高円寺の老舗ライヴハウス「20000ボルト」。 今、アンダーグラウンドのロック・シーンでいちばんアツい「メタル・パンク」のバンドが一堂に会するイベントがあるというので足を運んだ。名付けて『BATTLEAXE GIG』(「ギグ」ってのがスゴい……)。


第1回目のこの日は、DORAIDの7インチ・シングルの発売記念を兼ねて行われた。ちなみに、メタル・パンクに限らずアンダーグラウンドでは未だなおアナログ盤の需要は根強い。

この日は開場が予定より30分ほど押したため、おかげで少し遅れて到着したにも関わらず間に合ったが(先着プレゼントのバッジも入手できた)その皺寄せで終電を逃してしまった。この備忘録はJR日暮里駅前のガストにて始発時間まで待つ間pomeraに書きつけたものである。


1.REVOLT
鎖帷子を纏ったドラマー、五寸釘リストバンドと斧で武装したベーシストというブラック・メタラーな出で立ちが目を惹くメタル・クラスト3人組。ドゥーミーなスロー・テンポに乗せてシンプルなリフをひたすら反復するスタイルは、いわゆるスーサイダル・ブラックに通じる要素も。

小手先のテクニックではなくパワー・コードの重圧感でねじ伏せるスタイルは客席をじゅうぶんに沸かせていたが、それでもいわゆるメタル・パンクのノリとは明らかに異なる。実際、曲のテーマを伝えるMCの最中も客席の話し声が止まず。トップ・バッターを飾るにはあまりにも重苦しい音楽性だったかもしれない。

2.SEX VIRGIN KILLER
ステージの壁に掲げられていた「METAL PUNK DEATH SQUAD」のバックドロップ(垂れ幕)が、彼らの出番の時だけバンドのロゴに変わる。無骨なメタル・パンクのイベントにヴィジュアル系はアウェイのような気もするが、インディーズ時代のXやAIONなどはジャパコア好きにも人気があるのだ。

もっともヴィジュアル系と言っても近頃流行りの小奇麗なホスト風ではなく、雨宮処凛の言葉を借りるなら「トラック運転手への転職を勧めたくなる」いささか前時代的なルックス。これはこれで90年代当時のシーンの雰囲気を忠実に再現している。それだけに、専任のフロントマンが欲しいところだ。

あと、隣のバンギャ(ゴスロリ風)が思いっきり自己陶酔しながら独自の振り付けでノリまくっていたのが面白かった。

3.SEX MESSIAH
スタジオ音源(デモテープ)ではリバーブのかかったボーカルが異様な雰囲気を醸し出しており、ライブでもその趣向は再現されていた。

赤を基調とした照明が、あたかもSMショーのように淫靡な空間を作り出す。ゾンビ・メイクの上にパーカーのフードをすっぽり被ったヴォーカリストの容貌も怪しさ満点(短髪も相俟ってどことなく「魔太郎」を連想させる)。さりげなくFLOWER TRAVELLIN' BAND『SATORI』ジャケットのバッジを付けていたのも見逃せない。

4.THE TESTICLES
ファスト・コア系3人組。ブラスト・ビート主体の曲調は速すぎて区別が付かないものの、軽快なスネアの音とブリブリに歪んだベースで飽きさせずに聴かせる。ポール・ディアノ時代のIRON MAIDENの名曲『RUNNING FREE』のぶち壊しカヴァーも心憎い。

5.G.A.T.E.S
MOTORHEAD直系のオーソドックスなハード・ロックであるが、それだけに要所要所で垣間見せるセンスの良いギター・プレイが凡百のMOTORHEADフォロワーとの格の違いを物語る。

ヴォーカリストとベーシストが重複しているCHURCH OF MISERYのドゥーム・ロックにはいささか一本調子に感じられた咆哮型のヴォーカリゼーションも、ここではしっかりとマッチしていた。

6.DORAID
のっけから謎の魔女っ子が登場。口上のようなものを述べているのだが、バックの演奏の音がデカすぎて聞き取れない。このバンドに限らず、イベントを通してマイクの音声が聞き取りづらかったのは反省の余地があると思う。

そんなこんなで本日の主役DORAIDも、デモ音源で聞けた強烈なヴォーカリゼーションを堪能するには今一つの音環境ではあったけれど、それでもヴォーカリストの完全にイッている目つきは鬼気迫るものがあった。また先述のSEX MESSIAHのフロントマンにしてもそうだったが、彼も黒いペイントの下の素顔はあんがい普通の人というかマジメそうな感じで、そのアンバランスさがかえって狂気を倍増していた。

また当日限定の趣向として、終盤に差し掛かるとゲストのJEROが加わり、ABIGAIL/BARBATOSの代表曲『PROPHECY OF THE EVENING STAR』を披露した。