前回、館花紗月の家庭の謎に関して色々と考えてみました。

 

今回も後篇ということで引き続き考察してみようと思います。


本作品の紹介はこちらです

 

前回では以下の事柄について考察してました。

 

1 6年前、渡直人がかつて両親とともに暮らしていた信州の家に館花紗月が現れ、庭を覗き込んでいた。館花紗月と渡直人は違う小学校だった。

 

2 館花紗月は元農家の娘であり、また、渡直人がかつて両親と暮らしていた信州の家はかつては館花紗月の家の畑だった。

 

3 6年前の畑荒らしの際、男性と一緒にいた。館花紗月が畑荒らしを終え、渡家を出た後、館花紗月は男性に鍬を渡し、男性は彼女の頭を撫で、手を引いて去って行った。

 

4 家族で海に行ったことはなかった。動物園にも行ったことはなかった。

 

5 以前は学校にあまり行っておらず、水泳の授業も休んでいた

 

6 6年前の畑荒らしの前日の逃避行ごっこの際、もっと遠くに行くことを望み、また、渡直人の「2人でこのままどっか遠くのみんなが知らないところまで行くか?」の誘いに「うん」と答えた。逃避行を中断して渡家に帰り、別れた時はとても寂しそうな笑顔だった。

 

今回は7以降ってことで考えてみたいと思います。

 

なお、前篇の時に述べたことの繰り返しになっちゃうんですが、以下、人の家庭のことを勘ぐり、人の内面を勝手に想像しちゃってる内容になってます。

 

読む方にとっては、いかに漫画の登場人物とは云え失礼なんじゃないの?みたいに思われる方がおられるかもしれません。書いてる私が言うのもなんですが、そんなに品のいいことではないと思います。書いていて、なんだかゴメンナサイ的な気分になったことは否めません。

 そう大層な内容でもないのですが。

 

ぐだぐだ書きましたが、もしかしたら読まれる方のご気分を害されるかもしれませんのでその際はお教えください。謝ります。

 

それでは、始めます。

 

7 部屋は殺風景で女子高生の部屋とも思えぬほど何もない

(空白の部屋)

意味するところの考察

余計なものを持つような金銭的な余裕がないか、そもそも色んなものに興味を抱いていないか、あるいは生活を彩ることに意味を見出していないといったことが理由として考えられます。

金銭的な余裕がないにしても、好みのぬいぐるみやちょっとした置物などがあっても良さそうなものだと思えることから、何かに興味を持つという気持ちが薄いのかなと思います。

あくまで一般論として述べますが、子どもが健全に情緒を育み、色んなことに興味を持つようになり、また、他者と円滑な人間関係を構築するための動機やコミュニケーション能力を発達させるには、保護者が安定した情緒を持ち、子どもと信頼関係を築き、子どもに興味や関心を持って接し、子どもの欲求をきちんと理解してそれを満たし、子どもに自分が他者から受け入れられている、欲求を満たされているといった、人間関係に対する安心感をきちんと育んであげることが重要だと言われています。前篇での考察を踏まえると、館花紗月の家庭環境は、あまり心地いいものではなく、安心して情緒を育むことは難しかったという可能性もあるのかなと思います。そのため、館花紗月はいろんなものへ興味を抱くことが少なくなってしまい、結果、部屋があんな殺風景になっちゃった、また、他者と関わることへの興味も少なくなってしまったのかな?と思っちゃいます。

あと、部屋関連の記述に関してですが、渡直人が館花紗月の留守中に部屋に入ったとき、寂しげに微笑みながら窓際に立つ館花紗月の幻を見たことも非常に重要な手がかりのように感じます。渡真人はその時に、6年前に逃避行ごっこを終えて別れたときの館花紗月の表情、とても寂しそうな微笑みを思い出しています。これはホントに私の想像に過ぎないんですが、そのとき、渡直人は、館花紗月がいつか突然にこの寂しい部屋から去ってしまい、もう会えなくなってしまう予感を抱いたのだと思います。だからこそ居ても立ってもいられなくなり、館花紗月のバイト先に向かい、バイトを終えたあと、思わず意識下に抱いている館花紗月への好意を吐露しそうになりながらも「オレが心配する!!!」と館花紗月に語りかけ、彼女を引き留めようとしたのでしょう。館花紗月はそう遠くない将来に、この部屋から去らなければならないのかもしれません。仮の住まいを彩ることに意味を見出さないというのも部屋が殺風景な理由のひとつなのかなと思います。

 

