新宿の「初台WALL」にて、 ABIGAILの結成15周年記念ライブが行なわれました。


80年代後半、まだブラック・メタルが本当にアンダーグラウンドでしか認知されていなかった頃から、ひたすら邪悪さと初期衝動を追求したスタイルを打ち出し、その後、バンドのルーツである80年代スラッシュに傾倒。 近年はさらに先祖返りして、MOTORHEAD、VENOM、ZADKIELの流れを汲む爆走ロックンロールを演奏している男性3人組のバンドです。


メタル・クラストの新星REVOLTがトップバッターを飾った時点で、すでに客席は満員。その後、知らない間に謎の女性サックス奏者が加入していたSIGH、 演奏中に感極まったギタリストが途中でギターを放り出して客席にダイブする驚異のスラッシャーFASTKILLと続き、いよいよ本日の主役ABIGAILが登場です。


20曲プレイするとのことで、演る側はもちろんのこと、観る側の僕の体力が持つか少し心配していたのですが、 終始テンションが途切れることはなく、 あっという間に時間が過ぎていきました。


この日の見所は、 それまでフレットレスだったYasuyukiさんのベースがフレッテッドになっていたこと。それによって音の輪郭が引き締まり、いっそうアグレッシブになりました。 正直、フレットレスだと音色がマイルドになってしまい、迫力に欠ける感じがしていたので、 この変更は大正解だと思います。ただ、ピンク色というのはABIGAILのいかついイメージに似合わないのでは……。

 

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思い起こせば、僕が初めてABIGAILのライヴを観たのは、今から12年前、まだ彼らがメイク(コープス・ペイント)をしていた頃。


目黒の「ライブ・ステーション」で行なわれた、ブラック・メタルのイベントでした。 当時、僕は高校生になったばかりで、 学校の帰りに駅のトイレで着替えてから観に行ったのを覚えています。


競演は、SABBAT、SIGH、CATAPLEXY、AMDUSCIAS。 ABIGAILはトップバッターで登場しました。


さて、今でこそ日本のメタル・シーン屈指の実力派として知られるABIGAILですが、当時の彼らのパフォーマンスはまだアマチュアの域を出ておらず、 まばらな観客は誰もノっていませんでした(耳を塞いでる人までいた……) 。


先ごろCD化された当時のデモ音源を聞くと、もう腰を抜かすほど壮絶な内容なのですが、なぜかその勢いをライブで再現することはできなかったようです。


ところが、それからしばらく経った後、フィンランドのブラック・メタル・バンドIMPALED NAZARENEの来日公演でサポート・アクトを務めたABIGAILは、 見違えるほどカッコいいバンドになっていました。


もはやメイクこそしていませんでしたが、その代わりに、ただ勢いだけで攻めるのではなく、スラッシュ・メタルの黄金時代をリアルタイムで体験した者だからこそ背負うことのできる貫禄が滲み出ていました。


ちょうどこの日は、イタリアが誇る伝説のスラッシュ・メタル・バンドBULLDOZERのカヴァーも披露され、それをきっかけに、僕も80年代のスラッシュ・メタルにのめりこむようになります。 


以来、ABIGAILは、リアルタイムで活動している日本のバンドの中でも、ひときわ注目している存在です。病気を理由に脱退したギタリストの後任として、僕がかつて在籍していたバンドのメンバーであるJEROさんが加入したことにも、なんとなく運命的なものを感じています。


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ハードコアからNWOBHMまで幅広く弾きこなすJEROさんが加入したことによって、ABIGAILのサウンドはさらに深みを増しました。また、メタル・パッチずくめのベストを着たJEROさんとYasuyukiさんが二人並ぶ様はものすごい威圧感で、ヴィジュアル的にも充実しています。


欲を言えば、バンドとして絶頂にある今のABIGAILで、ぜひ初期の曲をリメイクして欲しかった……。


ファンジンのインタビューでは速すぎてもう演れないなんて言ってたけど、この日のライブを観るかぎりでは大丈夫! まだまだイケますって!!


(……と、mixiの日記に書いたら「もう勘弁してくれよ~」と言われました笑)