷えてしまった。

そして16時にSHANGRI-LAが登場。二人とも、最初はリハーサルと同じく黒いダウン・ジャケットを羽織っていたが、2曲目からは脱いで、ほぼランジェリーに近いコスチュームで熱演。ステージ上にはヒーターも設置されていたとはいえ、かなり寒そう。abの臍ピアスが、シースルーのシャツを越して艶かしく光る。

セットリストは唯一の音源であるミニ・アルバムの全6曲に加え、abとsattinそれぞれのソロ・コーナーも1曲ずつ披露された。abは『恋のバカンス』、sattinは『他人の関係』。共にネットで配信されているカヴァー曲で、この日はプロデューサーの「アレンジ・キング」こと八代新平もPAとして参加していた。

アンコールでは、abとsattinのデュエットで再び『恋のバカンス』。ライヴ終了後は二人のカウントダウンに合わせて花火が打ち上げられ、終始アットホームな空気の中で幕を閉じた。

新宿で毎年恒例のイベント『GLAP』。去年はabさんがSHANGRI-LAで出演したが、今年はHYPER GO MENS(H.G.M.)と共にソロで登場した。

今年の会場は歌舞伎町のMARZ。ちなみに、つい先日はここでドイツのスラッシュ・メタル・バンドHOLY MOSESの初来日ライヴが行なわれていた(が、体調不良であえなく自粛)。

会場に入ると、小さな客席にパイプ椅子が4~5列ほど並べてある。前の方がまだ空いていたので中央付近の席を取ったら、スタッフが来て詰めるように指示される。不本意ながら左に寄ったが、開演直前になっても埋まらない。隣のお兄さんが「この期に及んだらもう大丈夫ですよねえ」と声をかけてくれて、元の場所に移動する。

ab with H.G.M.は2番手で、『VAMPIRE』と7117のレパートリー『WOO SAY』を披露。このところabさんは7117での活動がメインで、H.G.M.との競演は久しぶりだったため、とても新鮮な感じだ。

とはいえ、激しいダンスを椅子に座って観るのはなんだか調子が狂う。加えて、バックはカラオケのため『WOO SAY』の掛け声を上げるパートで自分の声が目立ってしまい、ちょっと恥ずかしかった。皆が声を出しやすいムードを作る必要があると思うのだが……。

元々「GLAP」は「ゲイとレズビアンのアコースティック・パーティー」として始まった。しかし、今やそれだけに留まらず、ハード・ロックやドラァグ・クイーンのショーなど幅広い内容となっている。静かに鑑賞するという形態は、もはやそぐわなくなっているのではないか。

ちなみに現在、H.G.M.は「W-GATE」と名前を変えたとのこと。以前はメンバーが曲に応じて増えたり減ったりしていたが、これからはメインの二人のユニットとして活動していくそうだ。

他の共演者に関しては、プロとアマが入り混じっていた去年と較べ、今年の出演者は安定した印象。司会者によると、お客も300人近く入ったらしい。イベント中頃になると席は全部埋まった。

目を惹くところでは、PERFUMEのパロディで「RERFORME(リフォーム)」というグループ。ごっつい体型のドラァグ・クイーン3名が、それぞれ【かりゆか】【あなちゃん】【だっち】という意味深な名前のキャラクターに扮し、PERFUMEのライヴをMCまで再現する。もちろん歌は口パクだが、これは元ネタも同じ。全体の動きが統一されていない感じもしたけれど、あの複雑な振り付けを体得しただけでも賞賛に値するだろう。

トリはGOLDEN ROSEの『オカマヅカ』。その名のとおり宝塚のパロディーで、あのゴテゴテしたコスチュームを纏ったNOBBY氏が、3名のコーラスとピアニスト、そして【ニセ美輪明宏】を従えて歌い踊る。面白おかしいだけでなく、NOBBY氏独特のよく通る高い声で歌い上げるバラードが、イベントのクライマックスを雄大に飾った。

なお、この『オカマヅカ』は司会者によると衣装を含めたセットに15万円かかったらしく、NOBBY氏の「GLAP」のステージにかける意気込みが伝わってくる。

そして同時に、その想いは「GLAP」の発起人にして日本のゲイ・ミュージック・シーンの立役者でもある春日亮二氏への追悼も込められている。

この日、入場者全員に春日氏のバンドgenetic LOAD PROJECTのアルバム「SOUL & SYSTEM」とその前身genetic LOADのシングル「EVERYTHING FOR YOU」のCDが無料配布され、出演者の何組かは彼らの曲をカヴァーしていた。「メロディーに言葉を詰め込みすぎていて歌いづらい」と愚痴をこぼしながら、誰もが春日氏の遺した音楽とその思想を真摯に受け止めていた。

