カツ丼で有名な店「だて 」
久しぶりに行ってみたくなり
九州アニキと強烈個性を案内して暖簾をくぐった。
小さく汚い店ながら昔と変わらず盛況だ。
大学時代、岡山に遊びに行ったときに
気のおけない仲間、大切な友達であるトロブやツウと
一緒に食ったカツ丼。
くさい言い方をするならば『青春の味』てやつだ。
自分の前途は洋々と開けていると信じ切っていた学生時代。
何にでもなれる気がしたし、未来は無限の可能性を秘めていた。
10年経った今、俺は同じカツ丼を強烈個性と一緒に食っている。
どこで人生の歯車が狂ってしまったのだろうか・・・。
店内のテレビには久しぶりに観るワイドショー番組。
食い入るように見つめる強烈個性。
険しいその表情、その横顔は
確実に、ゴリラに似ていた。
お待ちかねの「カツ丼セット(小さいラーメン付き)」を貪るように食べる強烈個性。
いつも思うだが彼の飲んだり食べたりする姿は
まるで野犬のようだ。
『この店ええなぁ・・・
気に入ったわ。毎日ここに来よう』
満足そうに言う強烈個性。
その割には量が多かったのかカツ丼をしっかりと残していた。
「だて」の帰り道、腹いっぱいになったのか
俺と九州アニキの歩くペースについてこれず、
途中、姿が見えなくなる強烈個性。
事務所のあるビルの前で待っていると
人混みの中からヨタヨタと現れた強烈個性。
ダッシュしてこちらに向かおうとするも
後先顧みず信号無視するもんだから、車に轢かれそうになっていた。
それで終わりかと思えばさにあらず
次の日の昼食も
「石○マネージャー、
今日もあの店いけへんの?」
としっかりと誘われた。
正直、脂っこいものを二日連続はきつかったが
お付き合いでまたまた「だて」にカツ丼を食べに行った。
いつものように大声でギャーギャー騒ぎながら歩く強烈個性。
「怒り顔」に似合わない甲高い声、ガニ股で早足。
正直、一緒に歩くことで仲間だと思われるのは嫌だった。
23時間ぶりに「だて」に到着。
前回のボリュームに懲りたのか
今度はラーメンセット(小さいカツ丼付き)を頼む強烈個性。
俺は別のテーブルに座ったので
静かに食事が出来たが、九州アニキは同席したので大変そうだった。
(とにかく話しかけてくるんだ、これが)
2日連続とは言え、もともと嫌いな味じゃないので
余裕で全部平らげた俺と九州アニキ。
しかし・・・
強烈個性は2日連続でカツ丼を残していた。
食えねーんだったら
最初から誘うんじゃねーよ!!!



。




」