ケニアの電力事情と原発建設計画
これは今回の地震・津波とその後の原発事故を見て初めて知ったことではなく、以前から承知していた筈のことなのだろうが、ここであらためて、いかに「その筋の権威」とか「専門家」と言う人たちがデタラメでいい加減かということを痛感した人が多くいたと思う。
そんなことを思いながら報道に接していたら、インターネットのあるメーリングサイトでアフリカに関心・興味を持っている人たちが利用しているところでは、3月末になって突然「日本人のAMANOと云う人物がケニアに原発を売り込みに来ています」「ケニアに原発は要りません」「AMANOは死の商人です」「みんなで反対しましょう」などという書き込みが2度3度続いた。投稿したのはケニア在住30年以上になる自称「環境保護活動家」の獣医K氏で、全く事実認識がなく、無知で幼稚な根拠のないデマとしか思えないことを述べているのに怒りを越えて呆れた。
ケニアの原発を建設をするということに対しては、心情的には反対だけれどケニアの電力事情を多少なりとも理解し、国を経済的にもっと発展させたい、もっと豊かになりたいという彼らの思いを理解すると、所詮は外国人の我々が軽軽に「原発反対」と言えない事情と、これまでの経緯があるのだ。
それだけに、原発に反対するにはその代替案を準備して、電力の確保とアフリカの発展、人々の生活の向上をどう進めるかという非常に難しい問題を解決いくのかを提示すべきと思う。それを解決しないと清潔な大量の飲料水は確保できないし、夜間に勉強できる最低の電燈も、農作物に灌漑する水の確保もままならないのだ。
ケニアの代表的な日刊紙「Daily Nation」のWeb Site http://www.nation.co.ke/ にアクセスして表紙の検索バーに「nuclear project」を入力してサイト内検索をすると、今回日本で起きた東電福島第一原発の事故のはるか以前から原発の是非論がケニア国内で交わされており、政府は導入の方針で英国のエンジニアリング会社とかなりの段階まで話が進んでいたことが、3月11日以前のいくつもの記事から読み取れる。
今回の東電福島第一原発の事故では、東電も政府もどうしようもなくUseless,Hopelessの駄目加減さを初めからあらわにしていていたのは衆目の一致するところで、国連の国際原子力機関事務局長・天野之弥は事故発生後ただちに来日して政府・東電の対応を批判し改善を求めたが、その天野氏が福島原発事故とは全く関係なく3月下旬に、ケニア独自の原発の問題でケニアを訪問し、ケニア政府と近隣国政府関係者ともいくつかの会議を重ねており、それが3月31日の「UN clears Kenya Nuclear Energy Project」という記事になっいてる。
この話をもう少し続けてみたい。
パラダイムシフト (Paradigm Shift)
震災発生から今日でちょうど2ヶ月が経過した。その間、自分のなかで起こったことは、まさにパラダイムシフト(Paradigm Shift)と呼べるものだと思い、そのことを書いておこうと思いここに立ち戻って来た。
地震発生の瞬間は、東京中央区の9階建ビルの3階のオフィスでそれまで体験したことのない揺れにあわてて、一旦は非常階段で外へ飛び出したものの、揺れがおさまったところでオフィスに戻りテレビの地震速報をチェックし震源が東北太平洋沖ということを確認した。そして、テレビを観ながらこれまでにない凄まじい地震であることは即座に理解しながらも、東北新幹線で走行中の車両がすべて無事緊急停止したことを知って「あぁ、思ったほどではなかったな。楽勝! 楽勝!」と安堵していた。地震発生から30分くらい経っていたと思う。
阪神淡路大震災のときはケニアに住んでいて、まだインターネットも一般的ではなかったので当日の新聞号外のコピーがFaxで送られて来て、新幹線高架橋が崩落している写真を見て度肝を抜かした。新幹線高架橋の安全基準というのは一般道路とは桁違いの基準値をとっているので、並の地震で高架橋が落ちることなどあり得ないが、その写真は高架橋が崩落している写真で、地震の凄まじさが理解できたのと、発生が早朝で新幹線がまだ運行を始める前であったことを知って安心した。これが昼間の運行時であったらと思っただけでもぞっとした。
その後の中越地震では、上越新幹線は緊急停止したが一部の車両は脱線し「あわや」というところで、何とかケガ人もなく停車した。あの地震は断層地震で揺れが甚大な箇所が局所的にあったのだろうが、それでも新幹線事故での死傷者はなかった。
今度の東日本大震災発生時には東北新幹線上で走行中列車は27本で、それらはすべて無事緊急停車したが停車した所がたまたまトンネルの中だったので真っ暗な中で恐怖におののいた人たちがいたりしたものの死傷者はなかったということは、これはこれで「やっぱり日本の技術ってスゴイな」ということになる訳だ。
そして、新幹線の建設安全基準などよりも、さらに桁違いに厳しい安全基準で建設されている筈の原発に地震の被害が出ることなど考えもしなかったが、まさにそんな能天気なことを考えていた瞬間にあの地獄絵図のような津波の襲来が続いており、原発事故が起こりつつあったのだ。
あとは、ただぼぉーっとテレビを観る以外はなにもできず、リアル・オン・タイムで起きている事象を見、パニックになる人、全く的はずれなチンプンカンプンなことを言いだす人などを見ていた。そんなことや人を見ながら思ったことなどを書きつけておこう。