若い頃は、シミや皺なんて自分とは別の世界のことのように思っていました。
介護もそうです。
大変なことだとはわかっていても、現実問題になるまでは、
本当の意味では自分事ではなかったのだと思います。
ところが、現実になると見え方は変わるんですよね。
シミや皺は、40代の頃には必死に抗おうとし(笑)、
でもいつしか「まあ、そういうものだよね」と、自分の前提になっていく。

介護もまた、今では時間の使い方の大前提です。
人生って、ちゃんと順番に「はい、次はこれです」と持ってくるんだなあと、
妙に感心してしまいます。
でも、それを若さゆえの甘さだとか、愚かさだとは思いません。
まだ実感の持てないことを、先回りして本気で背負うのは、なかなか難しいです。
それが若さの良さだろうと思うのです。
ただ、今は少し違います。
こうして年齢を重ねるうちに、
少し先のことも見据えながら今を選ぶ感覚が育ってきた気がします。
母自身も「自分がそうなるとは思ってなかった」と言っています。
その言葉を聞くと、ああ、ほんとうにそういうものなんだなと思います。
人は、自分に起こると本気では思えていないことを、
現実の中で少しずつ引き受けていくのかもしれません。
私自身、介護が時間の大前提になってから、手放したこともあります。
その一方で、「これは先延ばしにしない」と決めたことも増えました。
旅行も、仕事も、そのひとつです。
だからこそ、今やりたいことはやる。
会いたい人には会う。
やってみたいことは、先延ばしにしすぎない。
年齢を重ねることは、
今をどう使うかを前より少し賢く選べるようになることなのかもしれません。



