新大久保EARTHDOMにて行なわれた、 デンマークのパンク・ロック・バンド、THE ASSAINNATORS の初来日ツアー千秋楽に足を運びました。

ヴォーカリスト、ギタリスト、ベーシストが女性、 もう一人のギタリストとドラマーが男性という、男女混合編成の5人組です。

来日ツアーといっても日本ではいまだ知名度の低いバンドで、 かく言う僕も来日するというニュースを聞いた時に初めてその存在を知ったクチ。

ただ、女性ヴォーカルのバンドが好きなので、とりあえずmyspaceでチェックしてみると、 繊細に紡がれるツイン・リードに乗せて、けれん味たっぷりの女性シンガーがちょっと捻りの利いたメロディーを歌い上げる、 まさに僕好みのサウンドでした。

たとえるならガレージ・パンクのバンドがIRON MAIDENをカヴァーしているみたいで(実際、2名いるギタリストの内、女性の方は肩に鋲を打った黒いベストにメイデンのパッチを貼っていました)、USエピック・メタルにも通じる悲壮な雰囲気があります。

軽快なサウンド・プロダクションも相俟って、 情熱的ではあってもどこかドライな質感を漂わせているところが、 やはり「メタル」でなく「パンク」にカテゴライズされる所以なのでしょうか。

しかし、実際のライヴは音源の印象と違って、グラマーな女性シンガーがステージ前方を所狭しと飛び回り、 時には客席にダイブまでする激しいパフォーマンスでした。 3人の弦楽器奏者が1列に並んで同じポーズを決める、 80年代ヘヴィ・メタル特有のアクションもばっちり。

途中、男性の方のギターにトラブルが発生し(弦切れ?)、 ツイン・ギターがシングルになるというアクシデントはあったものの、 進行上はまったく滞りなく大盛況の内に幕を下ろしました。

サポートを務めたバンドについても触れておきましょう。以下、出演順。

・THE HAT TRICKERS
バイオリン奏者を擁する6人組。
メンバーはブラック・メタルを思わせる不気味な白黒メイクの上に鼻先が嘴のように尖った奇怪なマスクを付け、 さらにスモークを焚くというシアトリカルな演出が目を惹きます。
外見からするとTHE MISFITSのようなホラー・パンクを連想しますが、 実際の曲調はもっと明るくポジティブ。 さらにバイオリンが加わることで、 トラッドに通じる牧歌的なムードを醸し出し、 さながら「パンク版コピルクラーニ」といった趣でした。 僕の隣にいた、バンドのTシャツを着た女の子が、 すごく楽しそうにノっていたのが印象的に残っています。

・ALLIANCE
見た目からして年季が入っていそうな、 いかつい男性4人組メタル・クラスト。
緩急を付けたドラマチックな展開を、 手数の多いリズム隊とシンプルながらツボを押さえたギターが盛り上げます。

・DSB
男性4人組のオーソドックスなハード・コア・パンク。
異常にテンションの高い男性ヴォーカリストが、 ひたすら客席にダイブしまくる。
視覚的なインパクトの一方、 音楽的には一本調子の似たような曲が多くて、 しだいに飽きてきましたが、
途中から女性シンガーが参加。 けっこう色っぽい歌声を絡めてアクセントを付け、 持ち直した格好です。

・EXTINCT GOVERNMENT
かつては内田裕也主催の「ニュー・イヤー・ロック・フェスティバル」にも出演した、日本のハード・コア・シーンを代表する4人組です。
めちゃくちゃ長いスパイキー・ヘアのヴォーカリストが象徴するとおり、 音楽性はまさしくG.B.H、THE EXPLOITED直系。 ただ、アグレッシブな中にも良い意味でのルーズさが感じられるのは、 さすがベテランの余裕といったところでしょうか。
曲が終わるたび、ヴォーカリストが床に置いてある(というか落ちている)曲順表を確認し、読み終えたらまた投げ捨てる仕草が印象的でした。
たしか僕が高校生くらいの時に読んだバンド初心者向けのマニュアル本に「曲順表は客席から見えるとカッコ悪いので、 自分たちだけに見える場所に貼りましょう」 と書いてありましたが、そんなマニュアルなんて関係ねぇ!  と言わんばかりの堂々とした曲順確認が、まさに本物のパンクスって感じでカッコ良かったです。 これぞ「完全パンクマニュアル」!?
BATTLETORNというアメリカのマイナーなスラッシュ・コア・バンドが来日するというので観に行ってきた。会場は新宿の先にある中野のMOONSTEP。

