誰かのために生きる人生と、自分のために生きる人生
昨日、新橋演舞場で観た『華岡青洲の妻』は、
世界初の全身麻酔手術を成功させた江戸時代の医師
華岡青洲の物語。
でも主役は青洲ではなく、
彼を支えた母・於継と妻・加恵です。
嫁姑のねっとりとした静かな争いと、
(怖いセリフの応酬)
青洲の麻酔薬開発が絡み合い、
見応えたっぷりの舞台でした。
なんだかモヤモヤした理由
観ながら、
なぜか胸の奥がざわざわして…。
その理由を考えていて気づいたのは、
この二人、
自分の人生を生きていないんです。
於継は「息子が成功すれば私も幸せ」
加恵は「夫が成功すれば私も幸せ」
息子・夫に
わたしの方や役に立ったと認められたい。
それが、
麻酔薬の人体実験に名乗りを上げた動機
だから、お互いに相手より、
危険な薬を自分が飲むことに執着するのです。
そこには「私はどう生きたいのか?」
という視点がない。
それが私には、
息苦しく感じられました。
でも、それが当たり前だった時代
世界初の全身麻酔手術を成功させた、
は史実、
それ以外はフィクションだそうです。
時は江戸時代。
女性が自分の夢を追いかけるという発想すらなく、
子どもの頃は親
嫁いでからは夫に従い、尽くすことが
美徳とされていた時代。
有吉佐和子はそれをモチーフに
ストーリーテラーとしての手腕を
発揮したのだと思います。
迷うことは恵まれてる?
現代の私たちは、
何になろうが、どこに住もうが、
結婚しようがしまいが、
基本的に自分で決められます。
でも選択肢が多いからこそ、
「これで良かったのかな?」と迷うこともある。
それでも、やっぱり今の時代に生まれて良かった。
迷えるって、幸せなこと。
悩めるって、自由があるってこと。
子どもを大切にしながらも、
自分らしく生きられる。
夫婦も対等なパートナーとして、
ともに助け合う。
もちろん、理想通りに
行かない時もあるとしても、
少なくてもその状態を目指すことはできる。
それは、
江戸の女性たちには
想像もできなかった生き方ですよね。
*ラタトゥイユが絶品でした
誘ってもらった観劇。
普段、自分では選ばない演目だけど、
こんな風に気づきが広がる。
やっぱり、
初体験に食わず嫌いは禁物だなぁ
とあらためて思いました。
観劇の感想を語り合いながら
美味しいものを満喫
*焼きたてキッシュ
心もお腹も満ちる夜でした。
📎 そのほかの情報はこちらから