おはようございます
昨日の「放射性物質の移行係数って何?」 からの続きです。土壌の放射性物質濃度が高い福島県内でも、水田のお米や畑のナスやニンジンなどの移行係数は低かったのに、原発から200km以上離れた千葉や神奈川の茶葉やシイタケなどから高い数値が出たのはなぜなんでしょうね。
『サイエンスZERO』で紹介された福島県農業総合センターの佐藤守先生は、茶葉やモモについて、次のように分析しています。
茶葉
① 3月の時点で、茶の木には古い茶葉が密集して残っていた。
② その茶葉に放射性物質を含んだ雨が降り注ぎ、放射性物質は茶葉に吸収された。
③ 新茶の季節になって、古い茶葉に含まれる栄養分とともに、放射性物質が新しい茶葉に移行した。
これを葉面吸収と言うそうです。ということは、古い葉っぱを刈り取ってしまうことが、放射性物質濃度を下げることになる。土壌だけが問題じゃないんですね。
福島県産のモモ
① 3月の時点では、葉の出てなかった桃の木の場合、葉面吸収ではない。
② 放射性物質を含む雨が降って、枝のゴツゴツした部分に放射性物質がたまった。
③ 枝の表面から樹皮を通して、葉の新芽に放射性物質が移行した。
④ モモの実がなると、今度は葉から実へ、栄養分とともに放射性物質が移行した。
葉っぱだけじゃなくて、枝もかぁ…。枝にたまった放射性物質を除去するため、福島県では、モモの木を高圧洗浄機で洗い流す取り組みをしているそうです。これで、50%は除去できるとか。ナシやブドウの木は、樹皮そのものを剥がすという試みも。すべて来年以降を見据えてのこと。
また、『サイエンスZERO』に登場された学習院大学理学部の村松康行教授によると、今後は森林汚染の影響が危惧されるとか。とくに、キノコに含まれる放射性物質濃度は、かなり高くなっているので、注意が必要とおっしゃっていました。
森林地帯の放射性プルーム
① 放射性物質は、放射性プルームと呼ばれる霧のような状態で漂った。
② 放射性プルームが山にぶつかることで、斜面に生える木々に付着。
③ それが雨で洗い流されて、森林地帯の土壌にしみ込む。
④ 放射性物質を含んだ葉も落ちて、さらに堆積する。
現在、森林地帯の除染をどうすればよいのか、専門家の間で検討されているようです。今後、森林地帯にたまった放射性物質の影響がどう出てくるのか。それを考えると、今、放射性物質濃度のさほど高くない平地でも、山間部を間近に控えている地域では、事前の対策が必要になってくるかもしれません。
除染作業として、水で洗い流すことが有効であるならば、それは、山間部に降り積もった放射性物質が、やがて川に流れ込んでくる可能性を含んでいます。もちろん薄まった状態にはなるんでしょうけど。
となると、群馬・栃木の山間部の濃度が高いことは、その下流域にあたる埼玉や東京にも、いずれ影響は及ぶかもしれない。このことを念頭に置いておく必要があるかも?
山のキノコ
① キノコは菌類であり、根っこを持たず、地中に広く菌糸を張りめぐらせて、養分を得ている。
② 菌糸からは、放射性物質も容易に吸収され、しかも広範囲から集められてしまう。
③ その結果、地表に生えているキノコの放射性物質濃度は、その土壌よりも高くなる。
④ キノコは、土から得たリン酸や窒素などの養分とともに、放射性物質を木に分け与えてしまう。
⑤ キノコから養分を受け取った木は、放射性物質を含む葉を茂らせ、また落とす。
⑥ 放射性物質を含んだ落ち葉が腐葉土となり、そこからキノコが再び吸収する。
村松先生は、キノコと木との間で、延々とこれが繰り返されるのではないかと考えています。放射性物質には半減期がありますので、もちろん少しずつ薄まってはいきますけどね。
千葉で露地栽培されたシイタケから、暫定規制値500Bq/kgを超える734~1,955Bq/kgの放射性セシウムが検出された理由もここにありそうです。つまり、キノコは放射性物質移行係数が高いんですね。
10月6日から、キノコそのものの放射性物質濃度規制だけでなく、キノコを育てる菌床培地と原木にも、乾いた状態で150Bq/kg以下という指標値が定められました。
キノコ狩りの季節です。土壌の放射性物質濃度がさほど高くない地域でも、キノコは放射性物質を集めてしまっている可能性がありますから、食べる前にチェックしたほうがよさそうですね。
一天一笑、今日も笑顔でいい1日にしましょう。
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