新宿で毎年恒例のイベント『GLAP』。去年はabさんがSHANGRI-LAで出演したが、今年はHYPER GO MENS(H.G.M.)と共にソロで登場した。

今年の会場は歌舞伎町のMARZ。ちなみに、つい先日はここでドイツのスラッシュ・メタル・バンドHOLY MOSESの初来日ライヴが行なわれていた(が、体調不良であえなく自粛)。

会場に入ると、小さな客席にパイプ椅子が4~5列ほど並べてある。前の方がまだ空いていたので中央付近の席を取ったら、スタッフが来て詰めるように指示される。不本意ながら左に寄ったが、開演直前になっても埋まらない。隣のお兄さんが「この期に及んだらもう大丈夫ですよねえ」と声をかけてくれて、元の場所に移動する。

ab with H.G.M.は2番手で、『VAMPIRE』と7117のレパートリー『WOO SAY』を披露。このところabさんは7117での活動がメインで、H.G.M.との競演は久しぶりだったため、とても新鮮な感じだ。

とはいえ、激しいダンスを椅子に座って観るのはなんだか調子が狂う。加えて、バックはカラオケのため『WOO SAY』の掛け声を上げるパートで自分の声が目立ってしまい、ちょっと恥ずかしかった。皆が声を出しやすいムードを作る必要があると思うのだが……。

元々「GLAP」は「ゲイとレズビアンのアコースティック・パーティー」として始まった。しかし、今やそれだけに留まらず、ハード・ロックやドラァグ・クイーンのショーなど幅広い内容となっている。静かに鑑賞するという形態は、もはやそぐわなくなっているのではないか。

ちなみに現在、H.G.M.は「W-GATE」と名前を変えたとのこと。以前はメンバーが曲に応じて増えたり減ったりしていたが、これからはメインの二人のユニットとして活動していくそうだ。

他の共演者に関しては、プロとアマが入り混じっていた去年と較べ、今年の出演者は安定した印象。司会者によると、お客も300人近く入ったらしい。イベント中頃になると席は全部埋まった。

目を惹くところでは、PERFUMEのパロディで「RERFORME(リフォーム)」というグループ。ごっつい体型のドラァグ・クイーン3名が、それぞれ【かりゆか】【あなちゃん】【だっち】という意味深な名前のキャラクターに扮し、PERFUMEのライヴをMCまで再現する。もちろん歌は口パクだが、これは元ネタも同じ。全体の動きが統一されていない感じもしたけれど、あの複雑な振り付けを体得しただけでも賞賛に値するだろう。

トリはGOLDEN ROSEの『オカマヅカ』。その名のとおり宝塚のパロディーで、あのゴテゴテしたコスチュームを纏ったNOBBY氏が、3名のコーラスとピアニスト、そして【ニセ美輪明宏】を従えて歌い踊る。面白おかしいだけでなく、NOBBY氏独特のよく通る高い声で歌い上げるバラードが、イベントのクライマックスを雄大に飾った。

なお、この『オカマヅカ』は司会者によると衣装を含めたセットに15万円かかったらしく、NOBBY氏の「GLAP」のステージにかける意気込みが伝わってくる。

そして同時に、その想いは「GLAP」の発起人にして日本のゲイ・ミュージック・シーンの立役者でもある春日亮二氏への追悼も込められている。

この日、入場者全員に春日氏のバンドgenetic LOAD PROJECTのアルバム「SOUL & SYSTEM」とその前身genetic LOADのシングル「EVERYTHING FOR YOU」のCDが無料配布され、出演者の何組かは彼らの曲をカヴァーしていた。「メロディーに言葉を詰め込みすぎていて歌いづらい」と愚痴をこぼしながら、誰もが春日氏の遺した音楽とその思想を真摯に受け止めていた。