日本のバンドも5組出演。ABIGAILとFASTKILLのスラッシュ・メタル勢と、その他のスラッシュ・コア勢、そして両者の中間に位置するBATTLETORNというふうに色分けできる。

これまで何度も観たABIGAILとFASTKILLは相変わらずの充実したステージだったが、スラッシュ・コア勢に関してはあまり馴染みがないこともあるだろうが、どのバンドも素人臭さが拭えず、のめりこめなかったのが正直なところ。ぼんやり他の事を考えている間に終わってしまったという感じ。元々、僕はスラッシュ・メタルでもHELLHAMMERやVENOM、BATHORYといったドロドロしたサタニックなバンドが好きなので、ああいったファニーなノリ(「タケコプター」を付けたギタリスト!)は体質に合わないのかもしれないが。

そんな中、トップバッターで登場したMAD MANIAXというバンドは、異常に歪みまくったベースとクリーントーンの軽快なギター・サウンドの対比が心地良く、また松浦亜弥のようなキモい振り付け(あやや自体はキモくないけど)で踊り狂う男性ヴォーカリストの様子がおかしかった。これが「ジェンダー・フリー」というやつなんだろうか? それだけに、貧弱な発声が残念。

本日の主役であるBATTLETORNは、前述したサタニック・スラッシュ、特にHELLHAMMERを髣髴とさせる中音域を強調した生々しいファズ・サウンドとパワー・コード主体のリフを、スラッシュ・コアの極端にシンプルな曲構成(ほとんどの曲が1分以内)に乗せてひたすら押しまくるスタイルが特徴。だが、ベースレスという変則的な編成もあるのだろうが、やはりABIGAILやFASTKILLに較べたらずいぶんこじんまりとした印象だった。

BATTLETORNはどちらかというとそうした“ショボさ”が独特の味わいにつながっているバンドなので、完成度を求めるのは野暮なのだということは十分承知しているつもりだが、同様に80年代のアンダーグラウンドなスラッシュ・メタルを基盤に置きつつも、楽曲や演奏はA級のクオリティを誇るABIGAILとFASTKILLに較べたら、どうにも見劣りがする。せめて専任の女性ヴォーカルがまだ在籍していた頃なら印象も違っただろうが……。

「本日の主役はBATTLETORN」と書いたが、トリを務めたのはABIGAIL。フロアー全体のノリも、あくまで様子見といった感じのBATTLETORNとはうってかわって最高潮。元々ABIGAILはBATTLETORN側の要請で出演が決定したということで、BATTLETORNのメンバーも観客として最前列で暴れまくる。演奏終了後は、ABIGAILのJEROさんとBATTLETORNのヴォーカル兼ギタリストがガッチリと抱き合う、心温まる光景も見られた。
(ところで、1stアルバム以前の初期楽曲は今とは音楽性も違うので仕方ないにせよ、2ndアルバムの曲まで封印してしまったんでしょうか?)

最後に、まったく関係ないけれど、僕のスラッシュ・メタル名盤ベスト5を挙げておく。

1.HELLHAMMER / APOCALIPTIC RAIDS
2.WHIPLASH / POWER AND PAIN
3.METALLICA / KILL 'EM ALL
4.SLAYER / SHOW NO MERCY
5.VENOM / WELCOME TO HELL
日本ゴス界の重鎮、ジュネ率いるAUTO-MODがニュー・アルバム『EASTERN GOTHIC』を発表した。

バンドの結成は、1980年に遡る。「ゴス」というとマニアックなイメージがあるけれど、80年代には後にBOØWYを結成する布袋寅泰と高橋マコト、そして後にPERSONZを結成する渡辺貢も在籍していた。
 
とくに、実質上はジュネと布袋のデュオとなった2ndアルバム『DEATHTOPIA』は、後にBOØWYでも発揮される布袋の軽快なポップ・センスをベースに、ジュネの呪術的なヴォーカリゼーションとシアトリカルな演出が結実した傑作である。

他の作品も、ジュネ独自の退廃的美学(しばしば「見世物小屋的」と評される)によって統一されてはいるが、それぞれ音楽性は異なり、なおかつ「外タレのコピー」とは無縁のオリジナリティを提示していた。

85年に一旦解散。その後、ジュネはGENETIC VOODOO、THE HIPS、ROCK OF ROMANCEなどを率いて活動していたが、95年に「AUTO-MOD 1999」として再結成。翌年、名義を「AUTO-MOD」に戻した。
 
