『養生訓』 酒と甘いもの・辛いもの(巻四52) | 春月の『ちょこっと健康術』

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「酒を飲むときは、甘いものを食べてはいけない。また、酒を飲んだ後に、辛いものをとってはいけない。人の筋骨をゆるくするからである。酒を飲んだ後に、さらに焼酎を飲んではいけない。あるいは同時に合わせ飲めば、同じく筋骨ををゆるくするし、煩悶することになる。 」


益軒先生、「飲酒の後」 でも同様のことをおっしゃっておりました。その理由は、「五味偏勝をさける」 にあります。『養生訓』でいう「酒」は日本酒のことですから、これは甘味。甘味に甘味を重ねる愚を注意されているんですね。


明日アップ予定の『養生訓』に解説されているのですが、焼酎は熱性で辛味との解釈となっています。甘味に辛味を重ねると、なぜ筋骨がゆるむのか?まずは「漢方の五味って何?」 をもう一度読んでいただくとわかりやすくなりますよ。


甘味は五行の土、辛味は五行の金。五行の相生関係で、土は金の母ですから、土は金の作用を強くします。五行の相克関係で、金は木を抑制する位置にあります。金が強いと、木を抑制しすぎてしまう。つまり、甘味に辛味を重ねると、金が強くなりすぎて、木の働きを弱らせてしまうということ。


五行の木にあたるのは、五臓では肝。肝は筋をコントロールしている(→東洋医学講座 No.10 )ので、この働きが弱ると筋が関節を支えられなくなるという図式です。だから、「筋骨がゆるむ」と表現されているんですね。また、煩悶は体内の熱によって生じます。辛味は熱を生じやすいものでもありますからね。


『養生訓』の原文はこちらでどうぞ→学校法人中村学園 『貝原益軒:養生訓ディジタル版』


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季節外れで、寒風に揺れる菜の花。けなげです。