※本日は「ネタバレ上等」の映画鑑賞シリーズです。
「ハムネット」を観てきました。
シェイクスピアの息子の死と、
その悲しみの中から戯曲『ハムレット』が生まれていく物語。
アカデミー賞主演女優賞を受賞したジェシー・バックリーの演技が、圧巻でした。
観終わった瞬間、「ブラボー!」と叫びたくなったほど(笑)。
表情だけで、すべてを伝える
最も心を動かされたのは、終盤の劇中劇の場面でした。
夫のウィルが舞台に立ち、自分が書いた『ハムレット』を演じている。
それを観客席で観ているアグネス(ジェシー・バックリー)。
息子を失った悲しみ。
家にいなかった夫への怒り。
やがてその怒りが、同じ悲しみを抱えていた者同士の理解へと変わり、
最後には昇華されていく。
この感情の移り変わりを、
ジェシー・バックリーはセリフを一言も発さずに、
表情だけで伝えてくるのです。
言葉で説明されたら、たぶんあそこまで深くは届かなかった。
「悲しい」「苦しい」「許せない」と語られた瞬間に、
感情はその言葉の枠に収まってしまう。
でも、表情だけで差し出されたものは、
観ている側の心の中で、何倍にもふくらんで立ち上がる。
描かないことが、こんなにも豊かな世界をつくるんだなと、
改めて思いました。
本物に触れる時間を持ちたい
若い頃に観ていたら、たぶん私はこの映画の良さを今ほどには受け取れなかったと思います。
人生の中で何かを失った経験、誰かを見送った経験、
語りきれないまま胸にしまっていること。
そういうものを少しずつ抱えてきた今だからこそ、ジェシー・バックリーの沈黙が痛いほど分かる。
年齢を重ねた良さ、をこういう時に感じます。
本物の仕事に触れる時間は、自分の感覚を整える時間でもあるなと思いました。
慌ただしい日常の中では鈍ってしまう感受性が、
優れた表現に触れることで少しずつ戻ってくる。

*一人分です。ポップコーン食べ放題、フリードリンクなので欲張ってます(笑)
(お腹が空いていたのでポテトも注文)
シェイクスピアは、観るもの
この劇中劇の場面を観て、「あ、シェイクスピアって読むものじゃなくて、観るものなんだ」と腑に落ちました。
日本ではあまり機会がないと思っていたら、今ちょうど、東京の日生劇場で舞台『ハムレット』が上演されているんですよね。
市川染五郎さん主演、デヴィッド・ルヴォーさん演出。
チケットがまだあるなら観に行きたいなあと思っているところです。
生きている間にあと何本観れるかな!







