七竈(ナナカマド)2


七竈(ナナカマド)はバラ科ナナカマド属の落葉小高木である。
北海道から九州にかけて分布し、山地などに生える。
特に北国を代表する樹木として親しまれており、北海道では街路、公園、庭などによく植えられている。
旭川市など36の市町村で市町村の木に指定されているという。
高さは普通は5~10メートルだが、15メートルにもなるものもある。
開花時期は5~7月である。
枝先に白い5弁の小花が群がって咲く。
秋にはあざやかに紅葉し、赤い実がなる。
名の由来は、七度かまどに入れても燃え残るほど燃えにくいというところからきているという。
俳句の季語は秋である。
写真は10月に岩手県陸中海岸の北山崎で撮った。
学名:Sorbus commixta


★七竈燃える思いの綿帽子
 嫁女泣く泣く情けの深さ


七竈(ナナカマド)

錦木(ニシキギ)3


錦木(ニシキギ)はニシキギ科ニシキギ属の落葉低木である。
北海道から九州にかけて分布し、山野に普通に生える。
樹高は1~3メートルくらいである。
枝にはコルク質の翼(よく)がつく。
葉は楕円形で、向かい合って生える(対生)。
葉先が尖り、縁には細かいぎざぎざ(鋸歯)がある。
真っ赤に紅葉する姿が美しく、庭木ともされる。
開花時期は4~6月である。
淡緑色をして目立たない黄緑色をした4弁の小花をつける。
果実の成熟期は10月である。
果実が熟して割れ、赤い皮のある種子を現す。
名の由来は、秋の美しい紅葉の様を錦に見立てたものである。
俳句では「錦木」「錦木紅葉」が秋の季語、「錦木の花」が夏の季語である。
写真は5月と10月に箱根湿性花園で撮った。
学名:Euonymus alatus


★透き通る紅に思わず振り向けば
 錦木の葉は燃えるごとくに


錦木(ニシキギ)2
錦木(ニシキギ)

山査子(サンザシ)2


山査子(サンザシ)はバラ科サンザシ属の落葉低木である。
原産地は中国で、日本へは江戸時代の享保年間に薬用植物として渡来した。
庭木や盆栽にもされる。
樹高は1~3メートルくらいになる。
枝はよく分枝し、枝の変形である刺を有する。
葉は互い違いに生え(互生)、倒卵形でつけ根の部分は楔形をしている。
開花時期は4~5月である。
枝先に白い5弁花を散房状(柄のある花がたくさんつき、下部の花ほど柄が長いので花序の上部がほぼ平らになる)につける。
果実成熟期は9~10月である。
果実は球形で、赤色や黄色に熟する。
食用になり、観賞もできる。
また、健胃・整腸剤として利用される。
俳句では「山査子の花」が春の季語である。
花の写真は5月に鎌倉の収玄寺で撮った。
実の写真は10月に鎌倉の長谷寺で撮った。
学名:Crataegus cuneata


★渡来して江戸の薬師が珍重す
 山査子の実はときめきの色

山査子(サンザシ)

猿捕茨(サルトリイバラ)2


猿捕茨(サルトリイバラ)はユリ科(サルトリイバラ科)シオデ属の落葉蔓性半低木である。
北海道から九州にかけて分布し、山地の草原や林の縁などに生え、周りの樹木などに絡みつく。
海外では、朝鮮半島、中国、インドシナ半島などにも分布する。
茎に疎らに棘があり、葉の柄から出る巻きひげで絡みつく。
猿がこの棘にひっかかって捕獲されるというのが名の由来である。
葉は円形ないし楕円形で、互い違いに生える(互生)。
葉の先は少し尖っていて裏面側へ反り、縁にはぎざぎざはない(全縁)。
質は分厚く、平行に走る葉脈が目立つ。
表面は光沢があり、裏面は白っぽい。
開花時期は4~5月である。
雄雌異株である。
葉のつけ根から散形花序(茎先からたくさん枝が出て、その先に1個つずつ花がつく)を出し、黄緑色の花をつける。
花被片は6枚あり、外側に反り返る。6枚のうち3枚はやや大きい。
雄花には雄しべが6本あり、雌花にある雌しべの先は3つに分かれている。
実は球形の液果(果皮が肉質で液汁が多い実)で、熟すと真っ赤になる。
上の写真は11月に都立薬用植物園で撮った。
下の写真は8月に筑波実験植物園で撮った。
学名:Smilax china


★赤い実を採りたいけれど棘がある
 おっとどっこい猿捕茨


猿捕茨(サルトリイバラ)

南蛮煙管(ナンバンギセル)2


南蛮煙管(ナンバンギセル)はハマウツボ科ナンバンギセル属の一年草である。
日本各地に分布し、丘陵地の草原や広場、道端などに生育する。
海外では、中国、インドシナ、マレーシアなどにも分布している。
名の由来は南蛮渡来の煙管(キセル)に見立ててつけられたものである。
葉緑素を持たない寄生植物で、薄(ススキ)や茗荷(ミョウガ)などの根に寄生する。
万葉集にも「尾花」(ススキ)と一緒に「思い草」の名で登場している。
草丈は15~30センチくらいである。
茎はほとんど地上に出ず、小さな鱗片状の葉をつける。
開花時期は8~10月である。
葉の脇から15~20センチくらいの花柄を立て、その先にパイプに似た筒形で薄紫色の花を横向きにつける。
写真は8月に目黒自然観察園で撮った。
学名:Aeginetia indica


