今から約2年前。実家の母、88歳が突然私にこう言った。
「お母さん、もうこの家で一人暮らしはできない。なんとかして。」
え~
晴天の霹靂である。
「お、おう。分かったけど、急にそんなこと言われたって、とりあえずしばらくはここで暮らしてもらって・・・。おいおいと、ね」
と言ってはみた。
しかし母は続ける。
「もう、これ以上、ここにはいたくない。」
お、おう・・・。
だけど、そんなこと言われたって、うちだって賃貸マンションで狭いし・・・
長男(私の弟)のうちだって、家族だけでギチギチな感じで母を受け入れられそうにない。
なんだって、急に
実はその日、母はコロナのワクチン接種後で、副反応が出るかどうか様子を見るために、私と夫が住む賃貸マンションに泊まっていたのだ
その夜、実家付近で強風が吹き、実家の大木が境界線の外側に折れて近所の道を塞いだというのだ
ご近所の方が電話で教えてくれた。
だからと言って、夫も私も、長男も、そんな急には現地には行けない。
また、行けたとしても、ずっとマンションか賃貸生活の私達には、道を塞いだ大木をどう処分すればいいのか分からない。
途方にくれていると、親切なご近所さんたちが、力を合わせてうちの敷地内に大木を引き入れてくれた、ということを後から電話で連絡を受けた。
もう、感謝しかない。
本当にありがとうございました。
翌日、母の副反応も特に問題がなかったので、母を実家に送っていった。
大木の倒れ方はなかなか迫力があり、これからこの木を処分するのは結構大変だな~、とは思った。
母はその木を見てから玄関に入り、ちらかった古い実家の中を見て、振り返りながら言ったのだった。
「お母さん、もうこの家で一人暮らしはできない。なんとかして。」