『養生訓』 艾しゅの大きさの加減(巻八41) | 春月の『ちょこっと健康術』

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「灸法について、古書には、「艾しゅ(がいしゅ)の大きさが3分でなければ、火気が達しない」という。今の世でも、元気が強く、肉づきがよくて、熱痛をよくこらえられる人には、大きな艾しゅで壮数も多くてよい。

 もし元気が虚弱で、肉づきの薄い人であれば、艾しゅを小さくして、こらえやくするとよく、壮数も半分くらいにする。ひどく熱痛があって、がまんできないほどのものを無理にこらえると、元気が減って、気がのぼせ、血気が錯乱してしまう。

 その人の気力に応じて、適切に加減すればよい。灸の数を幾壮というのは、強壮な人を基準にして定めたものだからである。したがって、『灸経』に書かれている灸の壮数も、人の強弱によって、また病気の症状の軽重によって、多少を加減すべきである。古法にこだわり過ぎてはいけない。

 虚弱な人には、灸の艾しゅを小さく、少なくするのがよい。虚している人は、一日に一穴か二日に一穴、灸をするのもよいだろう。一時に多くすえてはいけない。」


艾しゅ(がいしゅ)とは、お灸をするときに、艾(もぐさ)をひねって、適当な大きさと形にととのえたもの。「艾しゅの大きさ」 でもご紹介しましたが、↓こんなふうにします。


春月の『ちょこっと健康術』-施灸


小さいでしょ?しかも、8~9割燃えたところで消してしまうことがほとんど。これを八分灸といいます。あるいは、「筋緊張の痛み解除にお灸」 でご紹介したように、↓こんなふうに大きくして、6~7割燃えたところで、はずします。


春月の『ちょこっと健康術』-施灸2


いずれもじんわりと温かいくらいのところで、熱の痛みを感じさせることは、現代ではまずありません。熱痛は、益軒先生もおっしゃってますが、それがストレスとなって逆効果となることもありますからね。例外もありますが、それについては、「艾しゅの大きさ」 に書いてますので、そちらをごらんくださいね。


「艾しゅの大きさが3分でなければ、火気が達しない」とありますが、3分は8~9mmというところでしょうか。ちょうどせんね○灸のような家庭灸の大きさですね。でも、艾を直接肌に乗せるのが、異なるところ。


虚弱な人への治療に関しては、「身体の大きさと薬量」 では小服にすると、「衰弱した人・老いた人の治療」 では強くしてはいけないと、それぞれ述べられていました。からだに合わせて加減することが大事なんですね。


『灸経』については、「艾しゅの大きさ」 で解説しています。また、「灸に使う火」 でも引用されておりました。


『養生訓』の原文はこちらでどうぞ→学校法人中村学園 『貝原益軒:養生訓ディジタル版』


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