★鮮やかでエキゾチックな色彩に
 足元見れば南蛮煙管


南蛮煙管(ナンバンギセル)

山辣韮(ヤマラッキョウ)2


山辣韮(ヤマラッキョウ)はユリ科ネギ属の多年草である。
本州の福島県から沖縄にかけて分布し、山地の草原に生える。
名の由来は、山に生える辣韮(ラッキョウ)ということだが、食用にはされていない。
ただし、食べられないことはないとのことだ。
草丈は30~50センチくらいになる。
地下には球根があり、地際から数枚の円柱形をした細い葉を出す。
開花時期は9~11月である。
茎の先に紅紫色の花を球状にたくさんつける。
花の色には地域差があり、稀には白花もあるそうだ。
花びら(花被片)は6枚あり、半開状となる。
6本の雄しべと1本の花柱(雌しべ)が花びらから突き出す。
写真は10月上旬に神戸の六甲高山植物園で撮った。
学名:Allium thunbergii


★突き出した雄しべがとても個性的
 紫色濃い山辣韮は


山辣韮(ヤマラッキョウ)

メキシカンブッシュセージ


メキシカンブッシュセージ(Mexican bush sage)はシソ科サルビア属(アキギリ属)の多年草である。
原産地は北米から中南米にかけた一帯で、ポピュラーな観賞用ハーブである。
アメジストセージ(Amethyst sage)という別名もある。
草丈は100~150センチくらいである。
葉は長い披針形(笹の葉のような形)である。
開花時期は9~11月である。
赤紫の萼から白い花がつく品種と、紫の花が咲く品種がある。
写真は10月に清水公園花ファンタジアで撮った。
学名:Salvia leucantha


★ビロードがぽんと弾けて顔を出す
 赤紫はやがて色づき


メキシカンブッシュセージ2
メキシカンブッシュセージ3

富士薊(フジアザミ)2


富士薊(フジアザミ)はキク科アザミ属の多年草である。
日本固有種である。
本州の関東地方と中部地方に分布し、山地帯から亜高山帯にかけての砂礫地や河原などに生える。
フォッサマグナ要素の植物の1つである。
名の由来は、富士山の周辺に多いことからきている。
日本産のアザミの中では最も大きな花をつける。
草丈は60~100センチくらいである。
茎の上につく葉は小さく、下へいくほど大きくなる。
根際から生える葉は羽状に大きく切れ込む。
どの葉にも縁には鋭い棘がたくさんある。
開花時期は8~9月である。
茎の上部で少しだけ枝分かれをし、先に大きな花(頭花)を下向けにつける。
花の色は紅紫色で、大きなものは花径10センチにも達する。
花は筒状花が集まったもので、総苞(花序全体を包む葉の変形したもの)は球形である。
総苞片は反り返り、縁には棘状の毛が生える。
写真は10月上旬に神戸の六甲高山植物園で撮った。
学名:Cirsium purpuratum


★富士薊大きな花を持て余し
 垂れる頭(こうべ)は地面睨んで


富士薊(フジアザミ)

紫千振〈ムラサキセンブリ〉


紫千振〈ムラサキセンブリ〉はリンドウ科センブリ属の一年草である。
関東以西の本州から九州にかけて分布し、乾いた草丈の低い草地や道端に生える。
海外では、朝鮮半島や中国にも分布する。
草丈は50~70センチくらいである。
茎は太く、暗紫色を帯びる。
葉は線状の披針形で、向かい合って生える(対生)。
開花時期は9~11月である。
茎先や葉の脇に薄紫色の花を円錐状につける。
千振〈センブリ〉と同様に苦味があるが、薬用にはされない。
写真は11月に都立薬用植物園で撮った。
学名:Swertia pseudochinensis


★千振の花の不思議を受け継いで
 色も床しき紫千振

真薊(マアザミ)


真薊(マアザミ)はキク科アザミ属の多年草である。
本州から九州にかけて分布し、日当たりの良い湿地に生える。
草丈は50~100センチくらいになる。
枝も葉も大変に少なく、根元には根生葉が花の時期にもついている。
また、茎には棘もない。
開花時期は9~10月くらいである。
花は紅紫色で、茎の先端に横向きまたは斜め下向きにつく。
その姿を煙草を吸う煙管に見立てて、煙管薊(キセルアザミ)の別名がある。
下を向いた頭花は、花が終わると上を向く。
写真は9月に箱根湿性花園で撮った。
学名:Cirsium siebolbdii


★すっと立つ茎の先から俯いた
 真薊の花煙管思わせ


真薊(マアザミ)