先月18日から今月30日にかけて、千葉県佐倉市の国立歴史民俗博物館で開催されている『百鬼夜行の世界-百鬼夜行絵巻の系譜-』に足を運んだ。
http://www.rekihaku.ac.jp/events/p090718.html

「百鬼夜行絵巻」とは、深夜の町中で繰り広げられる妖怪たちのパレードを描いた巻物で、いくつかの作品が現存している。中には、過去に他の作家が描いた作品を手本に後年の作家が描き直したと思しきものが多く、妖怪のデザインや全体の構成に共通点が見い出せる。

さて歴博といえば、2001年の夏にも『異界万華鏡-あの世・妖怪・占い-』と銘打ち、3つある展示室をすべて使った大イベントを催していたが、それ以降、妖怪絡みの展示はなく、残念に思っていた。

今回の『百鬼夜行の世界』は、それほど大掛かりなものではなく、一番狭い第3展示室のみ使用。三方のガラスケースに合計8点の巻物を収めているが、スペースの都合でどれも一部分しか開示されていない。

しかし、その内の4点は、残る一方の壁に設置された大きなタッチパネルで全体像が確認できる。

中でも『百鬼ノ図』と題された1点が強く印象に残った。

百鬼夜行絵巻はただ妖怪の絵がたくさん載っているだけでなく、右から左に向かって時間軸が流れている。ほとんどの場合、夜明けを告げる雄大な太陽の図をもって幕を閉じるという趣向が定石だけれど、『百鬼ノ図』は“オチ”に当たる左側の三分の一を、おどろおどろしい黒雲が占める。しかも雲の中には、角のある四足の生き物(麒麟に似ている)にまたがった、解説の言葉を借りれば「サタンのような」妖怪のシルエットが浮かび上がっているのだ。そして、朝陽が昇ることなく、不吉な余韻を残したまま終わる――。

惜しむらくは、ガラスケースの中の実物ではこの部分が開示されていないこと。先述のとおり百鬼夜行絵巻は基本的に内容が似たり寄ったりで、『百鬼ノ図』は件の「サタン」の存在が強烈なオリジナリティを発揮しているだけに、ぜひ実物も見てみたかった。このあたりの無粋さは、妖怪好きのツボを外しているように思えてならない。

なお、図録は好評につき売り切れとなっているが(見本は置いてある)、来月7日に一般の書店でも販売されるそうだ。
本日、7117が初の単独音源にして1st(ミニ?)アルバム『PEAK PEAK PEAK』をリリース。それを記念し(日付に注目!)今やすっかりホーム・グラウンドとなった渋谷の「ルイードK2」でライブがありました。

百錬ノ鐵 アメブロ支部
アルバムはライブのレパートリー『Knock Down』『PARTY TIME』『TO』『WOO SAY』『7117』の他に、イントロのSE『Opening ~You make me feel so good~』と新曲のバラード・ナンバー『Open Your Eyes』を加えた全7曲。

バンド編成のライブではハード・ロック調のサウンドですが、アルバムは打ち込み主体のサウンドになっていて、ライブでおなじみの曲でもまったく違った印象です。さすがにライブの轟音にはかなわないものの、ボーカルにエフェクトをかけるなどスタジオ作品ならではの遊び心が感じられます。

一方、初お披露目の曲については、まずイントロは今までライブで用いられていたトライバルな曲ではなく、新たに録り下ろされたもの。abさんのスキャットをフィーチャーしたジャジーな雰囲気です(ASUKAさんのサックスは入っていませんが……)。 ライブでも、今日からこれを使っていくようです。

またバラードは、これまでのグラマラスで退廃的な7117の曲調にはない雄大な雰囲気で、abソロのバラード『ZUTTO』に通底する世界観があります。バンドの集大成であると同時に、新たな可能性を予感させる一枚となりました。 が、今回のライブではその『Open Your Eyes』は披露されず、いつもと同じセットリストでした。

とはいえ、やはりいつもと変わらぬ熱いステージ。ソロやSHANGRI-LAとは打って変わり、マイク・スタンドを立てて歌うabさんも、背中の開いたゴージャスなロング・ドレスで歌姫の貫禄たっぷりでした。

高円寺の老舗ライヴハウス「20000ボルト」。 今、アンダーグラウンドのロック・シーンでいちばんアツい「メタル・パンク」のバンドが一堂に会するイベントがあるというので足を運んだ。名付けて『BATTLEAXE GIG』(「ギグ」ってのがスゴい……)。