8 館花紗月の身に何かあっても家族は心配しない

意味するところの考察

家族が本当に心配していないか、家族のことが心底嫌いであり干渉されることに嫌悪感を抱いているか、または不干渉の取り決めが館花紗月と家族の間でなされているかのいずれかだと思います。いずれにせよ家族との関係は感情的に破たん状態にあると想像されます。また、部屋の鍵が壊れているような状況を放置してますが、普通ならこんな危なっかしい状態は不安になってすぐ直そうとすると思います。年頃の女性なら本来ならば尚のことでしょう。でも、そんな様子がないことから、自分の身を大切にする、安全を確保すようとする動機が希薄なのでしょうし、家庭でもあんまり大切に扱ってもらっていなかったので、そんな風になっちゃったのかな?と想像してしまいます。

 

9 家族とは絶縁している訳ではなくお互いに連絡を取らないようにしている。別居も館花紗月の意思

意味するところの考察

絶縁していないとは、逆の言い方をすれば、家族と縁を切ることが出来ていないとのことだと思います。不動産への入居の際の保証人など、実生活において保護者の存在は必要だとは思いますが、片やここまで完全放置し感情面でも破たん状態と思われるのに、絶縁していないのもちょっと引っかかります。

また、連絡を取らないというのもあまり理解できません。普通ならば、離れて暮らす娘にはスマホの一つでも持たせるものでしょうけど、館花紗月がスマホの類を持っているようには思えません。もし持っていたら、渡真人とメッセージのやり取りをしようとするはずです。館花紗月の家庭はとことん彼女に対して無関心なんだろうなと感じます。もはや冷酷さすら感じます。

 

10 対人関係について

館花紗月は基本的に渡真人以外の人物と積極的に関わることはありません。渡直人に対してこそ積極的に関わりを求めますが、それ以外の登場人物との会話は基本的に非常に殺伐としています。必要最小限の会話しかせず、また、愛想というものがありません。自分のクラスに友達はおらず、海に行った時も他の女子と遊ぶことはありませんでした。

意味するところ

7における記述と同じような内容になってしまいますが、生育した家庭環境が要因となって、他者との関係を構築する動機が希薄であり、また、能力もあまり育まれなかったのかなと思います(渡直人が特別な位置づけであることについては、後に考えたいと思います。)


 

まとめ的なやつ

以上、10項目にわたり、前後篇に分けてダラダラと書いちゃいましたが、作中に断片的に示された館花紗月の家庭に関する情報や部屋の状態、そして人間関係の希薄さから考えると、館花紗月の生育した家庭は、彼女に対してかなり無関心であり、優しさも希薄であり、かつ非常識な面もあるように感じられます。6年前の館花紗月は、そんな家から逃亡したくなるほど、その環境、境遇に辛さや息苦しさを感じていたのかもしれません。また、前篇の「1」から考えると、渡直人が住んでいた家から引っ越した後に家庭環境が悪化してしまった可能性もあると思います。わざわざそれなりに遠くから、かつて住んでいた家の様子を見に来るということは、かつて住んでいた家での暮らしを懐かしがっていたのかもしれません。

あと、気になるのは、現在の家族との関係です。お互いに連絡を取らないようにしているし、親は現在の館花紗月の暮らしぶりを全く気にしていないという冷めきった関係であるように思われるにも関わらず、縁を切っていないことが気になります。6年前、一時的であり、子どもの遊びの延長であった逃避行ということで館花紗月の逃亡に加担した渡直人に対して館花紗月の手で制裁を加えさせたような保護者が、何の条件も課さずに館花紗月に一人暮らしをさせるもんでしょうか?例えばですが、一人暮らしの猶予期間は高校卒業までで、それ以降は絶対に家族の元に帰る、さもなければ、何かヤバいことが起きるといった取り決めでもあるのかな?と想像してしまいます。

 

これからは6年前の畑荒らし事件、館花紗月が渡直人に会いに来た目的や渡直人への感情について考えていこうと思っているんですが、今回の「家庭の謎」編での考察をベースに進めていきたいと考えています。

仮定に仮定を重ねていくことになるので妄想一直線の内容になっちゃうと思います。特に、「館花紗月はいずれ居心地の悪い家庭に帰らなきゃならない説」は完全に私の妄想です(ただ、そう仮定すると、色々と説明がつくのかなとも考えます)。なので、そうゆうご認識で以後の考察にお付き合い頂けたら幸いです。

 

長々と駄文・妄想にお付き合い頂きありがとうございました。

 

最後まで読んで頂きありがとうございました。