今やオリジナル・メンバーはジュネのみだが、ゴス系のオールナイト・イベント「TOKYO DARK CASTLE」をオルグし、若手バンドたちと共に日本のゴス・シーンの活性化を図っている。

再結成後のAUTO-MODは、80年代とは打って変わって、MARILYN MANSONやRAMMSTEINを意識したモダン・ヘヴィネスを追及しており、『EARTERN GOTHIC』もその延長線上にある。
 
とはいえ、ただ勢いで攻めるだけではない。冒頭を飾る賛美歌風のアカペラ『Der Teufel』を、エンディング曲『Lucifer's Song』では妖しげなパーカッションのリズムに乗せ、まったく違う印象に作り変えた。こうした創意工夫が細部に行き届いており、めくるめく魔界のファンタジアを繰り広げる。

……しかし、それでいて物足りなさを覚えるのも事実だ。80年代のAUTO-MODは、日本はおろか海外にも類を見ない唯一無比のサウンドを提示していたのに対し、再結成後の作品は、舶来品のヘヴィ・ロックを下地に独自の世界観を加えたというニュアンスが強い。よって、バンドの最大の魅力であった「オリジナリティ」が薄らいでしまった感は否めない。

とはいえ、キャリアの長いバンドにありがちなノスタルジーやマンネリに陥ることなく、最新モードの「ゴス」を提示した『EARTERN GOTHIC』は、AUTO-MODが“過去”でなく“現代”を生きるバンドであることを証明している。

実際、本作と同時発売されたTOKYO DARK CASTLE出演アーティストのオムニバス『TOKYO DARK CASTLE』に、本作収録曲の『DEVIL DANCE』を提供しているが、クオリティ、オリジナリティ、そして音圧、いずれをとっても若手たちに一歩も引けを取っていない。

“今”の彼らがアグレッシブに突き進むからこそ、AUTO-MODの歴史の意義はいっそう重みを増すのである。 

MYSPACE→http://www.myspace.com/automod

2006年3月に推定少女が解散してから、1年半が経った。今でも推定少女の音楽は私のオール・タイム・フェバリットである。


惜しむらくは、彼女たちがライブ映像を作品として残さなかったことだ。


推定少女は歌唱力や楽曲のクオリティもさることながら、ライブで披露するダンスのカッコ良さも大きな魅力だった。グラマラスな肢体からダイナミックに繰り出されるアクションは、淫靡なムードの中に十代の少女ならではの瑞々しさが溢れていた。


デビュー当初はまだ中学生だったにも関わらず、セクシーさを強調した過激なイメージで知られる彼女たちであったが、それはあくまでもエンターテイナーとしての実力に裏打ちされたものであり、けっしてお色気に依存するだけのキワモノではなかったのである。


しかし、いくらヴィジュアル面に力を注いでも、それをセールスに繋げられなかったら意味がない。その点において推定少女は、傍から見ていてもどかしくなるくらい不器用だった。


まず、初めての映像作品は、1stアルバム『sixteen』の初回限定版に付属したDVD。シングル曲のミュージック・クリップ集だった。


しかし、もし単体で発売したとしても、ファンなら同時に購入するはず。せっかくお金にできるはずのコンテンツをふいにしてしまったのである。しかも、初回限定版でしか観ることができないということは、世間に広くアピールする機会を減らしてしまったということ。2重の意味で、明らかな戦略ミスだ。


次にリリースされたのは、テレビ東京の深夜に放映されていた『推定学園26時』のDVD。推定少女のユニークなキャラクターが楽しめる番組で、私個人としてもあの番組をきっかけに推定少女を知ったということで思い入れがあり、商品化は嬉しいかぎりだった。


ところが、その発売に先立って、あろうことかネットの動画配信サイトで無料放送してしまったのである。番組をリアルタイムで観て、もう一度観てみたいと思っていた人でも、ただで観られるのならわざわざ高い金を出してDVD買ったりはしない。またしても、優れたコンテンツをお金に換えるチャンスを逃がしてしまった。


その後、推定少女はさらにわけのわからない商業展開をする。『振動』『チョコレート』『Chewing Girl』の3曲を、なぜかシングルDVDとして発表(シングルCDとしてはリリースされなかった)。しかも、それらのクリップは後に発表されたDVD『17's Heaven』にも収録される。わざわざ1枚1枚揃えるのは、それこそやはり熱心なファンくらいなものだろう。


