これまでのお話 実家処分を決意するまで ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨
母が2年前の9月に実家を出てから、約半年。
冬がやってきた。
木々の伐採には冬がいいというので、庭にあった相当の数の木々は、腕の良い庭師さんに伐採してもらった。
しかし、その庭師さんでさえ手が出せない大木の枝が結構な数、家の境界線に張り巡らせた電線に接触してることが分かった。
な、なんと、これらの枝が原因で漏電や火災などの事故があった場合、所有者が責任を負うことになる事もあるらしい
つーか、それって、どんだけ重い責任
もしもの場合は、どのくらいの補償が必要なの
こ、怖い 怖すぎる
庭師さんに指摘されて、私はにわかに恐怖を覚えた
補償のことを考えると、恐怖で喉がカラカラになった。
なんとか一刻も早く、それらの木々を伐採しなければ
でも、どこに連絡すればいいんだろう
と、ここで、私は母が引っ越す数か月前、「ブレーカーが落ちたあ~」と騒いだ時、ブレーカーの交換に来てくれた電力会社の方の名刺を持っていることを思い出した。
ネットで調べると、どうやらそこに問い合わせるということでいいらしい。
私はおそるおそる、東京電力の関連会社なの良く分からないけど、最寄りの東京パワーグリッドというところに電話してみた。
すると担当の方が事情を聴いてくれて、関電工に切ってもらうのが良いと教えてくださった。
私は自分の連絡先を伝えて、関電工からの連絡を待った。
しばらくすると関電工の担当の方から連絡が来て、後日、現地に来て見積もりを取ってくれることになった。
私は電線に接触している木だけでなく、樹齢100年の柿の木やお茶の垣根も伐採してくれるよう、見積もりを頼んだ。
関電工さんの見積もりは通常の業者より高いらしい。
設備と人員の数が違うから、それはそうだろうとは思った。
そして、確かに示していただいた見積もりは高いと感じた
でも、電線に接触している枝を安全に伐採してくださるのは、こちらの会社しかないと思ったのでお願いすることにした。
迷いはなかった。
それにしても、電線の事、気がついて良かった。
自分の生活に精一杯で、実家の状況に全く気がついていなかった。
伐採までには少し時間があったので、関電工の方が、木の枝が電線を傷つけないように電線にカバーをする応急処置をしてくださった。
良かった。
伐採は約1か月後の、2月の中旬になることになった。
今回、とりあえず動いてみるのは大切だな、と思った。
最初はどうなる事かと思っていた実家じまいだったけれど、動けば少しずつ進んでいくことが分かって、この頃は、段々と心も落ち着いてきていた。