第1回目のこの日は、DORAIDの7インチ・シングルの発売記念を兼ねて行われた。ちなみに、メタル・パンクに限らずアンダーグラウンドでは未だなおアナログ盤の需要は根強い。

この日は開場が予定より30分ほど押したため、おかげで少し遅れて到着したにも関わらず間に合ったが(先着プレゼントのバッジも入手できた)その皺寄せで終電を逃してしまった。この備忘録はJR日暮里駅前のガストにて始発時間まで待つ間pomeraに書きつけたものである。


1.REVOLT
鎖帷子を纏ったドラマー、五寸釘リストバンドと斧で武装したベーシストというブラック・メタラーな出で立ちが目を惹くメタル・クラスト3人組。ドゥーミーなスロー・テンポに乗せてシンプルなリフをひたすら反復するスタイルは、いわゆるスーサイダル・ブラックに通じる要素も。

小手先のテクニックではなくパワー・コードの重圧感でねじ伏せるスタイルは客席をじゅうぶんに沸かせていたが、それでもいわゆるメタル・パンクのノリとは明らかに異なる。実際、曲のテーマを伝えるMCの最中も客席の話し声が止まず。トップ・バッターを飾るにはあまりにも重苦しい音楽性だったかもしれない。

2.SEX VIRGIN KILLER
ステージの壁に掲げられていた「METAL PUNK DEATH SQUAD」のバックドロップ(垂れ幕)が、彼らの出番の時だけバンドのロゴに変わる。無骨なメタル・パンクのイベントにヴィジュアル系はアウェイのような気もするが、インディーズ時代のXやAIONなどはジャパコア好きにも人気があるのだ。

もっともヴィジュアル系と言っても近頃流行りの小奇麗なホスト風ではなく、雨宮処凛の言葉を借りるなら「トラック運転手への転職を勧めたくなる」いささか前時代的なルックス。これはこれで90年代当時のシーンの雰囲気を忠実に再現している。それだけに、専任のフロントマンが欲しいところだ。

あと、隣のバンギャ(ゴスロリ風)が思いっきり自己陶酔しながら独自の振り付けでノリまくっていたのが面白かった。

3.SEX MESSIAH
スタジオ音源(デモテープ)ではリバーブのかかったボーカルが異様な雰囲気を醸し出しており、ライブでもその趣向は再現されていた。

赤を基調とした照明が、あたかもSMショーのように淫靡な空間を作り出す。ゾンビ・メイクの上にパーカーのフードをすっぽり被ったヴォーカリストの容貌も怪しさ満点(短髪も相俟ってどことなく「魔太郎」を連想させる)。さりげなくFLOWER TRAVELLIN' BAND『SATORI』ジャケットのバッジを付けていたのも見逃せない。

4.THE TESTICLES
ファスト・コア系3人組。ブラスト・ビート主体の曲調は速すぎて区別が付かないものの、軽快なスネアの音とブリブリに歪んだベースで飽きさせずに聴かせる。ポール・ディアノ時代のIRON MAIDENの名曲『RUNNING FREE』のぶち壊しカヴァーも心憎い。

5.G.A.T.E.S
MOTORHEAD直系のオーソドックスなハード・ロックであるが、それだけに要所要所で垣間見せるセンスの良いギター・プレイが凡百のMOTORHEADフォロワーとの格の違いを物語る。

ヴォーカリストとベーシストが重複しているCHURCH OF MISERYのドゥーム・ロックにはいささか一本調子に感じられた咆哮型のヴォーカリゼーションも、ここではしっかりとマッチしていた。

6.DORAID
のっけから謎の魔女っ子が登場。口上のようなものを述べているのだが、バックの演奏の音がデカすぎて聞き取れない。このバンドに限らず、イベントを通してマイクの音声が聞き取りづらかったのは反省の余地があると思う。

そんなこんなで本日の主役DORAIDも、デモ音源で聞けた強烈なヴォーカリゼーションを堪能するには今一つの音環境ではあったけれど、それでもヴォーカリストの完全にイッている目つきは鬼気迫るものがあった。また先述のSEX MESSIAHのフロントマンにしてもそうだったが、彼も黒いペイントの下の素顔はあんがい普通の人というかマジメそうな感じで、そのアンバランスさがかえって狂気を倍増していた。

また当日限定の趣向として、終盤に差し掛かるとゲストのJEROが加わり、ABIGAIL/BARBATOSの代表曲『PROPHECY OF THE EVENING STAR』を披露した。