野紺菊(ノコンギク)2


野紺菊(ノコンギク)はキク科シオン属の多年草である。
本州から九州にかけて分布し、山野に生える。
名の由来は、野にある紺色の菊というところからきている。
園芸品種の紺菊(コンギク)の原種でもある。
古い時代に舌状花の青紫色が濃いものを選抜して栽培し、根分けで植え継いだものと思われる。
近縁種の嫁菜(ヨメナ)や関東嫁菜(カントウヨメナ)と比べると、野紺菊(ノコンギク)のほうが花が固まってつき、葉がざらついている。
草丈は50~100センチくらいになる。
葉は長めの楕円形で、縁には疎らなぎざぎざ(鋸歯)があり、ざらつく。
開花時期は8~11月である。
俳句の季語は秋である。
写真は9月に信州の上高地で撮った。
学名:Aster ageratoides var. ovatus


★野にありて紫秘めて咲き乱る
 乙女に求む夢托されて


野紺菊(ノコンギク)

力芝(チカラシバ)

力芝(チカラシバ)は、イネ科チカラシバ属の多年草である。
日本各地に分布し、田の畦や堤防、道端などに生える。
海外では、東アジア、東南アジアなどにも分布する。
草丈は30~80センチくらいになる。
種と地下茎で繁殖し、枝別れした多くの地上茎が四方に広がる。
葉は線形で、根際から生える。
名の由来は、力一杯引っ張ってもなかなか抜けないというところからきている。
開花時期は9~10月である。
ふさふさした尾のような花穂は直立し、濃紫色の小花が密生する。
学名:Pennisetum alopecuroides


★えいこらと力比べをしてごらん
 力芝には根負けしそう

段菊(ダンギク)


段菊(ダンギク)はクマツヅラ科カリガネソウ属の多年草である。
九州の北部と対馬に自生している。
海外では、台湾、朝鮮半島、中国大陸などに分布する。
大陸と陸続きだった時代の遺存種である。
草丈は70~80センチくらいである。
茎は直立し、葉とともに短い軟毛を密生している。
葉は卵形で、向かい合って生える(対生)。
葉の先は尖り、縁には粗いぎざぎざ(鋸歯)がある。
開花時期は9~10月である。
葉のつけ根の部分に小さな青紫の花が集まって花穂をつくり、それが段になって咲く。
1つ1つの花は唇形である。
5つに裂けた裂片のうち下側のものが長く、先が細かく裂ける。
4本の雄しべと1本の花柱(雌しべ)が花筒から飛び出している。
花の色は青紫が多いが、白やピンクのものもある。
名の由来は、葉が菊(キク)に似ていて段になって咲くところからきている。
写真は10月に千葉県野田市の清水公園花ファンタジアで撮った。
学名:Caryopteris incana


★段々に茎を取り巻き咲く姿
 どこか不思議な段菊の花


段菊(ダンギク)2

達磨菊(ダルマギク)2


達磨菊(ダルマギク)はキク科シオン属の多年草である。
本州の西部から九州にかけて分布し、日本海側の海岸の岩場に生える。
海外では、朝鮮半島やウラジオストクにも分布する。
草丈は20~40センチくらいである。
茎は木質化し、上部でよく枝分かれをする。
葉はへら状で、重なり合うように互い違いに生える(互生)。
葉はビロード状の白い毛で覆われている。
開花時期は9~12月である。
長い花柄の先に、淡い青紫色をした花(頭花)を上向きにつける。
舌状花に囲まれた真ん中の筒状花は黄色である。
総苞片(花序全体を包む葉の変形したもの)は細かく尖り、3列である。
名の由来は、ずんぐりした花姿から玩具の達磨を連想したものであろう。
写真は10月下旬に芦ノ湖野草園で撮った。
学名:Aster spathulifolius


★くるりんと花びら巻いて達磨菊
 どこか愉快な姿に見えて


達磨菊(ダルマギク)

小菊(コギク)2


小菊(コギク)はキク科キク属の多年草である。
山野に咲く野菊(ノギク)を交配させて様々な栽培菊が生み出されている。
これらは野菊(ノギク)に対して、小菊(コギク)または家菊(イエギク)と呼ばれる。
日本で改良された園芸品種の総称である。
これに対して、ヨーロッパに渡って改良されたものはスプレー菊と呼ばれている。
草丈は40~60センチくらいである。
開花時期は10~11月である。
花径は1~3センチくらいである。
写真は11月に向島百花園で撮った。
学名:Chrysanthemum x morifolium(=Dendranthema x morifolium)


★風受けて茂るがごとく小菊咲く
 色とりどりの姿を見せて


小菊(コギク)

