はじめに
こんにちは、Burdonです。地方の鉄道路線が存続の危機に瀕している現状を、私は何度も目の当たりにしてきました。今回のテーマは、人口減少と輸送密度の減少について、特に輸送密度の減少が人口減少を上回るケースを検証するというものです。路線が廃止される原因は利用者数の減少にありますが、その減少が地域の人口減少以上に進んでいるとなると、その地域の公共交通の存在価値が問われてしまいます。今回は、JR九州、四国、北海道の路線を対象に、利用者数の減少度合いを詳しく見ていきます。
参考動画:沿線人口減少よりも、輸送密度減少が深刻な路線ランキング【JR北海道、JR九州、JR四国編】
概要
今回の企画は、人口減少以上に輸送密度が減少している路線をランキング形式で取り上げます。この指標によって、どの路線が特に深刻な状況にあるかが明らかになります。計算方法は、1987年の国鉄分割民営化時と2023年現在の輸送密度の差を測定し、さらに1985年と2020年の国勢調査による沿線人口の変化を比較しました。人口の減少率が高いほど利用者の減少も当然といえば当然ですが、逆に人口がそれほど減っていないにもかかわらず輸送密度が激減している路線こそ、問題が深刻です。
📊 JR九州の路線
まずはJR九州の路線を見ていきます。1987年から2023年までの輸送密度の変化を確認すると、最も大きな減少を見せたのは筑豊本線の桂川〜原田区間です。この路線は、1987年当時3000に近い輸送密度を誇っていたものの、2023年にはわずか384まで減少。減少ポイントとしては実に87.1ポイントに達しており、最も大きな落ち込みを見せました。
一方で、沿線人口に目を向けると、実はこの区間の人口は減少していないどころか、むしろ増加しているのです。1985年から2020年までの人口変化を見ると、12.4ポイントの増加が見られました。つまり、人口が増えているにもかかわらず、輸送密度は大幅に減少しているという、非常にまずい状況が浮かび上がってきます。この結果から、筑豊本線の桂川〜原田区間は「利用されていない」路線としてワースト1位に輝いてしまいました。
🛤️ JR四国の路線
次にJR四国の路線を見ていきます。こちらも多くの路線が輸送密度を大幅に減少させていますが、最も大きな減少を見せたのは牟岐線の阿南〜牟岐区間でした。1989年の輸送密度が1817だったものが、2023年には427まで落ち込みました。76.5ポイントという大幅な減少です。
この区間の人口は、他の地域と同様に減少しており、2020年には1985年と比べて37.4ポイントの減少が見られました。人口の減少が激しい地域であれば、輸送密度の減少もある程度は理解できますが、ここまでの減少は驚きです。一方、鳴門線は減少率が比較的小さく、1989年から2023年まででわずか2.9ポイントの減少にとどまっています。
❄️ JR北海道の路線
最後にJR北海道を見てみましょう。北海道は人口減少が特に著しい地域ですが、ここでも輸送密度の減少が顕著です。特に室蘭本線の沼ノ端駅〜岩見沢駅区間では、1987年には1629の輸送密度があったものの、2023年には325にまで落ち込みました。減少ポイントは80ポイントで、これはJR北海道の中でも特に大きな数値です。
人口の減少も激しく、特に留萌本線の深川〜石狩沼田区間では、1985年と比べて41.9ポイントも減少しており、輸送密度の減少と相まって路線の存続が厳しい状況にあります。一方、日高本線では沿線人口がわずかに増加しており、1.9ポイントの増加が確認されました。これは北海道全体の状況を考えると非常に珍しいケースです。
まとめ
今回のランキングを見て、地方の鉄道路線が抱える問題が一層明確になりました。特に人口が増加しているにもかかわらず、輸送密度が大幅に減少しているケースは、その地域の公共交通の価値が著しく低下していることを示しています。こうした路線は、自治体や国が早急に対応しない限り、廃線への道をたどることになるでしょう。
JR九州の筑豊本線桂川〜原田区間が最も衝撃的な結果を示した一方、JR四国や北海道でも同様の問題が見られました。特に、輸送密度の減少が人口減少を大きく上回るケースでは、鉄道の利用促進策や地域活性化が急務となります。
おわりに
今回のランキング結果を見て、私自身も改めて地方路線の厳しい現実を痛感しました。人口減少が進む地域において、鉄道は単なる移動手段以上の存在であり、地域の活性化に欠かせないインフラです。それが利用されなくなり、価値を失うことは、その地域の未来をも閉ざしてしまう危険性があります。
今後もこのテーマについて考え、地方鉄道の存続と地域の再生に向けた解決策を探っていきたいと思います。それでは、次回のブログでお会いしましょう。