『17's Heaven』発売から1年を待たずして、推定少女は解散した。発表の唐突さや、メンバーおよびスタッフのぎこちない反応から推察するに、その理由がけっしてポジティブなものでなかったことは明白だ。やはり、商業的失敗によるものと考えるのが妥当であろう。


しかし、私は断言したい――

推定少女は「売れなかった」のではない。「売らなかった」のだ。


新宿の「初台WALL」にて、 ABIGAILの結成15周年記念ライブが行なわれました。


80年代後半、まだブラック・メタルが本当にアンダーグラウンドでしか認知されていなかった頃から、ひたすら邪悪さと初期衝動を追求したスタイルを打ち出し、その後、バンドのルーツである80年代スラッシュに傾倒。 近年はさらに先祖返りして、MOTORHEAD、VENOM、ZADKIELの流れを汲む爆走ロックンロールを演奏している男性3人組のバンドです。


メタル・クラストの新星REVOLTがトップバッターを飾った時点で、すでに客席は満員。その後、知らない間に謎の女性サックス奏者が加入していたSIGH、 演奏中に感極まったギタリストが途中でギターを放り出して客席にダイブする驚異のスラッシャーFASTKILLと続き、いよいよ本日の主役ABIGAILが登場です。


20曲プレイするとのことで、演る側はもちろんのこと、観る側の僕の体力が持つか少し心配していたのですが、 終始テンションが途切れることはなく、 あっという間に時間が過ぎていきました。


この日の見所は、 それまでフレットレスだったYasuyukiさんのベースがフレッテッドになっていたこと。それによって音の輪郭が引き締まり、いっそうアグレッシブになりました。 正直、フレットレスだと音色がマイルドになってしまい、迫力に欠ける感じがしていたので、 この変更は大正解だと思います。ただ、ピンク色というのはABIGAILのいかついイメージに似合わないのでは……。

 

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思い起こせば、僕が初めてABIGAILのライヴを観たのは、今から12年前、まだ彼らがメイク(コープス・ペイント)をしていた頃。


目黒の「ライブ・ステーション」で行なわれた、ブラック・メタルのイベントでした。 当時、僕は高校生になったばかりで、 学校の帰りに駅のトイレで着替えてから観に行ったのを覚えています。


競演は、SABBAT、SIGH、CATAPLEXY、AMDUSCIAS。 ABIGAILはトップバッターで登場しました。


さて、今でこそ日本のメタル・シーン屈指の実力派として知られるABIGAILですが、当時の彼らのパフォーマンスはまだアマチュアの域を出ておらず、 まばらな観客は誰もノっていませんでした(耳を塞いでる人までいた……) 。


先ごろCD化された当時のデモ音源を聞くと、もう腰を抜かすほど壮絶な内容なのですが、なぜかその勢いをライブで再現することはできなかったようです。


ところが、それからしばらく経った後、フィンランドのブラック・メタル・バンドIMPALED NAZARENEの来日公演でサポート・アクトを務めたABIGAILは、 見違えるほどカッコいいバンドになっていました。


もはやメイクこそしていませんでしたが、その代わりに、ただ勢いだけで攻めるのではなく、スラッシュ・メタルの黄金時代をリアルタイムで体験した者だからこそ背負うことのできる貫禄が滲み出ていました。


ちょうどこの日は、イタリアが誇る伝説のスラッシュ・メタル・バンドBULLDOZERのカヴァーも披露され、それをきっかけに、僕も80年代のスラッシュ・メタルにのめりこむようになります。 


以来、ABIGAILは、リアルタイムで活動している日本のバンドの中でも、ひときわ注目している存在です。病気を理由に脱退したギタリストの後任として、僕がかつて在籍していたバンドのメンバーであるJEROさんが加入したことにも、なんとなく運命的なものを感じています。


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ハードコアからNWOBHMまで幅広く弾きこなすJEROさんが加入したことによって、ABIGAILのサウンドはさらに深みを増しました。また、メタル・パッチずくめのベストを着たJEROさんとYasuyukiさんが二人並ぶ様はものすごい威圧感で、ヴィジュアル的にも充実しています。


欲を言えば、バンドとして絶頂にある今のABIGAILで、ぜひ初期の曲をリメイクして欲しかった……。


ファンジンのインタビューでは速すぎてもう演れないなんて言ってたけど、この日のライブを観るかぎりでは大丈夫! まだまだイケますって!!


(……と、mixiの日記に書いたら「もう勘弁してくれよ~」と言われました笑)