犬サフラン(イヌサフラン)2


犬サフラン(イヌサフラン)はユリ科コルチカム属の多年草である。
原産地はヨーロッパである。
球根植物で、机の上に置いておくだけでも花を咲かせる。
草丈は10~20センチくらいである。
花の咲くころには葉はなく、翌春になって線形の葉が出てくる。
開花時期は9~10月である。
花の色は藤紫、ピンク、白などである。
クロッカスやサフランに似ているが、雄しべの数や形状が異なる。
犬サフラン(イヌサフラン)の雄しべは6本である。
名の由来は、サフランに似ているが食材として役に立たないことからきている(サフランはフランス料理の食材)。
一般にはコルチカムの名で流通している。
コルヒチンという痛風治療薬の原料となる。
コルヒチンはアルカロイドで、誤食すると呼吸麻痺を起こすこともある。
写真は9月に都立薬用植物園で撮った。
学名:Colchicum autumnale


★どことなく妖気を秘めて土の上
 犬サフランの灯す明かりか


犬サフラン(イヌサフラン)

サフラン


サフランはアヤメ科サフラン属の多年草である。
原産地は地中海沿岸からインドに至る地域である。
旧約聖書の中にも「芳香を放つハーブ」として登場する。
古代インドではサフランから染料が作られ、僧侶は釈迦の死後、僧服をサフラン色に染め上げたという。
中国には唐の時代にインドから伝えられ、生薬の蕃紅花(ばんこうか)として利用されてきた。
鎮静、鎮痛、通経作用があるという。
また、ブイヤベースやパエリヤには欠かせないし、インド料理のサフランライスでも知られている。
日本へは江戸時代末期にオランダ船に乗って渡来した。
草丈は15センチくらいである。
根際から生える葉は線形で、肉質である。
開花時期は10~11月である。
花冠は紫色をしており、筒状で6つに深く裂ける。
赤くて長い3本の花柱(雌しべ)に特徴がある。
黄色いのは雄しべで3本ある。
秋咲きクロッカスの別名もある。
写真は11月上旬に都立薬用植物園で撮った。
学名:crocus sativus


★サフランは長い歴史を秘めた花
 不思議な姿安らぎ与え


サフラン2

秋丁字(アキチョウジ)


秋丁字(アキチョウジ)はシソ科ヤマハッカ属の多年草である。
本州の岐阜県から九州にかけて分布し、山地の林の中や林の縁に生える。
草丈は40~90センチくらいである。
葉は細めの卵形で、向かい合って生える(対生)。
開花時期は8~10月である。
茎先や葉の脇から花穂を出し、小さな青紫色の唇形花を横向きにつける。
花は細長く、花の中には4本の雄しべと1本の花柱(雌しべ)がある。
萼は5つに裂け、裂片は鈍角である。
名の由来は、秋に丁字形の花をつけることからきている。
写真は9月に箱根湿性花園で撮った。
学名:Plectranthus longitubs


★どことなくか細く見える花だけど
 秋丁字は木陰で負けず


秋丁字(アキチョウジ)

秋桐(アキギリ)


秋桐(アキギリ)はシソ科アキギリ属の多年草である。
日本原産のサルビアである。
本州の中部地方から近畿地方にかけて分布し、山地の日陰に生える。
名の由来は、秋に桐に似た花を咲かせるというところからきている。
草丈は20~50センチくらいになる。
全体に毛がある。
葉は三角状の鉾形で、向かい合って生える(対生)。
開花時期は8~10月くらいである。
茎先の短い花穂に青紫色の花をつける。
変異種には白花もある。
花の先は上下に分かれた唇形で、つけ根のほうは細い筒形となる。
上唇は帽子のようになり、下唇は3つに裂ける。
花柱(雌しべ)は細長い糸状で、先が2つに裂ける。
長い雄しべが2つある。
写真は10月中旬に小石川植物園で撮った。
学名:Salvia glabrescens


★秋の日に渋い紫よく似合う
 秋桐の花背は低くして


秋桐(アキギリ)

藤袴(フジバカマ)


藤袴(フジバカマ)はキク科フジバカマ属の多年草である。
原産地は中国で、日本へは奈良時代に渡来したと考えられている。
元々は薬草とされ、また観賞用に植えられたが、各地で野生化した。
本州の関東地方から九州にかけて分布し、川岸などに生えるが、野生のものは減少している。
環境省のレッドデータブックでは、「絶滅の危険が増大している種」である絶滅危惧Ⅱ類に登録されている。
草丈は100~150センチくらいになる。
葉は向かい合って生え(対生)、多くは3つに裂けている。
開花時期は8~10月である。
淡い紅紫色をした筒状花だけの小さな頭花を散房状(柄のある花がたくさんつき、下部の花ほど柄が長いので花序の上部がほぼ平らになる)にたくさんつける。
1つの頭花は5つの筒状花で構成される。
筒状花の先は5つに裂け、細くて白い2本の花柱(雌しべ)が飛び出している。
写真は10月に板橋区の赤塚植物園で撮った。
秋の七草の一つで、俳句の季語は秋である。
学名:Eupatorium japonicum (=Eupatorium chinense,=Eupatorium fortunei)


★藤色の袴に見立てしこの花で
 平安人は髪洗いしと


藤袴(フジバカマ)