現在、館花紗月の言動に関する考察を鋭意進めております。

 

しかしながら、館花紗月の言動を説明するためには、渡直人の考えについてざっくりでも考察し、説明したほうが分かりやすいのかなと考えます。

というわけで、館花紗月の言動に関する考察の前の「特別編」として、渡直人は何を考えているのか?館花紗月のことをどう思っているのか?等について簡単に述べたいと思います。

本当にざっくりなので強引な展開になっているかもしれませんがご容赦ください。

(渡直人の言動に関するちゃんとした考察は、館花紗月の後に行います。)


本作品の紹介はこちらです

 

渡直人は何を考えているのか?

渡直人の館花紗月への感情を考える上で重要となるのは、やはり6年前の畑荒し事件となります。

6年前の渡直人の館花紗月への感情及び変遷を以下に記します。

・館花紗月のことが好きだった。また、館花紗月も渡直人のことを好き、つまり相思相愛だと思っていた。

・館花紗月の畑荒しにより、館花紗月は渡直人に好意は抱いておらず、そう思っていたのは渡直人の勘違いだった、と思うようになった

・畑荒し以後、館花紗月に会えなくなってしまったことを悲しんでいた。

 

つまり、初恋は片思いにしか過ぎず、自分の勘違いだった。好きだった相手から手酷く裏切られてしまった。おまけに好きだった相手ともう会えなくなってしまった、という挫折体験を6年前に味わったという状況です。

このような挫折体験から立ち直れないまま館花紗月と再会してしまいました。相手が自分に好意を抱いているという勘違いを、そして好きな相手から裏切られるという思いを二度としたくないので、館花紗月から何をされようとも、彼女のアプローチを真に受けないようにしているのでしょう。1巻第2話における「オレも紗月が好きで、紗月もオレが好きかもしれない でもそんなのは全部オレの勘違いだった」や、第3話の「もう紗月に何言われても絶対踊らされるものか。もうあんな思いは二度とごめんだ」、そして3巻第3話の「勘違い拗らせて痛い目みるのはもう懲り懲りなんだよ」といった発言にあるように、6年前の畑荒し事件は相当に応えており、それを再び味わいたくないため、頑なに館花紗月が自分に好意を抱いていると思わないようにしているのでしょう。二度のキスや風邪のときに薬を差し入れる行為について、好きでもない相手に何でこんなことをするんだろう?と考えています。一種の警戒心すら抱いています。

渡直人の中で館花紗月への感情は、6年前、果たして館花紗月は自分に好意を抱いていたのか?という疑問で固まってしまっていると思われます。渡直人の中では、館花紗月から振られ逃げされた状態になってしまっているのでしょう。しかしながら、館花紗月への好意は内心でくすぶり続けているので、ホントに振られたのか?相思相愛だったという自分の考えは実は正しかったのではないか?ってのをを確かめたくて確かめたくて仕方がありません。時々、館花紗月に何かを質問しようとして結局は中断してしまっていますが、これはおそらく6年前の好意の有無を尋ねようとしているのでしょう(あるいは畑荒らしの真相でしょう。どっちにせよ確認したいことは同じです)。

でも、好意がなかったと答えられてしまったら、完全に失恋してしまいます。それが怖くてたまらないので、結局は質問をやめてしまうんだと思います。あるいは、6年前好きだったという答えが館花紗月から帰ってきたら、大変面倒なことになります。取り敢えずは渡直人自身の館花紗月への感情に向かい合わなくてはなりませんし、現実問題として、館花紗月とどう向き合っていくかも考えなければなりません。畑荒しの真相についても確認しなければならないでしょう。感情活動のほぼ全てを館花紗月との関係に費やすことになるので平穏な日常は完全崩壊することは間違いありません。

館花紗月への頑なな態度、好意を感じないようにしている姿勢、2巻冒頭のように邪険に扱うとかは、意識下に抱いている館花紗月への強い好意の裏返しでしかないと思います。好意と同時に様々な複雑な思いが噴出してくるためのストッパーとしての態度なのでしょう。

