「衰弱した人や年老いた人には、薬治、鍼灸、導引、按摩を行うにも、早く癒そうとして、強くしてはいけない。烈しくするのは、即効を求めるからであるが、たちまち禍いを引き起こしてしまうことがある。もしその当時は快かったとしても、後の害となるものだ。」
原文では「衰老の人」となっています。これを「衰弱した老人」と解釈することもできますが、あえて「衰弱した人や年老いた人」としました。鍼灸治療に際して、老人に限らず、衰弱した人に対しても、強い刺激を与えることはご法度ですから。
「後の害」と益軒先生がおっしゃっているのは、強い刺激を与えてしまうと、そのときはよいとしても、後でさらに衰弱が激しくなるからです。弱っている人への治療は、まどろっこしいとしても、緩やかにやさしく行うことです。
虚弱な人への治療には、「身体の大きさと薬量」 では小服にすると、「艾しゅの大きさ」 では小さくすると、それぞれ述べられておりました。
『養生訓』の原文はこちらでどうぞ→学校法人中村学園 『貝原益軒:養生訓ディジタル版』