ハイになるくらい忙しい一日だった。
食事に行く時間も取れないほどあちこちでやることがあり、
しかもそれがすべて応用編とくるのだから堪らない。
激動の4月から時間が経ち、
「そろそろ落ち着いてきましたか?」
とチラホラ聞かれるようになったが
答えは否である。
やることが全く見えなかったちょっと前より
何となく見え始めた今は
その果てしない作業に気が遠くなるし
実際に色んな対応に追われドンドン仕事はたまる一方。
あちこちでプチ事件が勃発し
それを処理するだけでも精一杯で
新しい人の教育もままならず
彼らのモチベーション維持にも神経をすり減らし
顧客は以前と変わらぬサービスを当然のように
要求するものの、こちらはどんなサービスなのか
さっぱり分からず、それでまた駈けずり回る。
しかも責任あるポジションにいる俺は
以前と同様、たくさんのことを求められるのは変わらない。
慣れない新幹線通勤も体力の消耗に拍車をかけている。
一日の終わり
不特定多数の人間が乗り降りしたであろうややおっさん臭のする
新幹線のタバコの煙でやや霞む車両に乗る。
眠り呆けるサラリーマン達
チンピラ風のおっさん。
ブスのOL。
その中に混じる疲れ果てた俺。
この前は靴下まで脱ぎ
素足であぐらをかいて座るおばさんが窓の向こうを
じっと見据えていた。
『貧乏くじ』
俺は4月にそれを確実に引いてしまった。
「運命がその人の性格を導くのではない。
その人の性格が運命を導くのだ。」
何かで読んだ言葉。
こんな状況に陥る俺の運命。
俺ってそんなに性格が悪いのか?

強烈個性と俺
なぜか一緒に量販店に買い物に行くことになり
やっと見つけた現物限りの格安商品を
「これ2000円まけて」とさらに値切る強烈個性。
動揺したのだろう。
「すみません・・・こちらは現物限りの商品になりますので・・・分かりました。」
気の弱そうな若い店員さんは文法的に不可解な言葉を発し
その場で2000円値引きしてくれた。