 ただ、好意自体は潜在的にかつ頑なに抱き続けているので、館花紗月のことは気になって仕方ありません。そのため、館花紗月のことになると、後先考えず衝動的な行動に出てしまいます。2巻においては石原紫の前であってもスカート捲れを防ぐために館花紗月を後ろから抱きしめますし、3巻において館花紗月が軽そうな女扱いされていたら猛然と反論し、周囲を唖然とさせます。

5巻における館花紗月の新しいバイト疑惑の時には、心配で仕方なく、石原紫とのデートは心そこにあらずといった状態であり、結局、おそらく夜10時前という遅い時間であるにも関わらず館花紗月の部屋を訪れ、真剣な表情で「どうしても金が必要で そんでもし家族に頼れないんだったら 一言くらいオレに相談しろよ。何も役に立てないかもしれないけど一人で抱え込むなよ」と、あと一言二言付け足せばプロポーズにもなり兼ねない、ほとんど愛の告白のような言葉を発しています。館花紗月のこと、特にピンチ的な状況になると、理性や判断力が霞んでしまい、無我夢中で行動してしまうのです。

館花紗月は渡直人の役に立ちたい、困ったことがあったら助けてあげると言い、愚直なまでにそれを果たしていますが、渡直人としても結局は似たような行動を取っています。むしろ館花紗月のほうがまだ理性的に自分の行動をコントロールできています。

 

また、渡直人は館花紗月との関係を絶ってしまうことにも抵抗感を抱いています。4巻第2話において、館花紗月からもう関わらないと言われた後は臨時バイト後のような言動になり、「もう関わらないなんて寂しいこと言うなよ」と館花紗月に語りかけ、おまけに好意すら意識しかけます。その行動の裏には、館花紗月の部屋の中で見た寂しげな彼女の幻、そして6年前の畑荒し前日の館花紗月の寂しそうな笑顔により、館花紗月が渡直人の目の前から姿を消してしまうことへのたまらない切なさがあったように思います。


渡直人が館花紗月としっかりと向き合って恋人同士、そしてそれ以上の関係になるためには、6年前の好意を確かめるとともに畑荒しの真相を確認して彼女が裏切った訳では無かったことを知り、そして、館花紗月が決して渡直人の前から姿を消すとこはなく、もう別れの悲しみを味わわないことを確信することが必要なんだろうなと思います。


おそらくなんですが、渡直人が館花紗月と向き合わない最大の理由は、想いを抱いた彼女との別離の悲しみを二度と味わいたくないところなのかと思います。館花紗月に好意を抱かなければ、もし彼女が渡直人の目の前から姿を消してしまっても、心の痛みはまだ少ないでしょうから。


最後までお読み頂きありがとうございました。


最初のうち、本ブログはノー画像でやろうと考えておりましたが、今後はいくらかでも多くの方に本作品の魅力を理解頂き、また、微力ながらも広告に役立てればと若干の画像を掲載させて頂きます。ご了承くださいm(_ _)m



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第1話も無料で読めます。


現在までの投稿及び今後の計画を以下に示します。


1章 館花紗月の「謎」について

その1:館花紗月の家庭の謎

             ・その1

             ・その2

             ・その3

その2:6年前の畑荒しの謎

             ・その1

             ・その2

特別編:渡直人の考えについて

その3:館花紗月の特徴的な行動について

その4:館花紗月の言動の謎

            ・明るく軽いストーカーパターン

            ・真剣なアプローチパターン

            ・お役立ちパターン

            ・怒りパターン

               ・その1

               ・その2

               ・その3

               ・その4

               ・その5

            ・喜びパターン

            ・畑荒し抵触パターン

その5:渡直人への態度について

その6:渡直人への感情について

その7:館花紗月の目的とは?(暫定

2章 渡直人について

その1:館花紗月への行動のパターン

その2:館花紗月への感情について

 

3章 館花紗月と渡直人の関係性について

 

4章 「××」について